措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第9回】「「公益目的事業の用に直接供される」とは①」-賃貸アパートを寄附財産とする場合-
現物寄附を行った際、取得価額と時価との差額についてのみなし譲渡課税が非課税となるための条件として、現物寄附を受領する公益法人等への寄附が「寄附があった日から2年を経過する日までの期間内に、当該寄附を受けた法人の公益目的事業の用に直接供される」ことが課されています。
この「公益目的事業の用に直接供される」とは、具体的にどういうことですか。例えば、賃貸アパートを公益法人に寄附した場合、私は租税特別措置法40条の一般特例の適用を受けることができるのでしょうか。
《速報解説》 平成31年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)様式が明らかに~改正法人税法省令公布、普通法人と公益法人、特定医療法人等の別表1が同一様式に~
平成31年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた改正法人税法施行規則が4月12日付官報号外第76号で公布された。これら改正後の様式は原則平成31年4月1日以後終了事業年度から適用される(改正法規附則2)。
日本の企業税制 【第66回】「政府税調専門家会合で検討進む「連結納税制度の見直し案」」~第2回会合資料(2019.2.14)から~
昨年11月7日に第1回会合が開かれた政府税制調査会の「連結納税制度に関する専門家会合」は、本年2月14日に第2回が開かれ、さらに今後も検討が深められていくこととされている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第1回】「CFOのみなし役員該当性」
当社は財務部門の強化、そして将来的なIPOまで見込み、外部から実績のあるCFO(最高財務責任者)を招へいすることとなりました。
当該CFOは、取締役としての役員登記はしませんが、金融機関等との交渉で資金調達を一手に担い、成果を出すことを期待していますし、社長は自身の「右腕」として、経営判断について財務的な観点から加わってもらいたいと言っています。また、重要クライアントとの交渉にも参加してもらう予定です。報酬は年棒制ですが、貢献度に応じてインセンティブを与える計画です。
この場合、法人税法上、何か留意する点はありますか。
船舶会社の事業承継に係る諸問題-株式評価と船舶評価について-
国内船舶会社X社の創業者オーナーのA氏は、息子であるB氏を後継者にすべく、事業承継を行うことを検討している。X社は、パナマ共和国を本店所在地とする株式会社Y社及びZ社の各株式を100%保有しており、Y社及びZ社は、合計10隻の船舶を所有している。
A氏が、B氏に事業承継を行うに際し、X社の事業価値を算定する必要があるところ、どのような点に留意するべきか。
相続税の実務問答 【第34回】「相続人以外の者に相続分を譲渡した場合の相続税の申告」
母が、平成31年2月12日に亡くなりました。父は、20年前に亡くなっており、相続人は長男である私と妹の2人だけです。
母は、父の死亡後、父が経営していたA社の社長として同社の経営に当たってきました。当初は赤字続きで、母も大変苦労しましたが、妹と従妹の甲が母をよく支えてくれ、2人のおかげで、毎年、利益を出せるまでになりました。
一方、私は、大学を卒業後、母の会社経営を手伝うこともなく、大手商社に就職し、実家に顔を出すのも年1回くらいでした。
母の遺産は、母が住んでいた家屋とその敷地、A社の株式及び若干の預金ですが、この際、私の相続分を従妹の甲に贈与したいと思います。
もしも、私が私の相続分の全てを甲に贈与した場合には、私は、相続税の申告をしなくてもよいのでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第3回】「支配関係の定義」
前回は、100%グループ内での組織再編の適格要件に用いられる「完全支配関係」の考え方について解説を行いました。
今回は、50%超100%未満グループ内での組織再編の適格要件に用いられる「支配関係」の考え方について解説していきます。
「支配関係」の考え方については、「完全支配関係」の考え方と類似しているため、同様の表現を用いて説明します。
《速報解説》 節税目的の保険商品に係る保険料取扱いを見直した改正通達案がパブコメに付される~最高解約返戻率の区分ごとに一定額を資産計上、遡及適用なし~
支払保険料の全額が損金に算入される上、解約時の返戻率を高く設定することで解約ありきの保険契約による節税効果を謳った法人向けの保険商品が金融庁、国税庁から問題視されていたところ、4月11日付けでこれらの対応を含む定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いの見直しを目的とした法人税基本通達の一部改正案がパブリックコメントに付された(意見募集締切日は5月10日)。
《速報解説》 改正相続法の施行に伴い国税通則法基本通達が改正される
国税庁は、平成31年3月18日付(HP公表は4月8日)で「「国税通則法基本通達(徴収部関係)」の一部改正について(法令解釈通達)」を公表した。
これは、平成30年(2018年)7月6日に「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立し、原則として令和元年(2019年)7月1日から施行されるが、それに伴っての改正となる。
以下では新設された通達のうち、2つの項目について解説を行う。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第75回】「国語辞典から読み解く租税法(その3)」
辞書や辞典では、各々がそれぞれの編集方針を採用している。例えば、三省堂の国語辞典についていえば、「実例に基づいた項目を立てる」という前提の下で、編纂及び編集がされている(飯間・前掲書38頁)。
このような編集方針のことを「実例主義」という。同書の例でいえば、「専門知識を提供する辞書とは別に、『それは要するにどのようなものか』という、基本的なことを説明する辞書」としての役割を担おうとしているからこそ、「実例主義」を採用しているようである。