裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第4回】「募集株式の発行等③」
前回は、大阪地裁昭和48年11月29日判決について解説を行った。
【第4回】に当たる本稿では、大阪高裁昭和51年4月27日決定、佐賀地裁昭和51年4月30日判決について解説を行うこととする。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第8回】「減価償却費」~架空の減価償却資産と判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して、減価償却資産を架空資産と認定した上で、これに係る減価償却費の損金算入を否認した法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成24年4月9日裁決(裁決事例集87号291頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。
税務判例を読むための税法の学び方【79】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その7:「事業に従事したことその他の事由」の解釈③~夫弁護士・妻税理士事件(最判平17.7.5))
前回の「夫弁護士・妻弁護士事件」に続き「夫弁護士・妻税理士事件」を見ていく。
この判決は、弁護士業を営む原告が、税理士業を営む妻に対して、顧問税理士契約に基づいて税理士報酬等を支払った点について、税務署長が「生計を一にする配偶者」に支払ったものに該当するから所得税法56条を適用し、それを必要経費に算入しえないとして更正決定をしたところ、原告がこれを不服として、原告が負担させられた金額について誤納金として返還するよう請求した事案である。
《速報解説》 平成28年度税制改正法案が3月29日に参議院にて可決、成立~税効果会計の適用税率に関する31日公開予定記事を緊急公開~
平成28年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する等の法律案)(以下、改正税法)は衆議院での可決を経て参議院における審議が行われていたが、このたび3月29日付けで参議院本会議にて自民・公明両党などの賛成多数により可決、成立した。
《速報解説》 複数年度にまたがる工事に係る補助金の経理処理及び圧縮記帳の取扱いについて、東京国税局が文書回答事例を公表
東京国税局が平成28年3月3日付で回答を行った事前照会が、同月18日に国税庁HPにおいて公開された。
照会した当事者は、鉄道事業を営む法人であり、複数年度にまたがって鉄道工事を行うとともに補助金を受け取る場合の、経理処理及び圧縮記帳の取扱いについて、事前照会を行ったものである。
《速報解説》 中小企業者を対象とした「軽減税率対策補助金」の内容が明らかに~改修等の内容によりA型・B型の2区分、税制改正法案成立後の改修等が支援対象~
消費税率10%の引上げをめぐっては、政府が有識者の意見を聞くなど未だ先行き不透明な状態だが、予定通り軽減税率制度が来年4月1日に導入されるとした場合、この制度に対応したレジ等のシステム導入・改修には1年以上の期間を要するケースもあり、対応が必要な企業にとっては待ったなしの状態だ。
《速報解説》 東京国税局、包括受遺者への相次相続控除適用の可否に関する文書回答事例を公表~相続税法では相続人と包括受遺者を別の取扱いと判断~
国税庁は、相続人以外の者が包括遺贈により財産を取得した場合における相次相続控除の適用の可否の事前照会について、平成28年3月3日付で、「貴見(相次相続控除は適用できない)のとおりで差し支えない」との回答を公表している。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第21回】「土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物」
A社は都内に数件の旅館、ホテルを経営していますが、昨年6月に甲駅から徒歩3分の所にある中古の木造旅館用建物とその敷地を取得しました。
取得した段階では、売主は旅館として経営しており、相当数の顧客がありました。A社としては取得後も旅館として経営し続けるつもりでしたが、昨年12月頃より顧客の足がパタリと止まってしまいました。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例36(消費税)】 「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する事業年度においては、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、課税事業者を選択できたにもかかわらず、これを失念したため、設備投資に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」
依頼者は子会社管理を目的とする持株会社であり、設立以来、課税資産の譲渡取引を一切行っていなかった。そして、設立5期目に税理士に事前に相談せずに、賃貸不動産を購入した。税理士はこれを決算月に知らされたため、「今からでは消費税の還付は受けられない」と説明をし、何の手立ても講じなかった。