〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第3回】「関連者支払利子等の額」
「関連者支払利子等の額」とは、関連者等に対する支払利子等の額で、その支払利子等を受ける関連者等の課税対象所得に含まれないもののうち、一定の特定債券現先取引等に係る金額以外の金額をいう(措法66の5の2②)
本制度の規定による損金不算入額の計算を行う際、まず、本制度の規定の適用対象となる「関連者支払利子等の額」を把握することが必要となるが、その際の確認ポイントは以下の4点である。
『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響 【第2回】「仲裁制度の導入」
2013年1月24日に日米租税条約を改正する議定書の署名が行われた。
今後両国における国内承認手続を経て発効することになる。
今回の改正のポイントの中で、おそらく最大の改正が「仲裁制度の導入」である。
仲裁制度の導入は、長い間、経済界からの強い要望があった事項である。
移転価格課税など租税条約に適合しない課税が生じた場合の問題解決のために、租税条約自身が用意している問題解決の枠組みとしては、「相互協議」がある。
相互協議については、我が国ではほとんどの事案で合意に達しており、有効に機能してきていると評価されている。
組織再編税制における不確定概念 【第4回】「包括的租税回避防止規定における『不当に』とは」
不確定概念の最たるものとして、包括的租税回避防止規定が存在する。包括的租税回避防止規定は、「法人税の負担を不当に減少させる」場合に適用されるものであるが、どのような場合が「不当」なのかという点について、明らかにされていないからである。
本稿においては、包括的租税回避防止規定についての基本的な考え方についての解説を行い、次回(第5回)以降は、その具体的な事例についての解説を行う。
企業不正と税務調査 【第4回】「経営者による不正」 (1)売上除外
脱税をする方法は、大きく言って2つしかない。
・売上を隠して利益(課税所得)を減らす
・仕入・経費を増やして利益(課税所得)を減らす
のいずれかである。
平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第7回】
2-6 修正申告等があった場合の加算税の計算方法
調査により修正申告等(更正・決定を含む)が行われた場合の「加算税の計算の基礎となる所得税額又は相続税額」の計算方法は、次のとおりである(送金等法6①②)。
税務判例を読むための税法の学び方【6】 〔第3章〕法令間の矛盾抵触とそれを解決する原埋(その1)
ある事項について規定した法令が複数存在しながらその規定している内容が異なり矛盾抵触している場合に、そしてこれらの法令のうちの1つを自由に選択することが認められていない場合には、どの法令の規定を適用すべきかが問題となる。
民法第604条第1項には「賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。」とあるが、借地借家法の第3条には「借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」 と規定されている。
借地契約も賃貸借契約であるから、この場合はいずれを適用すべきであろうか。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載11〕 現物配当に係る会計上・税法上の取扱い
平成22年度税制改正において適格現物分配が組織再編成の一形態として位置づけられたことにより、完全支配関係のある法人間で現物分配を行った場合には、その現物分配に係る資産の譲渡損益の計上を繰り延べることとされた。
従来、商法において現物配当の可否についての明確な規定は設けられていなかったが、平成18年に施行された会社法においては、株主総会での決議を経ることにより、現物配当が可能とされている(会法454①一)。
しかし、本稿においても述べるとおり、現物配当に係る会計上の取扱いは、現物分配に係る税法上の取扱いと異なるケースがあるため、両者を混同しないよう注意しなければならない。
法人税法に規定する現物分配とは、次のⅰ又はⅱをいい(法法2十二の六括弧書)、本稿においては、ⅰに該当する現物配当が行われたものとして会計上の取扱いを述べることとする。
「平成24年版 中小企業の会計に関する指針」の主な改正点と留意点 【第1回】「改正の経緯と指針の読み方」
「平成24年版 中小企業の会計に関する指針(以下「中小会計指針」という)」が、本年2月に公表された。
中小会計指針は、平成17年8月に公表され、平成18年の会社法施行に伴う純資産の部に係る取扱いの変更をはじめ、その後のわが国の会計基準(以下「日本基準」という)の動向に呼応し、毎年改定されてきた。
ただし、その改定は、日本基準の改正等をすべて受け入れたものではなかった。それは、中小企業の規模や会計情報を必要とする利害関係者は、金融機関や取引先、そして、利害関係者とはいえないが、法人の申告内容の適否を調査する課税庁であるという実態を鑑み、精緻な日本基準を適用することが中小企業の実態に合わず、中小企業の会計の質を高め、財務体質の改善等に資すると考えられなかったからである。
対談 管理会計を学ぶ 【第1回】
公認会計士を目指す受験生、また企業で会計・経理部門に配属された人にとって、管理会計はつかみどころがなく、難しいと言われる。林總氏は、この管理会計をわかりやすく解説した書籍を執筆され、数多くのベストセラーを生み出してこられた。
秦美佐子氏もまた、女性会計士が活躍する書籍を執筆され、人気作家の仲間入りをされた。
今回は、会計士として、また作家として活躍されているお二人に、ご自分の経験から、会計の初学者がどのように管理会計を学べばいいかを対談していただいた。