事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第54回】「従業員持株会の解散」
私はS社の総務部長Eです。当社には、20年程前に設立した従業員持株会があり、S社株式の40%を保有しています。
10年程前になりますが、業績不振で何年間も配当ができない年が続いたため、A社長の意向で、すべての従業員に従業員持株会からの退会を促し、S社から従業員持株会に仮払金を提供する形で退会精算(出資金の払戻し)を行っています。
従業員持株会はA社長の相続対策に必要との理由から解散せず、私と経理部長Fの2名が組合員として籍を残してS社株式を保有し続けています。私たちも出資金の大部分について払戻しを受けており、ほぼ名義貸しのような状態ではありますが、法律上はS社株式と多額の借入金を共有している状態になっているそうです。
現在、S社の業績は堅調で配当財源に困ることはありません。したがって、改めて従業員に出資してもらうことが現実的な解決策ではないかと考えています。ただし、一度は従業員に退会を促した手前、A社長は従業員に出資を要請することに難色を示しており、他に良い方法があれば従業員持株会を解散してしまいたい意向です。
A社長の相続対策に影響がないようにS社の仮払金を解消したうえで、従業員持株会を解散する良い方法はないでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第19回】
問11で述べたとおり、事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等で一定のものなどについて、消費税を納める義務があり、資産の譲渡等が国内において行われたかどうかという内外判定を行う必要がある。その判定は、次の場合の区分に応じて、それぞれに定める場所が国内にあるかどうかにより行う。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第87回】「財産分与と譲渡所得課税事件」~最判昭和50年5月27日(民集29巻5号641頁)~
Xは、その妻Aと調停離婚し、財産分与としてAに土地建物(本件不動産)を譲渡した。Xは、当該年分の所得税の確定申告をしたが、その際、本件不動産の譲渡所得については申告しなかった。そこで、Y税務署長は、Xに対し、本件不動産につき譲渡所得の申告漏れがあるとして、更正処分を行った。
Xは、これを不服として、更正処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。
《速報解説》 インボイス制度開始を踏まえ、各個別通達を消基通に統合等する改正案がパブコメに付される~軽減・インボイス通達等を取り込み、Q&AやR5改正に係る所要の改正も~
国税庁は令和5年6月1日付で「消費税法基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)を示し、本改正案に対する意見募集を行っている。
《速報解説》 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議、第2回を開催~現行評価額に市場価格との乖離率を乗じる方法が有力か~
マンションの評価方法の適正化を目的として、既報のとおり本年1月30日(月)に第1回が開催された「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」について、6月1日(木)に第2回が開催され、翌2日付けでその内容が公表された。
monthly TAX views -No.124-「『安倍晋三 回顧録』に歴史的な価値があるか」
安倍氏が内政・外交を赤裸々に語っており、当時のオバマ大統領、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席などへの個人的な評価や秘話も描かれており、大変興味深い内容である。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例52】「請負契約により取得した機械装置の取得時期」
私は、中部地方において自動車部品の製造業を営む株式会社A(資本金20億円で3月決算)において、経理部長を務めております。中部地方にはわが国を代表する自動車メーカーの工場が多数存在しており、わが社もそれらに属する担当者から要求される厳しい品質基準とコスト管理に音を上げつつも、何とか食らいついて、これまで事業を維持することができてきたところです。
租税争訟レポート 【第67回】「税理士法人による期限後申告と青色申告承認取消処分(福岡地方裁判所令和4年12月14日判決)」
本件は、青色申告の承認を受けていた株式会社である原告が、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことを理由として、処分行政庁から青色申告承認取消処分(本件処分)を受けたため、被告を相手として、本件処分の取消しを求める事案である。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第6回】「消費税法における届出書の提出時期に係る「やむを得ない事情」のレベル」
消費税法における課税事業者の選択や簡易課税制度については、その適用しようとする課税期間の初日の前日までに選択(不適用)届出書を提出しなければならないが、「やむを得ない事情」がある場合の宥恕規定も存在する。
これを受けて、消費税法基本通達1-4-16(13-1-5の2)は、自己の責任によらない災害、事業者に帰責事由のない状態、1ヶ月以内の相続により相続人が新たに個人事業者となったなど、税務署長がやむを得ないと認めた場合がこれに該当するとしている。