《速報解説》 事業承継税制の特例制度の前提となる認定・確認手続を規定した「経営承継円滑化法の改正省令案」がパブコメに付される
この特例制度を受けるためには、現行の事業承継税制と同じ建付けとして、経営承継円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)による経済産業大臣の認定及びその後の継続的な確認を受ける必要があるのだが、このたび2月8日付けで、特例制度の創設に対応した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に対する意見の募集について」がパブリックコメントに付された(意見・情報受付締切日は3月9日)。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第61回】「条文の『見出し』から租税法条文を読み解く(その1)」
法令解釈に当たって、条文の文章自体に最大限の注意を払い、読み解く必要があるのは当然であるが、条文の「見出し」についてはどうであろうか。
条文本体ではないから注意を払う必要がないとしてよいのか、それとも条文本体同様の注意を払うべきであろうか。
見出し自体も法令であるから、例えば、見出しの変更を行う場合にも、国会での審議を要することとされている。すなわち、見出しはその条文と一体として、見出しについても改正対象とされているのである。したがって、新しく見出しを付する場合や、見出しを削る場合なども条文の改正作業と同様に進められることになる。
本稿では、条文の見出しに注目して、見出しが条文解釈にいかなる影響を及ぼすかについて考えてみたい。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第1回】「使用人兼務役員の定義と役割」
1997年、ソニー(株)によって初めてわが国に執行役員制度が導入されてから20年が経つ。当時、多くの会社では、取締役会において「経営方針の決定」と「業務の遂行」を行っており、そのため取締役の数が多く、会社の意思決定が迅速に行われているとは言い難かった。
そこで執行役員制度が導入され、取締役と執行役員を分け、取締役会では意思決定の迅速化を図り、執行役員は業務の遂行を担うという、役割分担がされるようになっていった。
〔平成30年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第3回】「「所得拡大促進税制の見直し」及び「中小企業向け租税特別措置の適用制限」」
所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している法人が給与等支給額を一定以上増加させた場合に、その増加額の一定割合について税額控除が認められる制度である。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)が控除限度額となる。
当該税制を適用するためには、給与等支給額の増加に関する3要件を全て満たす必要があるが、このうち平均給与等支給額の要件が、平成29年度税制改正により見直されている。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第31回】「一部の対象譲渡について「相続空き家の特例」を適用しないで申告した場合」-相続空き家の特例を適用しないで申告した場合-
Xは、父親が相続開始の日まで単独で居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築)及びその敷地200㎡を、昨年3月に父親の相続により取得し、その家屋を取り壊して更地にし、昨年10月にその一部である100㎡を4,000万円で売却しました。その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
「相続空き家の特例(措法35③)」は、1人の相続人ごとに1回しかその適用を受けることができないことから、まずは、昨年分の譲渡所得については同特例を適用しないで申告をし、その後の残地100㎡の売却が4,000万円未満の場合は、昨年分の申告に関して同特例を適用させて更正の請求をしようと考えています。
適用上の問題がないか教えてください。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第24回】
なお、条文構成として、法人税法62条の7第1項が吸収型再編、第2項が特定資産譲渡等損失額の計算方法、第3項が新設型再編となっている。このうち、第3項であるが、「特定資本関係(筆者注;現行法では「支配関係」に名称変更)がある被合併法人等(被合併法人、分割法人及び現物出資法人をいう。以下この項において同じ。)と他の被合併法人等との間で法人を設立する特定適格合併等が行われた場合」と規定されている。
すなわち、単独新設分割を行った場合には、他の被合併法人等が存在しないことから、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の適用対象から除外されるという点にご留意されたい。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第33回】「右山事件」~最判平成17年2月1日(集民216号279頁)~
Xは、平成5年に父親AからBゴルフクラブの会員権(B会員権)の贈与を受け、名義書換手数料として80万円を支払った。B会員権は、Aが昭和63年に1,200万円で取得したものだった。その後、Xは、平成9年に、B会員権をC社に100万円で譲渡した。
Xは、Aが支払った取得費用と自らが支払った名義書換手数料の合計額を資産の取得費として譲渡所得の金額を計算し、平成9年分の所得税の確定申告を行った。Y税務署長が、名義書換手数料は資産の取得費に含まれないとして更正処分を行ったので、Xはこれを不服として出訴した。一審・二審はXの主張を認めなかったが、最高裁はXの主張を認めた。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第41回】「寄附金(債権放棄)」~子会社再建支援のための債権放棄が寄附金に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「子会社再建支援のための債権放棄は寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成27年2月24日判決(税資265号順号12606。以下「本判決」という)を素材とする。
《速報解説》 平成30年度税制改正法案、第196回通常国会に提出される
平成30年1月22日から会期がスタートした第196回通常国会だが、このたび昨年12月公表の平成30年度税制改正大綱を受けた、いわゆる平成30年度税制改正法案が国会に提出された。