〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載48〕 一棟の建物についての小規模宅地等減額特例の改正と区分所有建物についての適用上の疑問点~平成25年措置法通達改正対応~
小規模宅地等の減額特例(措法69の4)が適用できる宅地等の1つに、特定居住用宅地等がある。
その被相続人の保有する居住用宅地等が一棟の建物の敷地については拡大された。具体的には一棟の建物(区分所有建物を除く)については、被相続人等(措通69の4-7)が保有し、被相続人等が居住する場合、その建物に同居する被相続人の親族の居住部分に対応する土地等も対象宅地に含まれることとなった。(措法69の4①本文、措令40の2④、措通69の4-7(注))
取得者が配偶者である場合、同居親族である場合には、面積制限の拡充(平成27年施行)と併せて、適用対象面積が拡大した。(措法69の4③二本文及びイ、措令40の2⑩)
つまり、同居親族取得要件(措法69の4③二イ)は、同じく一棟の建物については、同居親族居住部分が対象宅地として拡大され、ここが、政策目的として拡充された。
減損会計を学ぶ 【第5回】「減損の兆候」
本連載の第1回「減損会計の全体像」で述べたように、減損会計の一連のプロセスには「減損の兆候」がある。
減損会計が理解されにくかった要因の一つとして、当時の固定資産会計には馴染みのない「減損の兆候」というステップが規定されたことにあると思われる。
以下では減損の兆候に関して解説を行う。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第12回】イオンフィナンシャルサービス株式会社・「台湾子会社における不祥事等に関する調査報告書」
当初、AFSは、「社内調査により」不適切な会計処理が判明したとリリースしていたが、調査報告書によれば、不正会計に関与してきた台湾子会社の総経理が、「自分が行っている不適正な会計処理とイオンDNA大学(注1)の学ぶことのギャップに苦しみ」、「海外責任者会議の後自らの不正行為を吐露することとなった」ということである。
この時点で、不適正な会計処理は、前任の総経理時代から7年以上にわたって続けられていた。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第28回】連結会計③「少数株主持分」
当社(A社)は卸売業を行っています。当期首(X1年4月1日)に、卸売業を営むB社の株式の80%を取得し、同社を子会社化しました。
当社の持分割合が100%ではない場合、連結上、どのような会計処理を行えばよいでしょうか。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第11回】「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その2)」~租税行政への配慮と実質に従った租税法の適用姿勢~
内縁の妻に配偶者控除を認めることにより、租税行政事務に重大な支障を来たしはしないかという問題もあろう。
この点について、前回一部を紹介した大阪地裁昭和36年9月19日判決(行裁例集12巻9号1801頁)は次のように論じている。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第11回】「『現預金』の取扱い」
現金は他界した日の現金残高、預貯金は他界した日の預貯金残高となる。
ただし厳密には、預貯金は、預貯金残高に、他界日に解約した場合に支払われる既経過利子の額を加え、かつ、その既経過利子につき源泉徴収されるべき所得税の額を控除した金額で評価することになっている(財産評価基本通達203)ため、利率の高い定期預金などは特に留意が必要である(*1)(*2)。
居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第10問】「住民票の住所と実際の住所が異なる場合」-居住用財産の範囲-
Xは7年前に、G市にある中古住宅Bを購入し、それ以来Bに住んでいましたが、今回このBを売却して、H市の新居Cへ転居しました。
Xは、Bを購入する3年ほど前から同じG市の借家Aで生活をしており、7年前に同市内のBに転居したのですが、住民票を異動せずにそのままにしておいたので、今回のCへの転居にあたっては、従前の借家A時代の住民票上の住所から直接C(H市)への転居という形をとりました。
このため、譲渡した居住用家屋の所在地と確定申告書に添付する住民票(除票)の住所とが一致しません。
この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか?
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第22話】「建設会社の税務調査(その1)」─不審─
渕崎統括官は少し苛々しながら、壁に掛かっている時計を見た。
午後6時を少しまわっている。
「遅いなあ・・・」
椅子に座りながら、呟く。
田村上席と山口調査官は、税務調査からまだ帰ってこない。
今日は2人で、河内税務署管内にある内藤建設の調査に出かけている。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第7回】「子会社支援のための無償取引③」
控訴審においては、第1審判決と大きく変わり、無利息貸付けを行った場合には、法人税法第22条第2項により通常ありうべき利率による金銭相当額の経済的利益について益金の額に算入され、当該経済的利益が無償で借主に提供されたと考えられることから、法人税法第37条第5項括弧書(現在の法人税法第37条第7項)に該当しない限り、寄附金として処理されることになるとして、原判決を取り消して更正処分を適法とした。
本判決の内容は、第1審判決に比べて違和感が少なく、無利息貸付けに係る法人税法の取扱いを理解するのに重要な判決であると言える。