会計リレーエッセイ 【第7回】「中小企業の会計の行方」
わが国における非上場会社、とりわけ、中小企業の会計は、―適切になされている事例は散見されるものの―少なくとも拡大前EU加盟国や北欧諸国と比べ、残念ながら、マクロ的には見劣りがすることは否定できない。
すなわち、ヨーロッパ諸国においては、EC会社法指令に基づいて、計算書類の登記所開示が行われるとともに、外部監査人の監査の対象となっている会社の「割合」も日本に比べればはるかに高い(そもそも、原則として対象となるが、例外的に監査を受けることを要しない―とはいえ、監査の対象とならない中小企業の絶対数は多い―というアプローチになっており、例外的に会計監査人監査が要求されるとする日本とは発想が異なる)。
林總の管理会計[超]入門講座 【第6回】「正しい原価計算とは何?」
〔Q〕伝統的原価計算って、いつの時代の原価計算なんですか。
〔林〕原価計算の歴史は19世紀に遡るのだけれど、伝統的原価計算という場合、それは20世紀のはじめにGMやウェスティングハウスなどで発展した原価計算を指している。
つけ加えれば、実務で行われている原価計算の大半は、この方式といっていい。
〔Q〕じゃあ、ポスト伝統的原価計算はいつなんですか。
〔林〕1980年代後半だね。具体的には、活動基準原価計算や時間基準原価計算などだ。
〔Q〕2つの原価計算の違いって、何なのですか。
〔林〕その質問に答えるには、まだまだ君の知識が足りないな。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第12回】棚卸資産会計②「棚卸資産評価の会計処理」-収益性の低下に基づく簿価切下げ
最近、当社が扱っている商品の販売価格が下落しており、期末在庫の正味売却価額が取得原価より低下していました。
この場合の会計処理について、教えてください。
monthly TAX views -No.6-「はじまる租税回避対応策の検討」
英国スターバックス社(以下「スタバ社」)の租税回避問題が英国で大きく取り上げられ、不買運動にまで発展したが、米国多国籍企業を中心とする租税回避問題については、今回のG8サミットで取り上げられるなど、その後も議論は収束どころか拡大の方向で続いている。
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第4回】「別表6(18)記載のポイントと当初申告要件の確認」
連載4回目となる今回は、本制度に係る別表の書き方や当初申告要件など手続規定を中心に解説する。
生産等設備投資促進税制の適用を受けるためには、特別償却の場合は、「確定申告書等に機械等の償却限度額の計算に関する明細書を添付」することが必要となる。
また特別控除の場合は、「確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる機械等の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付」が必要となる。
中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第5回】「統合における税務デューデリジェンス及びケース・スタディ」
合併や株式移転では、統合前の事業年度に係る税務リスク(将来の税務調査で、統合前の事業年度を対象とする追徴課税を受けるリスク等)が統合後も残ることになる。つまり合併においては、消滅会社の税務リスクを存続会社が法的に引き継ぐことになり、また株式移転においては、持株会社の傘下となる統合対象会社の税務リスクは株式移転を行っても変化が生じないことになる(なお、買収形態における税務リスク承継については第2回を参照)。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第4回】「「1人当たり5,000円以下の飲食費」の判定が難しいケース」
第3回では、「1人当たり5,000円以下の飲食費」が交際費にならないことついて解説した。
第4回では、この「1人当たり5,000円以下の飲食費」の判断をする際に、実務上判断の難しいケースについて解説する。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第11話】「質問検査権の範囲と留置き」
「あの~、田村上席・・・」
山口調査官が田村上席に声をかける。
法人課税第三部門では、ほとんどの職員が昼食に出ており、2人しか残っていない。
田村上席は、昨日の税務調査の報告を書いている。
「この国税通則法74条の2第1項の規定なんですけど・・・」
法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第5回】
減価償却資産に係る減価償却費を損金に算入するためには、①償却限度額の範囲で、②償却費として損金経理をする必要がある(法法31)。
このうち、②損金経理の要件については、他の科目で費用処理がなされていた場合などに問題となることがある。これについては、法人に償却の意思があることを担保するために償却費としての損金経理が要件とされているにすぎないことから、その意思を有していることが客観的にうかがわれるような一定の場合には、この要件を満たすものとして取り扱われることになる(法基通7-5-1参照)。
他方、①償却限度額については、その計算方法は多分に技術的であり、その適用を誤ると損金算入が否定されることになる。この償却限度額の計算に関しては、近年、大きな税制改正が相次いでなされていることから、その適用に当たっての留意点について整理しておきたい。
租税争訟レポート 【第11回】配偶者が受給する年金から特別徴収された介護保険料(所得税更正処分取消請求事件)
原告と生計を一にしている原告の配偶者は、平成18年においてその受給する国民年金(老齢基礎年金)の中から介護保険料4万6,600円を特別徴収の方法により徴収された。
原告は、平成19年2月26日、「社会保険料控除」の欄に、配偶者が特別徴収された介護保険料を含めた額である「33万5,400円」と記入した申告書を提出した。
西宮税務署長は、原告の平成18年分の所得税につき、社会保険料控除の額は、前記の確定申告における33万5,400円から介護保険料4万6,600円を差し引いた28万8,800円が正しいとして、平成19年12月10日付けで、課税総所得金額54万8,000円、還付金の額に相当する税額3万4,882円とする更正処分を行った。