令和2年度税制改正における国外財産調書制度の見直し 【第3回】
国外財産調書制度では、その適正な提出に向けたインセンティブとして、過少申告加算税等の軽減措置・加重措置が設けられている。このうち加重措置については、改正前は所得税に関する修正申告等だけが対象とされていて、相続税に関する修正申告等は対象外であった(上記Ⅰ2(2)(【第1回】)参照)。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q60】「証券投資信託の収益の分配金に外国税相当額が含まれている場合の確定申告手続」
私(居住者たる個人)は、特定口座と一般口座の両方で証券投資信託を保有していますが、2020年の取引について、証券会社から下記の書類を受領しました。当該証券投資信託からの分配金には、外国株式に係る配当が含まれますが、2020年1月1日以降に支払われる分配金から、確定申告の際に、外国の所得税について税額控除の適用ができるようになったと聞きました。具体的にはどのような手続が必要になるのでしょうか。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第16回】「買換資産の取得割合が、譲渡収入金額の割合に応じていない場合」-居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合-
X(夫)とY(妻)は、共に8年程前から住んでいたX所有のA家屋を1,000万円で、Y所有のA土地を4,000万円で売却しました。
買換資産Bに係る購入価額は総額5,000万円で、B家屋とB土地の各持分を2分の1とし、XとYの共有で取得しました。
その他の適用要件が具備されている場合に、Yは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることはできるでしょうか。
〔令和3年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「5G導入促進税制の創設」「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」」
令和2年度税制改正における改正事項を中心として、令和3年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は「オープンイノベーション促進税制の創設」及び「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」について解説した。
【第2回】は「5G導入促進税制の創設」、「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」、「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」及び「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」について解説する。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第26回】「不動産法人化の視点と民事信託活用」
私A(55歳)は会社役員の傍ら、数棟の収益不動産を所有し賃貸経営をしています。不動産経営は順調ですが、会社からの給与所得と不動産所得を合計すると所得税率が最高税率となり、税負担が重いことが気になっています。
不動産法人化(法人を設立し、不動産を個人所有から法人所有へ移す)により税負担を抑えることができ、民事信託を活用することにより、さらにメリットもあるという話を聞きました。
なお、私には息子がいて不動産経営を承継してほしいという思いがあり、ノウハウ共有のため新築物件の管理を任せたいと考えています。
民事信託を活用した不動産の法人化はどのように進めれば良いでしょうか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第47回】
変動対価や売上割戻しの課税上の取扱いについては、法人税基本通達2-1-1の11及び2-1-1の12に基本的な内容が定められている。以下では、このうち法人税基本通達2-1-1の11について検討する。
本通達は、資産の販売等に係る契約の対価について、値引き等の事実(値引き、値増し、割戻しその他の事実をいい、貸倒れ又は買戻しの可能性に基づく事実を除く)により変動する可能性がある部分の金額(変動対価)がある場合について定めている。法人が変動対価に係る値引き等をした後の金額で収益を計上した場合の取扱いをどうするか、という問題である。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第68回】「砂利採取業者事件」~最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)~
砂利採取業者X社は、売上除外等の方法により多額の法人税を逋脱していた。これにつき、国税局査察部は内偵調査を開始していたが、これを察知したX社は、税理士を通じ、管轄の税務署に対し、事情を説明して修正申告の可否等について相談した。これを受けて、税務署は税務調査を実施することとし、当該税理士を通じてその旨通知した上でこれを実施して、X社から関係資料を預かった。税務調査後、担当の統括調査官は、国税局査察部に対し、税務調査の実施を連絡した上で、一部資料をFAX送付した。その後、国税局査察部は、当初予定していた強制捜査を繰り上げて実施した。
〔強制適用前におさえておきたい〕監査上の主要な検討事項(KAM)への対応と留意点 【第3回】「企業及び監査人のKAMへの対応」
KAMは、監査人が考えて監査報告書に記載するものであるが、企業が監査人に言われたとおりに監査人から提示されたKAMを受け入れるだけでは、KAM導入の効果(【第1回】参照)が発揮されない。
そのため、本解説では、KAMを監査報告書に記載するにあたって、企業側及び監査人側がどのようにKAMへ対応する必要があるかについて解説する。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第110回】ダイワボウホールディングス株式会社「特別調査委員会調査報告書(2020年11月27日付)」
大和紡績の子会社であるB社元役員のA氏(以下「A氏」と略称する)は、2020年9月4日、B社社長に対し、2012年4月から2018年9月末日までノイ社C部副部長であった当時から、ノイ社には秘して、商品が実在しないにもかかわらず、製品を伝票のみでP社等に販売し、その後、R社等を経てノイ社が購入し、更に循環に回すという、架空の循環取引(以下「本件循環取引」という)を行っていたことを告白した。
B社は、直ちに、大和紡績にA氏の自白と本件循環取引の概要を報告し、社内調査を経て、ダイワボウHDは、9月30日開催の取締役会において、本件循環取引の事実解明、原因究明などを目的として、外部の弁護士及び公認会計士を含む特別調査委員会の設置を決議し、同日、これを適時開示した。
《速報解説》 改正会社法及び会社法整備法の施行等に伴う金融庁関係政府令等が公布~「財務諸表等規則」等の改正に伴う経過措置もあるため適用時には附則に注意~
2021(令和3)年2月3日、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正会社法」という)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)の施行(1年3月以内施行及び1年6月以内施行)等に伴う金融庁関係政府令等が公布された。これにより、2020年11月6日から意見募集されていた改正案が確定することになる。改正案に対するコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方も公表されており、改正案から変更されている部分がある。