「民間設備投資活性化等のための税制改正大綱」を読む【第1回】
「日本再興戦略」の中では、「思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していく。」として、今後3年間でリーマンショック前の設備投資水準(70 兆円/年)を回復するために、老朽化した生産設備から生産性・エネルギー効率の高い最先端設備への入替え等の生産設備の新陳代謝を促進する取組みを強力に推進し、これに応じて設備の新陳代謝を進める企業への税制を含めた必要な支援策を講じることとされており、その具体化として、「生産性向上設備投資促進税制」が創設された。
居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第1問】「「3,000万円特別控除」と「買換えの特例」の適用要件の相違点」
居住用財産を譲渡した場合の課税については、いくつかの特例措置が設けられているものの、譲渡物件の利用状況等が多種多様にわたることなどから、この特例の適用の有無にあたっては、一般納税者のみならず税理士にとっても、その判定は大変難しいものとなっている。
国税庁ホームページの「質疑応答事例」においては、この特例に関する主要な20問が掲載されているが、この連載では、小職の元国税資産税職員としての審理経験や調査経験などを活かしながら、税理士等が特例の適用にあたって迷いがちとなる様々な譲渡ケース等を想定した質疑事例を作成し、3,000万円特別控除(措法35)を主体として、居住用財産の譲渡所得に係る特例を説明していきたい。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第7回】「武富士事件(その1)」 ~「住所」の認定はいかにしてなされるべきか?~
租税法上で用いられている「ある用語」の意味がその文脈から明確ではない場合、それが私法から借りてきた概念(借用概念)であるとすれば、当該私法上の概念の意味内容に従って解釈をすることが、租税法律主義の要請する法的安定性や予測可能性に資すると考えられている。
このように、租税法の解釈では、多くの場面で、いわゆる「私法準拠」といって、私法の概念に依拠する態度をとっている。
ところで、租税法の解釈適用の場面では、しばしば「住所」の認定が問題となることがある。それは、例えば、「居住者」か「非居住者」かという納税義務者の属性を判断する際にも、また、課税対象の認定をする際にも重要な論点となる。
「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」の解説 【第5回】「特別償却と税額控除の選択」
連載最終回となる今回は、本制度における「特別償却」と「税額控除」のどちらを選択するか、その判断のポイントについて、事例を用いて解説する。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第3回】「法人税法と法人税基本通達の体系」
貸倒損失については、法人税法に規定されておらず、法人税基本通達において規定されているに過ぎない。
これに対し、貸倒引当金については、法人税法において規定されていることから、貸倒損失と貸倒引当金についての法人税法上の位置付けは全く異なるものであるということができる。
本稿においては、貸倒損失が法人税法及び法人税基本通達においてどのように位置付けられているのかについて、それぞれ解説を行う。
税務判例を読むための税法の学び方【20】 〔第5章〕法令用語(その6)
「係る」は、ある事項とつながりがあることを示す場合に使われる語句で、関係代名詞的に用いられ、『・・・されたところの・・・』という意味や『・・・に該当する・・・』という意味をもっている。
また「係る」は、「かかる」と読み、「かかわる」ではない。
「かかわる」は「係わる」、「関わる」又は「拘わる」と書き、「関係する」という意味であるが、法令用語としては「係わる」等の用語はなく、この意味で使用すべき場合には、「関係する」という用語が用いられる。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載39〕 事業承継税制新債務控除と猶予税額
平成25年度税制改正において、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度を利用するにあたり、相続税の課税価格から控除すべき被相続人の債務及び葬式費用がある場合には、納税猶予税額の計算上、その被相続人の債務及び葬式費用については、特例非上場株式等以外の財産の価額から控除することとされた。
会計リレーエッセイ 【第10回】「日本のホテル会計と銀行審査」
筆者は銀行業界において人気テレビドラマ「半沢直樹」の5年先輩にあたる、1987年に入行。中小企業融資・個人財務相談・国内M&A支援業務を経て、入行6年目、29歳の時に海外ホテル投資会社に出向となった。
この歳でさすがに銀行に戻れない「片道切符」ではなかったが、バブル期の行き過ぎた融資の結果発生した不良債権回収という大命題を背負っていた。
その出向先での3年半の間、たくさんのことを学ばせていただいた。
英語でのビジネスの苦労話や商習慣の違いはさておき、日本のホテル業の収益力の弱さと銀行の審査能力の低さの一因は、その会計システムにあるとの確信に至った。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第11回】株式会社イチケン・関西支店における不適切な会計処理に係る「外部調査委員会報告書」
平成25年4月の人事異動により新支店長となった執行役員に対し、同年7月中旬、関西支店の施工部門長が、一部の工事について協力会社の了解を得て工事代金の一部を支払わず、別の工事代金として支払っていたこと(以下「付け替え」という)を報告したことから、同支店における不適切な会計処理が発覚した。