平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第8回】
次の行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとされている。
ただし、②については情状により刑を免除することができることとされている。
① 国外財産調書に偽りの記載をして提出したとき(送金等法10①)
② 正当な理由なく国外財産調書を提出期限までに提出しないとき(同10②)
③ 職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(同改正附則(平成24年3月31日)59、同法7)
④ 物件に提示又は提出の要求に対し、正当な理由なくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出したとき(同法7)
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載12〕 配当優先の限界
税務上、配当優先株式の優先配当は、どの程度まで認められるのか。また、認められる金額を超えた部分の課税関係は、どのようになるのか。本稿では、これを検討する。
Ⅰ 会社法上の規制
1 財源規制
まず、会社法上の配当上限には、分配可能額の範囲内であることという財源規制がある(会461)。
この財源規制は、株主と債権者との間の利害調整事項であり、本稿の検討における当然の前提である。
2 配当に関する株主平等の原則
種類株式である配当優先株式を発行している場合には、財源規制に加えて、配当優先株主と普通株主(配当劣後株主)との種類株主間での利害調整が必要になってくる。
この点に関して、会社法は、配当決議は株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定し、まず、株主平等の原則を示している(会454③)。
「平成24年版 中小企業の会計に関する指針」の主な改正点と留意点 【第2回】「各論における改正事項『有価証券・棚卸資産』」
有価証券は、保有目的の観点から、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式・関連会社株式及びその他有価証券に分類され、それぞれの区分に応じた評価を行うこととしている。
中小会計指針では、それぞれの区分ごとに貸借対照表に計上すべき金額(以下「貸借対照表価額」という)と評価差額が計算された場合の取扱いを規定している。
まず、有価証券を区分する場合に、注意すべきは、売買目的有価証券の取扱いであり、その具体的内容について確認する。
対談 管理会計を学ぶ 【第2回】
秦 「林先生の『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』で書かれている回転率という考え方。受験生は、利益率は高いほうがいいという認識があります。回転率という考え方が希薄なので、利益率の高いものをどんどん売れば儲かるだろうと考える。
林先生は、回転率を加味しないといけないということを書かれていて、すごく勉強になったというか、ここが実務と教科書の違いなんだというのを感じました。」
税効果会計を学ぶ 【第6回】「対象となる税金と一時差異等」
Ⅰ 税効果会計の対象となる税金
法人税等とは、法人税、都道府県民税及び市町村民税(以下「住民税」という)並びに事業税(収入金額その他利益以外のものを課税標準とする事業税を除く)である。外国法人税等も法人税等に含まれる(「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第10号。以下「個別税効果会計実務指針」という)3項)。
税効果会計の対象となる税金をまとめると、次のようになる(個別税効果会計実務指針36項)。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第6回】ネットワンシステムズ株式会社・元社員による不正行為「特別調査委員会調査報告書」
NOSでは、国税局による税務調査をきっかけに、社員Aが、取引先である金融機関の行員B、システム会社の社員Cと共謀して、金融機関との商談の原価として、NOSに対し、架空外注費を支払わせ、これを騙取した疑いが生じた。外部の弁護士も参加したNOS調査チームは、社内調査だけでは限界があると判断し、金融機関に共同して調査を進めることを申し入れて、調査を進めた。
その結果、NOSが調査結果を公表した日に、株式会社十六銀行(以下「十六銀行」という)は、自行の元行員が関与していることを認めるリリースを出し、ITホールディングス株式会社は、子会社であるTIS株式会社の元社員が関与していたことを認め、どちらも特別調査委員会により調査中であるとコメントしている。
《速報解説》 産業経理協会 退職給付に関するアンケート調査研究を公表~未認識債務の現状が明らかに!
3月22日、財団法人産業経理協会は、2012年12月に実施した「2012年退職給付に関するアンケート調査研究」の結果・分析を公表した。アンケート対象会社は469社、回答会社は143社(回答率30.5%)。有効回答会社140社(上場112社、非上場28社)、無回答会社2社であった。報告は、東京理科大学・吉岡正道教授、福井県立大学・徳前元信教授、創価女子短期大学・大野智弘教授、東京理科大学・野口教子講師が行った。
《速報解説》 「消費税法施行令の一部を改正する政令」(3/13公布)のうち経過措置に係る事項について
平成24年8月10日に可決・成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(以下「改正消費税法」)の施行に伴い、平成25年3月13日付で「消費税法施行令の一部を改正する政令(政令第56号)」(以下「政令」)が公布された。
本誌の創刊準備1号(2012年10月9日公開)に寄稿した拙稿「改正消費税法 経過措置を検証する」において、経過措置の中でも特に影響が大きそうなものについて解説したが、本稿ではその内容の再確認と、今回の政令で明確になった事項を併せて解説する。上記拙稿と共にご覧いただきたい。
資本関係が生ずる前の欠損金額の外国子会社合算税制における取扱い
当社(3月決算)は、平成24年5月に、他の内国法人A社から外国法人S社の持分(100%)を取得しました。
外国法人S社(12月決算)は、外国子会社合算税制における特定外国子会社等に該当し、当社の平成25年3月期において、合算課税がされる見込みです。
S社には、当社との資本関係が生ずる前の事業年度に生じた欠損金額(下図①・②)があります。
外国子会社合算税制において、この資本関係が生ずる前の欠損金額は、当社の平成25年3月期に合算課税されるべき金額の計算において、控除されることになるのか否か、ご教示下さい。