公開日: 2023/02/16 (掲載号:No.507)
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第38回】「鑑定評価書(原価法)に登場する「付帯費用」の意味」

筆者: 黒沢 泰

税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第38回】

「鑑定評価書(原価法)に登場する「付帯費用」の意味」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

前回、取引事例比較法に登場する「標準化補正」という鑑定評価に特有の概念について説明しました。鑑定評価書にはこれ以外にも専門的で、かつ、他士業の方々を悩ませる独特の用語も登場します。例えば、建物及びその敷地の価格を原価法(=土地価格、建物価格をそれぞれ求めて合算する手法です)によって求める際、その過程に織り込まれる「付帯費用」もその1つです。

「付帯費用」という言葉から受け取るイメージからして、土地建物を取得することによって生ずる不動産取得税のようなものを思い浮かべる方もおられることと思います。もちろん、「付帯費用」のなかにはこのような要素も含まれますが、原価法に織り込む「付帯費用」という概念はもう少し広い範囲のものとなります。しかし、ともすればこれが抽象的な概念であるため、鑑定評価の依頼者(他士業の方々を含めて)からは「分かりにくい」とか「計算根拠が不明確では?」といった声を聞くこともあります。

今回は原価法に登場する「付帯費用」の意味について解説し、これを織り込む必要性について考えてみます。

 

2 鑑定評価における「付帯費用」の概念の明確化

従来(すなわち、平成26年5月1日付で不動産鑑定評価基準(以下、基準といいます)の一部改正が行われるまで)の基準の規定にも、原価法による積算価格を求めるに当たり、発注者が通常負担すべき付帯費用を再調達原価に織り込む旨の規定そのものは存在していました。しかし、付帯費用として何を織り込むべきかについて、これ以上の記載はなく、実務においても再調達原価の中に付帯費用が含まれているという理解の基に「建物及びその敷地の価格」(=積算価格)を求めていた傾向にありました。

平成26年の基準改正においてはこの点が明確化され、再調達原価を求める際の付帯費用に関連する規定として、次の内容が織り込まれています(以下、下線は筆者)。

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不動産鑑定評価常識

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「鑑定評価書(原価法)に登場する「付帯費用」の意味」

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

前回、取引事例比較法に登場する「標準化補正」という鑑定評価に特有の概念について説明しました。鑑定評価書にはこれ以外にも専門的で、かつ、他士業の方々を悩ませる独特の用語も登場します。例えば、建物及びその敷地の価格を原価法(=土地価格、建物価格をそれぞれ求めて合算する手法です)によって求める際、その過程に織り込まれる「付帯費用」もその1つです。

「付帯費用」という言葉から受け取るイメージからして、土地建物を取得することによって生ずる不動産取得税のようなものを思い浮かべる方もおられることと思います。もちろん、「付帯費用」のなかにはこのような要素も含まれますが、原価法に織り込む「付帯費用」という概念はもう少し広い範囲のものとなります。しかし、ともすればこれが抽象的な概念であるため、鑑定評価の依頼者(他士業の方々を含めて)からは「分かりにくい」とか「計算根拠が不明確では?」といった声を聞くこともあります。

今回は原価法に登場する「付帯費用」の意味について解説し、これを織り込む必要性について考えてみます。

 

2 鑑定評価における「付帯費用」の概念の明確化

従来(すなわち、平成26年5月1日付で不動産鑑定評価基準(以下、基準といいます)の一部改正が行われるまで)の基準の規定にも、原価法による積算価格を求めるに当たり、発注者が通常負担すべき付帯費用を再調達原価に織り込む旨の規定そのものは存在していました。しかし、付帯費用として何を織り込むべきかについて、これ以上の記載はなく、実務においても再調達原価の中に付帯費用が含まれているという理解の基に「建物及びその敷地の価格」(=積算価格)を求めていた傾向にありました。

平成26年の基準改正においてはこの点が明確化され、再調達原価を求める際の付帯費用に関連する規定として、次の内容が織り込まれています(以下、下線は筆者)。

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連載目次

税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

第41回~

筆者紹介

黒沢 泰

(くろさわ・ひろし)

大手鉄鋼メーカーの系列会社(部長職)にて不動産鑑定業務を中心に担当。不動産鑑定士。

【役職等】
不動産鑑定士資格取得後研修担当講師(財団の鑑定評価、現在)、不動産鑑定士実務修習修了考査委員(現在)、不動産鑑定士実務修習担当講師(行政法規総論、現在)、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会調査研究委員会判例等研究委員会小委員長(現在)

【主著】
『土地の時価評価の実務』(平成12年6月)、『固定資産税と時価評価の実務Q&A』(平成27年3月)、『基準の行間を読む 不動産評価実務の判断と留意点』(令和元年8月)『不動産鑑定評価書を読みこなすための基礎知識』(令和2年12月)『土地利用権における鑑定評価の実務Q&A』(令和3年12月)『新版 実務につながる地代・家賃の判断と評価』(令和4年9月)『新版/税理士を悩ませる『財産評価』の算定と税務の要点』(令和5年7月)『税理士が知っておきたい/実務で役立つ 不動産鑑定評価の常識』(令和6年7月、以上清文社)、『新版 逐条詳解・不動産鑑定評価基準』(平成27年6月)『新版 私道の調査・評価と法律・税務』(平成27年10月)、『不動産の取引と評価のための物件調査ハンドブック』(平成28年9月)、『すぐに使える不動産契約書式例60選』(平成29年7月)『雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点』(平成30年12月、以上プログレス)、『事例でわかる不動産鑑定の物件調査Q&A(第2版)』(平成25年3月)、『不動産鑑定実務ハンドブック』(平成26年7月、以上中央経済社)ほか多数。

     

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