〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第6回】「《特別編》コロナ禍が変える中小企業のM&A」~その3:第三者の買い手に対する視点の転換~
コロナ禍が中小企業経営のあり方を一変させ、今後の中小企業経営を考える上で大きな影響を与えていることは、これまでの「《特別編》コロナ禍が変える中小企業のM&A」の各回でも触れてきました。
そして今、中小企業M&Aの当事者として、支援機関をはじめとする「第三者」の存在価値が以前にも増して高まっています。
M&Aは買い手と売り手が単に手を結ぶだけではなく、買い手も売り手も相手側の持つ“何か”によって、M&A後の経営維持、成長、発展といった今後に繋げるための手ごたえを期待できるからこそ、各当事者はM&Aの実行に価値を見出すものです。
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第4回】「企業と会社」-定義するのは会計基準か会社法か-
会計基準を読んでいると、類似する用語があることに気づき、戸惑う方もいらっしゃるのではないだろうか。
「企業」と「会社」もその1つである。
さらにこれらの用語は、会計基準だけでなく、他の法令にも登場するため、同じ扱いをしてよいものか、さらに悩みが深くなる方もおられるだろう。
《速報解説》 「会社法改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正案」がパブコメに付される~原則、令和3年3月1日からの施行を予定~
2020(令和2)年9月1日、法務省は、「会社法改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正」に関する改正案を公表し、意見募集を行っている。
これは、「会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)の施行に伴い、会社法施行令、会社法施行規則、会社計算規則などについて改正するものである。
《速報解説》 5G導入促進税制、関連法の施行に合わせ本日(令和2年8月31日)より制度開始
令和2年度税制改正で創設された5G導入促進税制が、関連する法令(特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(以下、5G導入促進法)及び同政省令等)の施行に合わせ、令和2年8月31日より制度が開始された。
《速報解説》 国税庁、パブコメを経て所得税基本通達59-6を改正~令和2年3月の最高裁判決を受け表記を見直し~
国税庁は令和2年8月28日付けで「「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」を公表、本年2月の最高裁判決に係る補足意見を受け所得税基本通達59-6《株式等を贈与等した場合の「その時における価額」》の見直しを行った。なお本改正は6月30日付けでパブリックコメントに付されていた。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第74回】「法人税低率国に拠点を移す節税を防ぐ方法」
アイルランドの法人税率は12.5%と異常に低く、このような低税率国に巨大IT企業は拠点を移して節税をしています。そのうえ、税優遇まで受けていることをEUの政策執行機関である欧州委員会は問題視していました。
そこで、欧州委員会は2016年にアイルランド政府がアップルに違法な税優遇をしたとして、過去の優遇分や利息を取り戻すように指示しましたが、EU司法裁判所では、この指示を取り消す判断を示しました(2020年7月15日)。
このような判決は出たものの、米国の巨大IT企業(GAFA等)などが、アイルランドやルクセンブルクなどの低税率国に拠点を置いて節税していることを、欧州委員会は引き続き問題視しています。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第42回】「租税法律主義と実質主義との相克」-税法の目的論的解釈の過形成⑥【補論】-
前回まで22回にわたって「租税法律主義と租税回避との相克と調和」という主題の下、租税回避について様々な観点から検討してきたが、その検討は前回でひとまず置くこととして、次回からは租税法律主義それ自体の意義、内容等について改めて検討することにしたい。その前に、今回は、第15回の「租税法律主義と実質主義との相克-税法の目的論的解釈の過形成⑥」についてその「補論」として最近の判例を基に改めて検討しておくことにする。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第10回】「〔第1表の1〕株主判定と遺産分割のやり直し」
乙は甲から相続により、非上場会社であるA社の議決権総数のうち6%の株式を取得しています。筆頭株主は戊であり、議決権総数の94%の株式を有しています。A社の役員は、戊のみであり、甲の相続人である乙及び丙はいずれもA社の役員には該当していません。
甲の相続人から依頼を受けて相続税の申告を行ったB税理士法人は特例的評価方式(配当還元価額)によりA社の株式の評価を行いましたが、その後、甲の相続税の税務調査によりA社株式については、特例的評価方式(配当還元価額)は適用できず、原則的評価方式により評価するべきとして、増額更正処分を受けました。
遺産分割協議においては、乙がA社株式を取得する代わりに、丙に代償金を支払うことが前提となっており、代償金の算定においては、配当還元価額で評価したA社株式評価額の2分の1相当額で計算がなされていました。
そこで、当初の遺産分割協議において錯誤があったものとして取消しを主張し、A社の議決権総数6%の株式のうち、3%ずつを乙と丙が取得する旨の遺産分割協議書を作成すれば、更正の請求により特例的評価方式(配当還元価額)は認められるのでしょうか。また、遺産分割協議のやり直しとして、乙から丙に3%の株式の贈与があったものとして贈与税の課税対象になるのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例89(消費税)】 「同族会社に対する貸付金を減らすため建物による代物弁済を実行したが、簡易課税を選択しており建物取得に係る消費税の還付が受けられないことから、錯誤で取り消し、原則課税に戻してから再度実行したため、移転費用が二重にかかってしまった事例」
相続税対策として依頼者が代表者である同族会社に対する貸付金を減らすため、税理士の提案により、同族会社が所有する建物を依頼者に1億円で代物弁済することに決定し、令和X1年に実行した。
しかし、依頼者が簡易課税を選択しており、建物の取得に係る消費税の還付が受けられないことが判明したため、建物の所有権移転登記を錯誤で取り消し、令和X2年に原則課税へ戻してから再度実行することになった。
これにより、司法書士報酬及び登録免許税が二重にかかり、二度目の司法書士報酬及び登録免許税につき賠償請求を受けた。
