谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第30回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避否認規定の類型-
前回は、租税回避否認の法的根拠について否認規定不要説と否認規定必要説を検討したが、今回は、否認規定の類型を整理した上で、否認規定に関するわが国の租税立法政策と一般的否認規定の意義及び問題を検討することにする。
〔令和2年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第4回】「「法人税の軽減税率」「消費税率の引上げ」「法人の有する仮想通貨の取扱い」」
令和元年度税制改正における改正事項を中心として、令和2年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第3回】は「中小企業の設備投資を支援する措置の延長等」及び「地域未来投資促進税制の見直しと延長」について解説した。
最終回となる【第4回】は「法人税の軽減税率」、「消費税率の引上げ」及び「法人の有する仮想通貨の取扱い」について解説する。
〔免税事業者のための〕インボイス導入前後の実務対応 【第3回】「免税事業者が適格請求書発行事業者になるための手続①」-申請期限及び経過措置-
適格請求書発行事業者の登録について消費税の免税事業者に説明する際、次のような事項をわかりやすく伝える必要がある。
① 適格請求書発行事業者の登録の要否を判断するポイントは何か
② 適格請求書発行事業者の登録申請の手続と期限
③ 登録後の取扱い(免税事業者に戻ることはできるのか等)
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例83(個人住民税)】 「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受けるため、源泉徴収がある特定口座の特定上場株式等の配当や譲渡に係る所得を含めて申告したが、住民税において申告不要制度を選択しなかったため、所得税は還付になったが、住民税及び各種保険料は増加してしまい、かえって不利になってしまった事例」
平成X9年及びY0年分の所得税につき、依頼者より2年分の特定口座年間取引報告書(源泉徴収あり)を受け取り、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除を適用しての申告を依頼された。
その際、住民税や各種保険料等の税額を考慮せずに申告したため、所得税は還付になったが、住民税及び各種保険料は増額となり、トータルで考えるとかえって不利になってしまった。これにより、過大納付税額につき損害が発生し、賠償請求を受けたものである。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第38回】「国外居住扶養親族を立証するための送金関係書類の該当性」
確定申告書の作成にあたって、外国にいる親族について扶養控除を適用しようと思っています。数人の家族の生活費をまとめて1人の口座に送金し、その支払いの明細書を添付した場合、誰に支払うかは分かりますから、扶養控除も人数分できますか。そんなに大きな金額ではないので、実際には問題にならないようにも思えますが、いかがでしょうか。
措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第19回】「期限内の公益目的事業供用が困難な場合の「やむを得ない事情」とは」
譲渡所得の非課税措置を受けるためには、寄附財産が、その寄附日から2年を経過する日までの期間内に寄附を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みである必要があります。
この「2年」という期間について、延長等の例外措置はないのでしょうか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第23回】
仕切精算書到達基準が「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当する場合、法人税法22条4項を適用して、仕切精算書到達基準による収益計上が認められることになるのであろうか。あるいは、仕切精算書到達基準による収益計上は、目的物の引渡し日に「近接する日」にも該当するものとして、法人税法22条の2第2項の適用により、認められることになるであろうか。
《速報解説》 複数税率制度下での消費税申告にあたり国税庁から日税連へ「誤りの多い事例」の周知と発生防止の協力を要請
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて国税庁は確定申告会場に出向くことなくe‐Taxで申告を行うよう呼びかけているところだが、個人事業者で消費税の課税事業者の場合、昨年10月からの軽減税率導入に伴い、令和元年分の確定申告からは複数税率制度下での消費税申告が求められる。
日本の企業税制 【第76回】「BEPS包摂的枠組みに関する声明(2020.1.31)から見た本年のデジタル課題の動向」
1月31日、OECDのインクルーシブ・フレームワーク(包摂的枠組み(137の国と地域が参加)、以下IFという)は、経済の電子化に伴う課税上の課題に対する2ピラー・アプローチに関するステートメントを発表した。
“2ピラー・アプローチ”とは、①ピラー1に関して昨年10月に公表された「統合的アプローチ(a possible unified approach)」に関する事務局案(public consultation document)及び、②ピラー2に関して11月に公表された「グローバル税源浸食対抗(global anti-base erosion(GloBE)」に関する事務局案(public consultation document)を指している。