租税争訟レポート 【第27回】「分掌変更に伴う役員退職金の分割支給(東京地方裁判所判決)」
本件は、原告が、創業者であり、前代表取締役である非常勤取締役(以下「本件役員」という)に対して退職慰労金として支給することを決議した2億5,000万円について、平成19年8月期に7,500万円、平成20年8月期1億2,500万円と分割して支給した退職慰労金のうち、平成20年8月期に支給した役員退職慰労金(「以下「本件第二金員」という」について、(1)退職給与に該当するかどうか、(2)支給した事業年度の損金の額に算入できるかどうかをめぐって、争われた裁判である、
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第12回】「行為計算の主体など」
第7回から第11回までは、同族会社等の行為計算の否認が創設規定なのか、確認規定なのかについて争われた裁判例の分析を行った。
第12回に当たる本稿では、行為計算の主体について判示された事件、「行為」「計算」について判示された事件をそれぞれ紹介することとする。
特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第6回】「〈事例4〉欠損等法人を適格合併又は清算で整理するケース(第4号事由)」
〈事例1〉のように、買収したい会社に、休眠会社がおまけのようについてくる場合、何らかの方法により、休眠会社を整理する必要が生じる。この場合、欠損等法人となる休眠会社を合併法人、事業子会社を被合併法人とした合併をすると、休眠会社及び事業子会社の繰越欠損金と含み損に使用制限が生じてしまう。
そこで、本ケースのように①休眠会社を被合併法人、事業子会社を合併法人とする逆さ合併を行うか、②休眠会社を清算するか、のいずれかについて、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)が適用されるかを検討する必要が生じる。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第25回】「贈与契約書」
【問】土地を贈与するにあたり、贈与契約書を作成しましたが、課税文書に該当しますか。また、課税文書に該当した場合、印紙税額はいくらになりますか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第11回】「パチンコ平和事件」~最判平成16年7月20日(集民214号1071頁)~
今回紹介する判例は、過少申告加算税の賦課を免れる要件である「正当な理由」が、納税者にあったか否かが問題となった事例である。
同族会社A社の出資者Xが、A社に対し無利息で金員の貸付をしたところ、Y税務署長が、いわゆる行為計算否認の規定を適用し、Xには利息相当分の雑所得があるものとして、Xに対し、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
このうち上記「正当な理由」について、Xは、東京国税局が編集等に関与した解説書等の存在を理由に「正当な理由」があると主張したが、最高裁は、「正当な理由」は認められないとした。
《速報解説》 平成28年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律」等が3月31日付官報:特別号外第13号にて公布~施行日は原則4月1日~
平成28年3月29日の参議院本会議で可決・成立した平成28年度税制改正関連法である「所得税法等の一部を改正する法律」が、3月31日(木)夜に官報特別号外第13号にて公布された(法律第15号)。施行日は原則平成28年4月1日(法附則第1条)。また地方税関係の改正法「地方税法等の一部を改正する等の法律」も官報同号にて公布されている(法律第13号)。
《速報解説》 大阪国税局、「土地とともに取得した建物の取壊しに伴う補助金等の税務上の取扱いについて(文書回答事例)」を公表
大阪国税局は3月1日付(ホームページ公表日は3月23日)、「土地とともに取得した建物の取壊しに伴う補助金等の税務上の取扱いについて(文書回答事例)」を公表し、「標題のことについては、御照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。」と回答した。
改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第1回】「法改正の経緯、改正概略及び適用時期」
本連載(全5回を予定)では、①法改正の経緯とその概略、②不服申立が従前の二段階の手続から選択的なものとされ、「異議申立て」が「再調査の請求」と名称変更されたこと、及び、改正後において「再調査の請求」を行うか否かの判断要素、③証拠の閲覧、謄写権の新設による実務の変化とこれへの納税者の対応方法、④その他の改正点を述べた上で、⑤現在の審判所における取消裁決の傾向、不服申立段階における効果的な主張、立証の在り方について私見を記したいと考えている。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第2回】「別表6(1) 所得税額の控除に関する明細書」及び「別表6(1)付表 所得税額の控除に係る元本所有期間割合の計算等に関する明細書」
第2回目は、平成27年12月22日に国税庁のホームページで新様式が公表されたばかりの「別表6(1) 所得税額の控除に関する明細書」及び「別表6(1)付表 所得税額の控除に係る元本所有期間割合の計算等に関する明細書」を採り上げる。
特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第5回】「〈事例3〉欠損等法人の債権を額面未満で取得しているケース(第3号事由)」
本ケースにように、ある事業会社を買収しようとした場合に、売主の希望により、その事業会社の株式とともに、その事業会社に対する債権を額面未満の金額で取得する場合があるが、買収前から営んでいる事業(旧事業)を継続する場合は、第1号事由及び第2号事由に該当しないため、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)は適用されないであろうか。