組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第29回】
すでに解説したように、平成14年2月15日に「法人税基本通達等の一部改正について」が公表された。山本守之氏が述べられたように、異論があるとして取り上げるようなことはほとんどなく、むしろ当然のことと思われる内容が記載されていたのがほとんどであった(※1)。
その後の会社法改正、グループ法人税制の導入により大幅に改正されたものもあるため、以下では、現行法上も有効なものについてのみ解説を行う。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第6回】「執行役員に関する税務上の留意点②」~所得税基本通達30-2の2について~
ここまで述べてきたように、一般的に執行役員は使用人とされている。しかし、税務上は直ちに使用人とは言いきれず、役員であるとも言えない。そのあたりを本通達から読み解いていく。
執行役員制度を導入する場合、その執行役員との契約には委任契約と雇用契約がある。この契約の違いによりその執行役員がみなし役員とされることはないが、使用人から執行役員への就任による退職金の打ち切り支給に関しては差があり、(所基通30-2の2)において、以下のように取り扱われている(下線筆者)。
相続税の実務問答 【第21回】「遺産分割が調ったことによる相続税額の調整(更正の請求をしない場合)」
遺産分割の結果に基づいて計算した相続税額が、法定相続分に従って計算した相続税額よりも少なくなる場合には、相続税の更正の請求ができることとされていますが、法定相続分相当額よりも少ない財産しか取得しなかった私が更正の請求をしない場合には、法定相続分相当額よりも多くの財産を取得した弟に対して、申告した相続税額と遺産分割結果に従って計算した相続税額との差額に相当する金額を贈与したことになり、弟に贈与税が課税されることとなるのですか。
平成30年3月期決算における会計処理の留意事項 【第4回】
日本では、現行、収益認識に関する規定としては、企業会計原則の損益計算書原則(売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る)及び企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準(以下、「工事基準」という)」、企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針(以下、「工事指針」という)」、実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い(以下、「ソフト実務」という)」に規定があるだけで、収益認識に関する包括的な会計基準はこれまで開発されていない。
計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第28回】「またしても「個別B/Sのその他利益剰余金」でミス」
【事例28-1】は、計算書類の貸借対照表のうち「純資産の部」を抜粋したものです。この「純資産の部」には、抜け落ちている項目が1つあります。
どこだかわかりますか?
連結会計を学ぶ 【第14回】「未実現損益の消去」
親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)35項)。
連結会社相互間の取引によって計上された利益が、連結グループ(企業集団)の外部に売却などがされていない場合には、当該利益は未実現ということになる。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第62回】「条文の『見出し』から租税法条文を読み解く(その2)」
以下では、条文見出しとその改正が租税法の解釈に如何なる影響を及ぼすか、具体的な租税法条文を参考に考えてみたい。ここでは、所得税法及び法人税法に規定されている「実質所得者課税の原則」を素材に検討を加えることとする。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第28回】
平成14年度、平成17年度では、組織再編税制についての重要な改正がなかったため、本稿では、平成15年度税制改正、平成16年度税制改正についてのみ解説を行う。
平成15年度税制改正のうち、組織再編税制に関するものは、(1)2段階組織再編、(2)資本積立金額及び利益積立金額の計算の厳格化、(3)宥恕規定の導入、(4)耐用年数である。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第5回】「執行役員に関する税務上の留意点①」~執行役員はみなし役員か~
執行役員は「使用人」にあたると解されるのが一般的である。しかし法人税法上、みなし役員の規定で「使用人は、職制上使用人としての地位のみを有する者に限られる。」とされている。
ここで、法人税基本通達9-2-5(使用人としての職制上の地位)による「使用人兼務役員に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。」から類推すると、執行役員が法人税法上の使用人であるためには、その会社の機構上明確に、使用人としての執行役員制度を定める必要があると思われる。
