収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第33回】
法人税法22条の2第2項は、(1項が定める引渡・役務提供基準ではなく)近接日基準による収益計上を認める条件として、確定決算による収益経理を求めている。これは、いわば、形式面・手続面において会計処理と税務処理の一致を求めるものであるが、その影響はさほど大きくはなさそうである。
基礎から身につく組織再編税制 【第18回】「適格合併を行った場合の申告調整(その2)~親会社が子会社を吸収した場合~」
前回は、子会社同士が適格合併を行った場合の申告調整の具体例を取り上げました。
今回は、親会社が子会社を適格合併により吸収した場合の申告調整の具体例について解説します。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第90回】「附帯決議から読み解く租税法(その3)」
そもそも「附帯決議」とは何か。
「附帯決議」とは、はじめにも述べたとおり、国会の委員会が法案や予算案の採決に当たり、所管する省庁に対する運用上の努力目標や注意事項などを盛り込む決議をいう。附帯決議は政治的あるいは道義的なものと位置付けられることから、特段の法的な拘束力はないと言われている。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第39回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-不当性要件と経済的合理性基準(5)-
前々回から、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)における不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討してきたが、前々回のⅢ2では、その判断枠組みにおける経済的合理性基準に係る相応性基準による裁量審査(相応性審査)について、行政法における比例原則が行政庁の裁量を認めつつその裁量を限界づける場合における裁量審査と、思考方法及び審査構造の点で、類似するものとの見方を示しておいたところである。
今回は、行政法における比例原則についてその意義・内容・機能を概説した上で、その機能に関連して裁量審査の考え方の傾向を整理し、相応性審査との本質的差異を意識しつつ、裁量審査の方法として一般化することができる内容を抽出することにしたい。
令和2年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第3回】「「事業年度」「申告・納付等」」
損益通算や欠損金の通算など通算申告を行う通算事業年度は、通算親法人の事業年度とする(法法14③、64の5①③、64の7①、地法72の13⑦)。
この場合、通算子法人の会計期間が通算親法人の会計期間と異なる場合でも、その通算子法人は、通算親法人の会計期間を税務上の事業年度として通算申告を行うこととなる(法法14⑦)。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第4回】「〔第1表の1〕同族株主の判定」
乙は甲から相続により、非上場会社であるA社の議決権総数30%にあたる株式を取得しています。筆頭株主は丙であり、丙の同族関係者として乙は含まれていないと考えられますので、乙は同族株主以外の株主として特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q57】「投資法人からの利益超過分配に関する課税関係」
私(居住者たる個人)は上場投資法人(リート(REIT))の投資口を保有しています。このリートから、金銭の分配金について、下記の通知がありました。
今回の分配金には、利益剰余金を原資とするものと出資総額を原資とするものがあるとのことですが、確定申告に際して、どのように取り扱えばよろしいでしょうか。
なお、投資口の取得価額は300,000円、リートから通知された払戻し等割合は0.1%です。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第19回】「死因贈与で上場会社株式を発行会社に贈与する場合の課税関係」
私は上場会社C社の創業者のIです(C社からは退職しています)。現在、C社の株式を9.80%保有しており時価は約10億円です。
私には子供がおらず、両親は他界しており、妻Yと兄Jがいます。
兄Jに財産を残す気はないため、財産はすべて妻Yに相続させる旨の遺言を書く予定ですが、C社株式については妻に相続させたとしてもいずれ市場に放出させることになるため、相続させないでおこうと考えています。
C社株式を生前に市場に放出するとC社の株価に影響しますし、妻Yに残す財産はC社株式以外にも十分ありますので、C社株式については、私とC社で死因贈与契約を締結し、私が死亡した際にC社に贈与することを検討しています。
この場合の課税関係について教えてください。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第61回】「消費税不正還付請求事件」~大阪高判平成16年9月29日(税務訴訟資料254号順号9760)~
A社代表者Bは、米国法人C社に対し、電子機器等の輸出取引(本件輸出取引)をしたが、A社の従業員Xに指示して、Xが本件輸出取引をしたものと仮装させ、消費税の控除不足還付税額があるとして、消費税の確定申告(還付申告)をさせた。そして、これに基づき、Xは、Y税務署長から消費税の還付を受けた。
しかしその後、Y税務署長は、本件輸出取引はXでなくA社によるものであり、Xに控除不足還付税額はないとして、Xに対し、更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした。そこで、Xが当該処分の取消しを求めて提訴したのが本件である。