企業不正と税務調査 【第5回】「経営者による不正」 (2)架空(水増し)人件費
架空の人件費の計上による裏金作り/所得隠しは、かつては一般的な脱税手法であったが、近年は、税務調査において露見する可能性が高いということが経営者に浸透したためか、報道される件数は減っている。
しかし、昨年夏、パチンコ業界大手のガイア社が、グループ全体で40億円の所得隠しがあり給与の水増しが行われていたという報道があり、業種・業態によっては、こうした裏金作り/所得隠しスキームは健在であることが裏づけられた。
組織再編税制における不確定概念 【第5回】「みなし配当と株式譲渡損の両建て」
受取配当等の益金不算入については、二重課税の排除を目的とした制度であるため、その制度趣旨に合致する範囲内においては、租税回避行為であると認定すべきではないと考えられる。
しかしながら、実務上、みなし配当と株式譲渡損が両建てになるケースも少なからず存在し、とりわけ、平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入される前においては問題とされていた。
本稿では、グループ法人税制が導入された後においても残されている問題点について解説を行う。
税務判例を読むための税法の学び方【7】 〔第3章〕法令間の矛盾抵触とそれを解決する原埋(その2)
形式的効力を同じくする法令間において、ある事柄について一般的に規定した法令がありながら、同じ事柄について特別の「事項、場合、対象、地域など」を限定してその一般的に規定した法令と異なる内容を規定した法令がある場合には、この両者は、一般法と特別法の関係にある(前者が一般法、後者が特別法)という。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載13〕 従業員から役員になった場合の退職金計算の問題点【その2】
本誌 No.5(2013/2/7公開)に掲載した拙稿「従業員から役員になった場合の退職金計算の問題点」(以下「前回分」という)において、従業員が役員になった場合の退職金支給方法は様々なパターンが考えられるが、大きく分けると、以下の2つであることを示した。
【1】 役員退任時に、従業員分と役員分をまとめて払う場合(前回分参照)
【2】 従業員退任時に従業員分を、役員退任時に役員分を支給する場合
前回分では【1】について述べたが、今回は【2】について解説を行うこととする。前回分と併せてご覧いただきたい。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第1回】金融商品会計①「有価証券の取得」─受渡期間内に期末日を含む場合の約定日基準による会計処理
当社は、決算期末(3月)近くに、上場会社の有価証券を取得することを予定しています。
今回、約定日は3月30日、受渡日は4月2日と、受渡期間で期末日をまたがる予定になっています。期末時点では有価証券の受渡しが行われていませんが、期末決算になんらかの会計処理をする必要がありますか。
「平成24年版 中小企業の会計に関する指針」の主な改正点と留意点 【第3回】「各論における改正事項『固定資産・引当金』」
「平成24年版 中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」)では、「有形固定資産の減価償却の方法は、定率法、定額法その他の方法に従い、耐用年数にわたり毎期継続して適用し、みだりに変更してはならない。」(中小会計指針34項)としている。
各企業が減価償却方法や使用期間を任意に定め、随時変更することが可能となると、一企業の事業年度間や同業他社間での比較可能性が損なわれ、債権者等の利害関係者や特に中小企業においては経営者にとって有用な会計情報を得ることができない可能性がある。
《速報解説》 金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令の改正ポイント
Ⅰ 改正された内閣府令
「金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第14号)が平成25年3月29日に公布された。
Ⅱ 主な改正内容等
平成21年6月24日に公布された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(平成21年法律第58号)。以下「改正法」という)による金融商品取引法の改正により、「有価証券の売出し」に係る開示規制は大きく見直しが行われた。これらを実施するための政府令に、平成21年12月28日に公布された「金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備等に関する内閣府令」(平成21年内閣府令第78号。以下「改正府令」という)がある。
《速報解説》 金融庁 企業会計審議会開催~不正リスク対応基準を承認。IFRSの議論はかみ合わず
金融庁は3月26日、企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開き、「監査基準の改定及び監査における不正リスクの対応基準の設定に関する意見書」を承認するとともに、IFRSについて、カナダと韓国における適用状況の報告及び我が国の当面の対応について意見交換を行った。
《速報解説》 商業・サービス業・農林水産業活性化税制の創設─平成25年度税制改正
平成25年1月29日に閣議決定した平成25年度税制改正大綱(本稿公開時点では改正法案が参議院にて審議中)において、中小企業活性化のために設備投資を促進する税制が創設された。
具体的には「商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等の経営改善に向けた設備投資を促進するための税制措置の創設」という(改正法案では租税特別措置法42条の12の3)。
ここではその内容について解説する。