〔中小企業のM&Aの成否を決める〕
対象企業の見方・見られ方
【第29回】
「「中小PMIガイドライン」を積極活用しよう」
~その4:案件規模別に活用しよう~
公認会計士・税理士
荻窪 輝明
《今回の対象者別ポイント》
買い手企業
⇒M&Aの目的や、PMIにかけられる経営資源等に応じて、「中小PMIガイドライン」の必要な取組を参照する。
売り手企業
⇒M&Aの目的や、PMIにかけられる経営資源等に応じて、「中小PMIガイドライン」の必要な取組を参照する。
支援機関(第三者)
⇒支援先の企業が円滑に事業を引き継ぎ、M&Aの目的やシナジー効果等を実現するために必要な助言ができるように、「中小PMIガイドライン」を参照する。
その他の対象者
⇒M&Aの目的や、PMIにかけられる経営資源等に応じて、「中小PMIガイドライン」の必要な取組を参照する。
1 「中小PMIガイドライン」の位置づけ
【第28回】まで3回にわたり、「中小PMIガイドライン」にもとづいて、主に中小M&Aの当事企業である買い手・売り手企業がM&A全般、PMI(※)の段階で遭遇する失敗事例を取り上げ、M&Aの成功に欠かせない対応策のポイントを紹介しました。
(※) Post Merger Integrationの略語で、狭義には、「M&A成立後の一定期間内に行う経営統合作業」を指しますが、本ガイドラインでは、M&A成立前後の「継続的な取組を含めたプロセス全般(PMIプロセス)」を中小PMIと定義しています(中小企業庁「中小PMIガイドライン」7ページ)。
失敗事例に基づくPMIの取組ポイントの紹介は、本ガイドラインの柱となっており、買い手・売り手が知りたいPMIにおける対応策はこれだけで十分に盛り込まれていますが、本ガイドラインには、これ以外にも実際のPMI実務において活用できる内容が豊富に用意されています。そこで、今回は、本ガイドラインの構成を踏まえて、案件の規模に着目して本ガイドライン活用のポイントを紹介します。
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