《速報解説》 国税庁、令和7年4月施行に向け「プラットフォーム課税」の特設ページを開設~国外事業者及びプラットフォーム事業者向けのQ&A等を掲載~
令和6年度税制改正では、国外事業者がプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供のうち、一定の規模を有するプラットフォーム事業者を介して対価を収受するものについては、そのプラットフォーム事業者が行ったものとみなして、国外事業者に代わり納税義務が課される制度(プラットフォーム課税)が導入された(令和7年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供について適用)。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第41回】「源泉徴収の法律関係に関する判例法理」-最判昭和45年12月24日民集24巻13号2243頁による「源泉徴収法」の創造-
所得税の源泉徴収は所得税法と国税通則法で規定されている。すなわち、所得税法は第4編(源泉徴収)において、居住者に対する利子所得に係る利子等及び配当所得に係る配当等(第1章)、給与所得に係る給与等(第2章)、退職所得に係る退職手当等(第3章)、公的年金等(第3章の2)及び報酬、料金等(第4章)の支払、並びに非居住者又は外国法人に対する一定の国内源泉所得及び内国法人に対する一定の所得の支払(第5章)について源泉徴収義務を中心に規定を設けるほか、所得税の納期の特例(第6章)並びに所得税の納付及び徴収(第7章)を定め、また、国税通則法は源泉徴収義務を「納税義務」としてその成立及び確定に関する規定の中に取り込み(15条1項・2項2号・3項2号)、その上で所得税の源泉徴収を、納税の告知(36条1項2号)を起点として国税の徴収(第3章第2節)等の手続に組み込んでいる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例137(法人税)】 「分割があった場合の「試験研究費の認定申請書」の提出を失念したため、試験研究費の特別控除につき「調整計算の特例」の適用ができなくなってしまった事例」
令和5年3月期の法人税の「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」(以下単に「試験研究費の特別控除」という)の適用に当たり、令和4年4月1日に会社分割を行い、分割承継法人に事業を一部移転したため、「分割等による移転試験研究費の額の計算方法の認定申請書」及び「分割等による移転売上金額の計算方法の認定申請書」(以下単に「試験研究費の認定申請書」という)を提出して所轄税務署の認定を受け、分割法人及び分割承継法人の「分割等による試験研究費の額の区分に関する届出書」及び「分割等による売上金額の区分に関する届出書」(以下単に「試験研究費の届出書」という)を提出して、比較試験研究費の額及び平均売上金額を調整(以下「調整計算の特例」という)した方が有利であったにもかかわらず、「試験研究費の認定申請書」を提出しないまま「試験研究費の届出書」のみを提出したため、所轄税務署から「調整計算の特例」は適用できないとの指摘を受け、修正申告することになってしまった。
これにより「試験研究費の特別控除」が減少し、法人税等につき追徴税額が発生し、損害賠償請求を受けた。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第8回】「講習会事業・資格事業(法人税)」
本学会の講習会事業の収入(受講料等)は、法人税法上の収益事業に該当するのでしょうか。また、本学会の資格事業の収入(受験料・登録料・更新料等)は、法人税法上の収益事業に該当するのでしょうか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第40回】「相続開始日の前日に持分放棄をした場合、相続人は不動産を承継しないからその相続人に対する賦課決定処分は違法であるとされた事例」
固定資産税は、賦課期日に固定資産を有している者に対して課されるものである(地法343①、359)。この場合の固定資産の所有者というのは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律2条2項の区分所有者とする)として登記又は登録がされている者(地法343②前段)とされる。つまり、固定資産の所有者であっても、固定資産課税台帳に所有者として登録されない限り、固定資産税を課されることはない(※1)。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第53回】「サンリオ事件-外国子会社合算税制における適用除外規定の適用-(地判令3.2.26、高判令3.11.24)(その2)」~法人税法69条15項、(旧)租税特別措置法66条の6第3項(現行2項)、7項~
裁判所は「その余については判断するまでもなく、原告の請求には理由がないと判断する。」と判示し、実体審理を行わなかった。
日本の企業税制 【第130回】「スタートアップ育成をめぐる制度整備」
わが国にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出し、第2の創業ブームを実現するため、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」(以下「5か年計画」という)が閣議決定されてから2年が経過しようとしている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第64回】「定期同額給与の期首からの改定」
3月決算法人である当社は、税務上の定期同額給与の改定時期を期首からとする予定です。つまり、4月から改定後の額にて役員給与を支給することになります。
この場合、何か問題はありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第67回】「適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱い」
今回は、適格株式移転を行った場合の株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の取扱いについて解説します。
相続税の実務問答 【第98回】「各相続人が単独で相続税の申告書を提出する場合の小規模宅地等の選択の同意」
父が、3月に亡くなりました。相続人は姉と私の2名です。父は、東京都S区と出身地のM県T市にアパートを所有していましたが、S区のアパートは私が、T市のアパートは姉がそれぞれ遺贈により取得しました。
現在、相続税の申告の準備をしているところですが、私の名義となっている定期預金500万円について2人の認識が異なっています。すなわち、私はこの預金を10年前に父から贈与されたものと認識していますが、姉は、父が私名義で預金したに過ぎず私に贈与されたものではないとの認識であり、この預金は父の遺産として相続税の申告に含めるべきであると主張して譲りません。そこで、私は、相続税の申告書を姉とは別に作成し、提出したいと考えています。
なお、S区のアパートの敷地250平方メートル及びT市のアパートの敷地300平方メートルは、いずれとも20年以上前から父の貸付事業の用に供されてきたもので、いずれも父の貸付事業を承継し、しばらく保有を継続することとしていますので、限度面積200平方メートルまでの範囲内で小規模宅地等の特例を適用することができます。
この特例は、地価の高いS区のアパートの敷地について適用した方が相続税の総額が小さくなりますので、私が取得したS区のアパートの敷地に適用することについて、姉も異存はないと言っています。S区のアパートについて、小規模宅地等の特例を適用するにはどのようにすればよいでしょうか。