[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第2回】「周辺エリアで生じやすい不祥事」~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
企業不祥事は、会社資産の横領・背任といった財産犯罪、財務報告の虚偽記載(粉飾決算、脱税や違法な租税回避行為)、贈賄やカルテル・談合等の違法行為、ハラスメント行為や残業代不払い等の労働問題、知的財産や会社情報の漏えい問題、安全・環境に関する問題等様々存在する。本稿では、筆者の経験上子会社の不祥事の発生につき、特に親会社の不祥事とは異なる発生要因をご紹介したい。
海外先進事例で学ぶ「統合報告」~「情報の結合性」と「簡潔性」を達成するために~ 【紹介事例③】「ARM Holdings plc社」(ARM「Strategic Report 2014」)
「企業が長期にわたり価値をどのように創造してゆくのか」。企業の長期的な価値創造を株主や債権者をはじめとする多様なステークホルダーに分かりやすく示すことが統合報告書の主たる目的である。今回紹介するARM社の2014年戦略報告書は、この将来の価値創造の道筋である企業戦略を、同社が直面している主要なリスク及びその対処と関連付けながら記載している点が特徴的といえる。
会計上の『重要性』判断基準を身につける~目指そう!決算効率化~ 【第14回】「重要性の有無の判定方法②」~体重の増加率は服を脱いで計算すべし
この会社では、重要性の基準値を、定石通りに「税引前利益の5%」で算定していたとします。
すると判定は以下のようになります。
◆重要性の基準値=税引前利益×5% = 50
◆過大計上金額 = 40
虚偽記載の額40は、重要性の基準値50よりも小さいです。
つまり、「重要な影響がある」とまでは言えないようです。
しかし、本当にこれでよいのでしょうか?
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第22回】「単独の新設分割による子会社設立~連結財務諸表作成会社の場合~」
新設分割とは、一又は二以上の株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう(会社法2(30))。
何の資産も事業もない子会社を設立するのではなく、新設分割により既存の資産や事業などを新しく設立する子会社に移すことで、新設子会社はすぐに事業をスタートすることができるというメリットがある。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第16回】「砂利採取地の埋戻し費用」
この通達は、公共の河川敷から砂利を採取することに代えて河川敷以外の民有地から砂利を採取する場合を想定して定められたものです。
ここでは、砂利採取者は土地の所有者等との間で契約を締結し砂利採取に伴う対価を支払う一方において、採取後の跡地を埋戻して土地を原状に復することを約している例がほとんどです。
ところで、埋戻しは砂利採取が終わった後に行われますから、砂利採取による益金と埋戻しの場合の損金は別個の問題ですから、埋戻し費用は一種の事後費用という考え方もなくはありません。
消費税の軽減税率を検証する 【第10回】「軽減税率の導入という選択」
連載の最終回にあたって、「軽減税率の導入という選択」の是非について、筆者なりの結論を出しておこう。
平成26年4月の税率引上げ時には、「簡素な給付措置」すなわち、臨時福祉給付金の給付が行われた。臨時福祉給付金は、住民税の均等割りが非課税となる世帯を給付の対象としており、その額は、「消費税率の引上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、給付対象者一人につき1万円とする」(※1)と説明されている。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例31(贈与税)】 「「相続時精算課税選択届出書」を別途送付としたため、期限後の提出となってしまい、贈与を錯誤として取り消した事例」
平成X6年分の贈与税につき、相続時精算課税制度を利用した資産の贈与を提案し、土地の贈与を実行したが、「相続時精算課税選択届出書」が期限後の提出となってしまった。これを所轄税務署より指摘されたため、贈与を錯誤として取り消すこととし、更正の請求を行ったところ、これが認められた。
したがって、税額に損害はないが、錯誤による抹消登記費用及び、平成X7年に再度贈与を行ったことによる所有権移転登記費用等につき損害が発生し、賠償請求を受けた。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第37回】「非公開裁決事例⑧」
今回、紹介する事件は、デット・エクイティ・スワップを行った際に、債務消滅益を計上すべきか否かについて争われた事件である。
本事件は、平成18年度税制改正前の事件であり、当時、非適格現物出資に該当するデット・エクイティ・スワップに該当するのであれば、債務消滅益を計上しないで済む余地があった。これに対し、本事件は、適格現物出資に該当したことから、やや複雑な事実関係となっている。
税務判例を読むための税法の学び方【71】 〔第8章〕判決を読む(その7)
前回、「一般的法命題」をしっかり把握すべき点、説明した。
昨今、ある裁判例の「一般的法命題」が「判例」として信じられ、多くの裁判例において引用され判断基準とされてきたものが、下級審において「判例」ではないとされたうえ、最高裁においても「判例変更」と扱われず、上告受理申し立てが不受理とされた事案があった。
すなわち、最高裁昭和56年4月24日判決である。