Ⅶ 在外子会社等の会計処理の改正
2018年9月14日と2019年6月28日にASBJより、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等の改正が公表された。
1 2018年改正
2018年9月14日にASBJよりIFRS第9号「金融商品」の適用に伴い、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(以下、「2018改正在外子会社取扱い」という)」及び実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い(以下、「2018改正持分法取扱い」という)」の改正が公表された。
(1) 改正の内容
在外子会社等においてIFRS第9号「金融商品」を適用し、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合(OCIオプション(※))、連結決算手続上、当該資本性金融商品の売却損益相当額及び減損損失相当額を当期の損益として修正する(2018改正在外子会社取扱い 当面の取扱い(5))。
(※) OCIオプションとは、取得原価と時価の差額(評価差額)をその他の包括利益(OCI)として認識し、その後、リサイクリングを行わない(売却時の売却損益や減損損失を計上せず、利益剰余金に振り替える)ことをいう。
また、持分法適用関連会社において在外子会社取扱いに準じて処理を行う場合には、上記と同様に修正を行う(2018改正持分法取扱い 当面の取扱い)。
(2) 適用時期
[原則]
2019年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用する(2018改正在外子会社取扱い 適用時期(3)①)。
[容認]
➤在外子会社取扱いの公表日以後最初に終了する連結会計年度及び四半期連結会計期間において早期適用することができる(2018改正在外子会社取扱い 適用時期(3)②)。
➤また、「2020年4月1日以後開始する連結会計年度の期首」又は「在外子会社等が初めて IFRS 第9号「金融商品」を適用する連結会計年度の翌連結会計年度の期首」から適用することもできる。なお、2019年4月1日以後開始する連結会計年度以降の各連結会計年度において、改正在外子会社取扱いを適用していない場合、その旨を注記する(2018改正在外子会社取扱い 適用時期(3)③)。
〈持分法適用関連会社の場合〉
改正持分法取扱いの適用時期も同様である(2018改正持分法取扱い 適用時期(2)①②③)。
(3) 適用初年度の取扱い
改正在外子会社取扱いの適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。
ただし、2018改正在外子会社取扱いの適用初年度においては、会計方針の変更による累積的影響額を当該適用初年度の期首時点の利益剰余金に計上することができる。
この場合、在外子会社等において IFRS 第9号「金融商品」を早期適用している場合は、遡及適用した場合の累積的影響額を算定する上で、在外子会社等においてIFRS第9号「金融商品」を早期適用した連結会計年度から在外子会社取扱いの適用初年度の前連結会計年度までの期間において資本性金融商品の減損会計の適用を行わず、在外子会社取扱いの適用初年度の期首時点で減損の判定を行うことができる(2018改正在外子会社取扱い 適用時期(3)④)。
〈四半期の場合〉
2018改正在外子会社取扱いの公表日以後最初に終了する四半期連結会計期間に2018改正在外子会社取扱いを早期適用し、会計方針の変更による累積的影響額を適用初年度の利益剰余金に計上する場合、会計方針の変更による累積的影響額を早期適用した四半期連結会計期間の期首時点ではなく連結会計年度の期首時点の利益剰余金に計上する。
また、早期適用した連結会計年度の翌年度に係る四半期連結財務諸表では、早期適用した連結会計年度の四半期連結財務諸表(比較情報)について2018改正在外子会社取扱いの定めを当該早期適用した連結会計年度の期首に遡って適用する(2018改正在外子会社取扱い 適用時期(3)⑤)。
〈持分法適用関連会社の場合〉
2018改正持分法取扱いも同様である(2018改正持分法取扱い 適用時期(2)④⑤)。
2 2019年改正
2019年6月28日にASBJより実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(以下、「2019改正在外子会社取扱い」という)」の改正が公表された。
当該改正では、IFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という)及び米国会計基準会計基準更新書第2016-02号「リース(Topic 842)」(以下、「リース(Topic 842)」という)の適用に伴い、「考え方」が整理されている。
(1) 考え方の整理
IFRS第16 号及びリース(Topic 842)を対象に、修正項目として追加する項目の有無について検討が行われ、日本の連結財務諸表を作成するにあたり、修正項目の追加は行わないこととなった(2019改正在外子会社取扱い 本実務対応報告の公表及び改正の経緯 2019 年改正)。
つまり、在外子会社等がIFRS第16号やリース(Topic 842)を適用している場合、これらの適用に伴う会計処理について、修正することなく、日本の連結財務諸表に取り込む。
なお、在外関連会社の財務諸表がIFRS又は米国会計基準に準拠して作成されている場合、及び国内関連会社が指定国際会計基準又は修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合については、当面の間、実務対応報告第18 号に準じて行うことができる。
(2) 適用時期
2019年6月28日以後適用する。