貸倒損失における税務上の取扱い 【第10回】「子会社支援のための無償取引⑥」
本事件においては、適正利率をどのように算定すべきであるかという点と、法人税基本通達9-4-2に定める「相当の理由」があるか否かという点が争われた事件である。
実務上、いずれとも重要な内容ではあるが、本連載は貸倒損失についての連載であり、当該判例を紹介した理由としては、法人税基本通達9-4-2の内容を分析するためであるため、本稿では後者についてのみ解説を行うこととする。
《速報解説》 使途秘匿金の支出がある場合の課税特例の適用期限撤廃~平成26年度税制改正大綱~
この制度は、法人が使途秘匿金と認められる支出をした場合には、その支出をした事業年度の通常の法人税額に、その使途秘匿金の支出額の40%を加算するものである。
《速報解説》 中小企業者等以外の欠損金の繰戻し還付不適用措置の適用期限延長~平成26年度税制改正大綱~
この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(欠損事業年度)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができる制度である。
ただし、次の欠損金額については、その適用が停止されている。
《速報解説》 支払調書等の本店等一括提出制度の創設~平成26年度税制改正大綱~
平成25年12月24日に閣議決定された「平成26年度税制改正大綱」の中で、支払調書等の提出について見直しを行うことが明記された。
ここでは、その内容について解説する。
《速報解説》 国税庁『消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A』の公表について
1月20日付け、国税庁から消費税率引上げに関するQ&Aの第2弾である『消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A』が公表された。
平成25年4月に公表された第1弾のQ&A(「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」)は、施行日以後に旧税率が適用される経過措置の具体的な取扱いに関するものであったが、今回の第2弾については、施行日が近づくにつれてクローズアップされてきた適用税率における実務的な取扱いに関するものである。
《速報解説》 「生産性向上設備投資促進税制」に関する申請書・確認書等、関連資料の公表について
平成26年度税制改正により創設された「生産性向上設備投資促進税制」の具体的な手続に必要となる確認書・申請書等の様式や説明資料について、産業競争力法の施行日である平成26年1月20日付けで、経済産業省のホームページにおいて公表された。
《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成25年4月~6月)」~注目事例の紹介~
国税不服審判所は、1月16日、「平成25年4月から6月分までの裁決事例の追加等」を公表した。
今回追加されたのは表のとおり、全16件の裁決であり、最近の公表裁決事例同様、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部取り消された事例が11件を占め、棄却された事例は5件に止まっている。税目としては所得税が8件、相続税が2件、法人税、登録免許税が各1件、手続法から、国税徴収法3件、国税通則法1件となっている。
本稿では、今回公表された16件の裁決事例のうち、注目事例をいくつか紹介したい。
《速報解説》 個人事業者に対する債務免除益課税の見直し(個人事業者に係る事業再生税制の創設)~平成26年度税制改正大綱~
平成25年12月24日に閣議決定された「平成26年度税制改正大綱」は、特に、いわゆるアベノミクスの第三の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」の達成を税制面から支えるという関係にある点が特徴的であり、民間投資を喚起するための措置として、各種の投資促進税制の創設や所得拡大促進税制の拡充などが盛り込まれているところである。
こうした民間投資の喚起のための税制措置とは少し観点が異なるが、今回の税制改正大綱には、様々な事情から窮境に陥っている個人事業者に対し、事業再生や再チャレンジ等を促進することを通じて地域経済の活性化を図るために、個人事業者に対する債務免除益課税の見直し措置が盛り込まれている。
これは端的には「個人事業者に対する事業再生税制の創設」と呼べるものである。
日本の企業税制 【第3回】「企業の公的負担」
法人実効税率の引下げが重要な課題となっている。
確かに法人税負担を比較する指標として、実効税率は明快である。
しかし、実効税率は法人の課税所得に課せられる法人所得課税の「表面税率」でしかない。
政策税制による減免だけでなく、企業会計上の当期利益(これは、国によって大きな違いはない)から課税所得を導くまでの「課税ベース」の計算方法が異なれば、実効税率だけを比べても意味はない。
まだある!消費税率引上げをめぐる実務のギモン 【第2回】「前払費用の取扱いについて(その2)」
第1回は、施行日を含む1年分の賃料を施行日前に支払った場合の取扱いについて確認したが、平成26年4月分以降の賃料については、新税率8%分を本体価格に上乗せして支払うことを前提条件とした。
今回は施行日を含む1年分の賃料を施行日前に支払った場合でも、その支払金額が全額旧税率で支払われるケースを取り上げて確認していくこととする。さらに、新旧税率差3%分につき施行日後に追加で支払った場合についても、併せて確認していくこととする。
【Q-2】 施行日を含む1年分の賃料を全額旧税率で施行日前に支払った場合
【Q-3】 新旧税率差3%分について施行日後に請求を受けて追加で支払った場合