《速報解説》 「消費税法施行令の一部を改正する政令」(3/13公布)のうち経過措置に係る事項について
平成24年8月10日に可決・成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(以下「改正消費税法」)の施行に伴い、平成25年3月13日付で「消費税法施行令の一部を改正する政令(政令第56号)」(以下「政令」)が公布された。
本誌の創刊準備1号(2012年10月9日公開)に寄稿した拙稿「改正消費税法 経過措置を検証する」において、経過措置の中でも特に影響が大きそうなものについて解説したが、本稿ではその内容の再確認と、今回の政令で明確になった事項を併せて解説する。上記拙稿と共にご覧いただきたい。
資本関係が生ずる前の欠損金額の外国子会社合算税制における取扱い
当社(3月決算)は、平成24年5月に、他の内国法人A社から外国法人S社の持分(100%)を取得しました。
外国法人S社(12月決算)は、外国子会社合算税制における特定外国子会社等に該当し、当社の平成25年3月期において、合算課税がされる見込みです。
S社には、当社との資本関係が生ずる前の事業年度に生じた欠損金額(下図①・②)があります。
外国子会社合算税制において、この資本関係が生ずる前の欠損金額は、当社の平成25年3月期に合算課税されるべき金額の計算において、控除されることになるのか否か、ご教示下さい。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第15回】税率変更の問題点(14) 「経過措置に関する注意点(その5)」
所得税法又は法人税法において、事業者が工事の請負を行った場合には、資産の譲渡等の時期につき、長期大規模工事では工事進行基準が強制適用され、長期大規模工事以外の工事では工事完成基準又は工事進行基準のいずれかを選択することとなる。
工事進行基準が強制適用される長期大規模工事とは、次の3つの要件に該当する工事(製造、ソフトウエアの開発を含む)をいう。
〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第3回】「関連者支払利子等の額」
「関連者支払利子等の額」とは、関連者等に対する支払利子等の額で、その支払利子等を受ける関連者等の課税対象所得に含まれないもののうち、一定の特定債券現先取引等に係る金額以外の金額をいう(措法66の5の2②)
本制度の規定による損金不算入額の計算を行う際、まず、本制度の規定の適用対象となる「関連者支払利子等の額」を把握することが必要となるが、その際の確認ポイントは以下の4点である。
『日米租税条約 改定議定書』改正のポイントと実務への影響 【第2回】「仲裁制度の導入」
2013年1月24日に日米租税条約を改正する議定書の署名が行われた。
今後両国における国内承認手続を経て発効することになる。
今回の改正のポイントの中で、おそらく最大の改正が「仲裁制度の導入」である。
仲裁制度の導入は、長い間、経済界からの強い要望があった事項である。
移転価格課税など租税条約に適合しない課税が生じた場合の問題解決のために、租税条約自身が用意している問題解決の枠組みとしては、「相互協議」がある。
相互協議については、我が国ではほとんどの事案で合意に達しており、有効に機能してきていると評価されている。
組織再編税制における不確定概念 【第4回】「包括的租税回避防止規定における『不当に』とは」
不確定概念の最たるものとして、包括的租税回避防止規定が存在する。包括的租税回避防止規定は、「法人税の負担を不当に減少させる」場合に適用されるものであるが、どのような場合が「不当」なのかという点について、明らかにされていないからである。
本稿においては、包括的租税回避防止規定についての基本的な考え方についての解説を行い、次回(第5回)以降は、その具体的な事例についての解説を行う。
企業不正と税務調査 【第4回】「経営者による不正」 (1)売上除外
脱税をする方法は、大きく言って2つしかない。
・売上を隠して利益(課税所得)を減らす
・仕入・経費を増やして利益(課税所得)を減らす
のいずれかである。
平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第7回】
2-6 修正申告等があった場合の加算税の計算方法
調査により修正申告等(更正・決定を含む)が行われた場合の「加算税の計算の基礎となる所得税額又は相続税額」の計算方法は、次のとおりである(送金等法6①②)。
税務判例を読むための税法の学び方【6】 〔第3章〕法令間の矛盾抵触とそれを解決する原埋(その1)
ある事項について規定した法令が複数存在しながらその規定している内容が異なり矛盾抵触している場合に、そしてこれらの法令のうちの1つを自由に選択することが認められていない場合には、どの法令の規定を適用すべきかが問題となる。
民法第604条第1項には「賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。」とあるが、借地借家法の第3条には「借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」 と規定されている。
借地契約も賃貸借契約であるから、この場合はいずれを適用すべきであろうか。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載11〕 現物配当に係る会計上・税法上の取扱い
平成22年度税制改正において適格現物分配が組織再編成の一形態として位置づけられたことにより、完全支配関係のある法人間で現物分配を行った場合には、その現物分配に係る資産の譲渡損益の計上を繰り延べることとされた。
従来、商法において現物配当の可否についての明確な規定は設けられていなかったが、平成18年に施行された会社法においては、株主総会での決議を経ることにより、現物配当が可能とされている(会法454①一)。
しかし、本稿においても述べるとおり、現物配当に係る会計上の取扱いは、現物分配に係る税法上の取扱いと異なるケースがあるため、両者を混同しないよう注意しなければならない。
法人税法に規定する現物分配とは、次のⅰ又はⅱをいい(法法2十二の六括弧書)、本稿においては、ⅰに該当する現物配当が行われたものとして会計上の取扱いを述べることとする。