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被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第4回】「被災による企業内部の法律問題」

被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔法務面のアドバイス〕 【第4回】 「被災による企業内部の法律問題」   弁護士 岨中 良太   1 取締役の死亡・行方不明 災害によって取締役全員が死亡あるいは行方不明となった場合、企業活動を継続するには、取締役を選任する必要がある。 株主に働きかけ、裁判所の許可を得て株主総会を招集してもらい、その株主総会において取締役を選任することになる。株主全員の協力が得られる場合には、全員出席総会として招集手続がなくとも取締役の選任が可能である。 株主の協力が得られない場合には、そもそも株主総会を開くことができないため、会社の利害関係人(役員、従業員、債権者等)が裁判所に対して一時取締役(仮取締役)の選任を申し立てることになる。裁判所から選任された仮取締役は、正式な取締役が株主総会によって選任されるまでの間、通常の取締役の権限を行使することになる。 なお、取締役の一部が死亡・行方不明となり、法定又は定款所定の取締役の員数が欠ける結果となった場合には、株主総会において後任の取締役を選任することになる。   2 定時株主総会の開催時期 災害の影響により、定時株主総会を定款所定の時期に開催することができず、当該時期の経過後に定時株主総会を開催した場合、形式的には株主総会招集手続の定款違反として株主総会決議取消事由となる。 もっとも、東日本大震災の際には、定時株主総会の開催時期に関する定款の規定については、通常、天災等のような極めて特殊な事情によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合にまで形式的・画一的に適用してその時期に定時株主総会を開催しなければならないものとする趣旨ではないと考えるのが、合理的な意思解釈であるとして、開催時期が定款所定の時期より後になったとしても定款違反にならないと考えられていた。   3 従業員の被災 (1) 災害発生時における企業の安全配慮義務 安全配慮義務とは、雇用関係に関しては、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をしなければならない使用者の義務(労働契約法5条)である。使用者たる企業が安全配慮義務を怠った場合、債務不履行責任(民法415条)として労働者側から損害賠償請求を受けることがある。 安全配慮義務の内容は、労働者の職種、労務内容、労働提供場所等の具体的な状況に応じて定まるものであり、一律には論じられないが、災害に伴う安全配慮義務としては、事前に情報収集を行い災害対策を行うべき義務と、事後に災害に関する情報収集を行い現場において対応すべき義務が考えられる。 災害発生直後に関していえば、企業は、混乱した現場においても、発生した災害に関する情報を収集し、全従業員の状況を把握しなければならず、現場における限られた情報を基に、短時間で適切に指示命令等の対応を行わなければならない。 (2) 労災 災害による場合でも、労災として認められ、労災保険給付を受けられる可能性がある。 まず、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」の「業務災害」に労災保険給付が適用されるところ、「業務災害」に該当するためには、①業務起因性(業務又は業務行為を原因として被害が発生したこと)と②業務遂行性(労働者が労働契約に基づき事業主の支配・管理下にあったこと)という2つの要件を満たす必要がある。東日本大震災の際に示された厚生労働省の立場を前提とすると、勤務中に災害に遭った場合には広く柔軟に①業務起因性と②業務遂行性の要件が肯定されると考えられる。 また、「労働者の通勤による負傷、疾病障害又は死亡」の「通勤災害」に労災保険給付が適用されるところ、「通勤災害」に該当するためには労災保険法7条2項所定の「通勤」に該当することが必要である。災害が発生した場合、通常の通勤経路以外の経路を利用することや、通勤中に警報が発令され一時避難場所へ立ち寄ること、あるいは自宅以外の場所から通勤することなどの事情が発生するが、それら事情に合理性が認められる限り、「通勤」に該当する可能性は十分にある。 業務災害及び通勤災害のいずれについても、労災保険給付が認められるか否かを労働者自身で判断することなく、労災請求を勧めるのが適切であると考えられる。 (3) 賃金 災害により従業員が出勤できなくなった場合、当事者双方の帰責性なく従業員の労務提供債務が履行不能となった場合に該当し、反対給付である賃金支払債務も消滅するのが民法上の原則である。 したがって、原則として企業は従業員に対して、出勤しなかった期間に相当する賃金を支払う必要がない。 もっとも、上記民法上の原則は特約によって異なる合意が可能であり、労働契約、労働協約、就業規則等において異なる定めがなされていないか、確認する必要がある。 (4) 解雇 従業員の解雇に関しては、労働契約法16条によって、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には権利の濫用として無効とされている(解雇権濫用法理)。そして、災害を原因とする解雇は従業員に帰責性のない解雇であり、いわゆる整理解雇としてその有効性が厳格に判断されることになる。 すなわち、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務を尽くしたこと、③被解雇者選定基準及び選定の合理性、④解雇手続の相当性を満たす必要がある。 実際の解雇の有効性の判断については、事案ごとに個別に判断されることになるが、災害が発生すれば解雇が許されるという単純なものではない。また、災害によって連絡もできないまま出勤不能になった場合について、形式的に無断欠勤を理由として解雇することは許されない。 (了)

#No. 205(掲載号)
#岨中 良太
2017/02/09

〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第11回】「公的支援制度を上手く活用するには(前編)」

〔新規事業を成功に導く〕 フィージビリティスタディ10の知恵 【第11回】 「公的支援制度を上手く活用するには(前編)」   中小企業診断士 西田 純   前回はグラフを使って数字を見える化することのメリットについてお話しました。 ここまででフィージビリティスタディの中身についてお話すべきトピックは一通りご紹介できたと思います。連載もあと2回を残すのみとなりましたので、今回と次回はフィージビリティスタディを行うための各種公的支援制度の活用方法についてお伝えしたいと思います。 今回はその前編ということで、競争的な審査において提案を採択されやすくするためのヒントをいくつかご紹介します。   ▷ 公的支援制度のあれこれ 政府や自治体などが民間企業、特に中小企業の支援を目途として主に海外で実施されるフィージビリティスタディを支援するためのさまざまな制度を設けており、今から新年度にかけてさまざまな制度の説明会や応募受付に関する情報がネット上を賑わします。 よく知られたものをいくつか挙げてみましょう。 制度によって補助金あるいは委託事業と形式は異なりますが、いずれもフィージビリティスタディの実施に必要な資金の一部または全部を制度によって負担してもらえる仕組みになっています。競争的な審査を経て採択された提案に対してのみ支援が行われるため、企画提案の募集や審査が多くの役所で年度初めに集中して実施されるようです。   ▷ 採択の確率を上げるための工夫その1:味方を増やせ! 競争的な審査を通じて採択されるための工夫はいくつかあります。それらが絶対的な条件になる、とまでは言いませんが、上で紹介した例を見ただけでも提案書の内容が細かく規定されているもの(国際協力機構など)、比較的条件が緩いものなど役所によって、また事業によって違いがあります。いずれの場合でも普段からの努力を通じて、実施される事業の技術的近傍に知り合いや味方をたくさん作っておくことをお勧めします。 たとえば大学の先生などは、これらの役所に頼まれて提案書を読む審査委員を務めたりします。フェアな競争を妨げない範囲で、自分たちの技術について予め知っておいてもらうことは悪いことではないと思いますし、先生たちにとっても、日本の企業が持っている技術的優位性を知見として持てることは自分たちの研究にもつながるので、企業が学会などを通じた情報提供を行うことについては歓迎してくれる向きが多いようです。 このような普段からの地道な努力が、結果として採択率を上げることにつながったりします。   ▷ 採択の確率を上げるための工夫その2:自腹を切って現場を見ろ! 競争的な審査において提案の説得力を高めるのは、何と言っても提案書の臨場感ある文章です。加えて言えば、写真やデータなどを駆使してF/Sで検証すべき仮説をどの程度納得的に説明できるか、ということになります。 逆に、見たこともない現場に関する記述はどうしても薄っぺらなものになりますし、数多くの提案書を審査しなくてはいけない委員の立場に立てば、そのような提案書は劣位に置かざるを得ない≒採択の確率は低くなる、ということだと思います。 では臨場感ある文書や写真、データなどを入手するにはどうすればよいか?もうお分かりと思いますが、支援事業が公募される前に自腹で現場を訪問する、くらいの投資が必要だということですね。 役所側も勝ち馬に乗りたいので、自腹を切って現場の情報を取るくらいの覚悟がある会社が抱えている案件は成功確率が高い案件だろう、という見込みを立てる≒採択の確率は高くなる、と言えると思います。 F/Sを実施するための資金を得るためにまずは自費で出張する、などと言うといささか逆説的に聞こえるかもしれませんが、公的支援制度について飾ることなく現状をお話すると、つまりはそういうことになります。 一人×一度の予備的な出張が、制度支援を受けて数次にわたるミッション派遣につながると考えれば、必ずしも引き合わない話ではないと思いますが、如何でしょうか。   ▷ 採択の確率を上げるための工夫その3:世の中の流れに乗れ! 提案の妥当性を高めるための工夫として、注目度の高い政策や条約交渉に歩調を合わせた提案ができると良い、というものがあります。 たとえばですが、最近首相訪問があったような東南アジアの国において、産業人材の育成につながるような提案ができるとすると、経済産業省や中小機構のF/S支援制度であれば好感を持たれる可能性が高いと思いますし、国際協力機構であれば提案が向け先の国が抱える開発課題にどれだけ資するかという視点は審査上たいへん重要視されます。 その意味で、昨年採択された気候変動に関するパリ協定は重要な動きだったのですが、ここへきてアメリカのトランプ新政権が見直しを示唆しているため、雲行きが怪しくなってきました。大きな流れで捉えれば、気候変動対策の重要性が全くなくなるわけではありませんが、関連する提案をしようとする場合、協定の今後がどのようになるのか、しっかり見極めて提案書に反映することが必要になると思います。 *   *   * 以上、公的支援制度の活用について、採択の確率を上げるためのヒントをいくつかお話しました。次回はいよいよ最終回ですが、採択された後のF/S実施に関する心構えについてお話したいと思います。 (了)

#No. 205(掲載号)
#西田 純
2017/02/09

顧客との面談が“ちょっと”苦手な税理士のための面談術 【第4回】「面談が苦手=実はビジネスマナー違反?」

顧客との面談が“ちょっと”苦手な 税理士のための面談術 【第4回】 「面談が苦手=実はビジネスマナー違反?」   有限会社コーディアル 代表取締役 坪田 まり子   皆さん、こんにちは。坪田まり子です。 突然ですが、今回はみなさんへ率直にお尋ねします。 皆さんは、どんな性格でいらっしゃいますか? 「明るい」とか「暗い」とか、はたまた「積極的」や「消極的」など、いろんな性格があろうかと存じます。ちなみに私の性格は、「明るい」、「いつも元気」、しかしながら「かなりの心配性」、そしてときに「短気」だと自覚しています。 私は、こんな自分の性格があまり好きではありません。 心配症のため、ときに落ち込みすぎて結構つらいときがあるからです。 また、ときに短気なところがあるので、未だに母と言い争いになることがあります。お互いに自分の言い分を譲らないため、翌日まで話をしない、目を合わせないこともしばしば。もうお恥ずかしい限りです。 皆さんは、ご自身の性格がお好きでしょうか。 もし、私みたいに好きではない自分の一面があるとしたら・・・ちょっと憂鬱ですよね、きっと。 ◆  ◆  ◆ 皆さんはご存知でしょうか。誰からも好印象を持たれるタイプは、「明・元・素」タイプで、その反対は「暗・病・短」タイプだと言われています。 「明」とは明るい、「元」とは元気、すなわち活き活きしているということ、「素」とは素直、爽やかという意味だと思います。 逆にマイナスイメージの「暗」とは、暗くどんよりしているということ、「病」とはぐったりしていつも疲れているように見えるということ、そして「短」とは短気で、すぐキレるということだと思います。 ここに私の性格を当てはめると、「明」「元」「短」・・・。 残念!2つは好印象を持たれる部分が入っていますが、1つだけマイナス要因が入っています。 言い訳をさせていただけるなら、短気なのは母に対してだけだと思ってくださいませ。なぜかというと、疲れて帰って来て、やっとくつろいでテレビを見ている私に、母は「あーでもない、こうでもない」と、どうでもいいことを突然、長々と言ってきます。また、私の都合も考えず、いつも自分勝手に用事を言いつけてきます。「まりちゃん、悪いんだけど・・・」のようなクッション言葉を添えることもなく、お構いなしに、「買い物行ってきて!」(母にはまったく悪気がないことは分かっているのですが・・・) 同じような親子関係の悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 でも世の中には、良好な人間関係を築くための「ビジネスマナー」という素晴らしいものが存在するのです。 「面談がちょっと苦手」と悩んでいる皆さん。その悩みの理由が、初対面の相手には笑顔がなかなか作れなくて、とか、どちらかといえば暗い性格ゆえに、話を盛り上げたり明るく接するのが苦手、とか、人の目を見て話すことが苦手・・・などであるなら、大丈夫です! ビジネスマナーをフル活用することで、お悩みをすべて解決できるはずです! ◆  ◆  ◆ ここで皆さんに質問です。 ビジネスマナーとは、いったい何でしょうか? 学生や社会人の方々に対し、私はよく「皆さん、ビジネスマナーはお好きですか?」とお尋ねすることがあります。 その反応はいつも、「・・・・・・。」 好き、と手を挙げてくださるのは、1人か2人程度です。 なぜなのでしょうか。 おそらくそれは、マナーとは堅苦しいもの、規則やルールのこと、というイメージがあるからだと思います。もちろんそれもビジネスマナーに含まれますが、新米税理士の皆さんには、その意義を正しく認識していただくために、ちゃんと解説させていただきます。 ビジネスマナーの意義は、次の3つです。 ① 人に迷惑をかけないため ② 人に好感を与えるため ③ 人に敬意を表するため 規則やルールは世の中には必要です。それが①に該当します。小さい頃から、まずはご両親から、それからは学校という集団生活の中で教えられてきたものです。皆さんなら、人に迷惑をかけてはいけないことぐらい、もう分かっていらっしゃるはずです。 つまり、良好な面談ができるようになるためのポイントは、②と③。 こんなふうに考えていただけませんでしょうか。 僕は人に対して、常に好感を与えているだろうか? 私は人に対して、常に敬意を払っているだろうか? 「好感を与える」代表例が、相手の目を見て話すこと、そして笑顔で話すことです。「敬意を表する」代表例が、きちんとした敬語で話すこと、そして丁寧にお辞儀をすることです。 こう考えると、笑顔が作れない、人の目を見て話すことが苦手という人は、最大のビジネスマナー違反をしているということであり、ビジネスマナーをまったく活用していないことになります。 ビジネスマナーとは、社会の中で人間関係を良くするための潤滑油であり、ビジネスマナーが備わっている人には社会性が感じられ、周囲に対し安心感を与えることができるのみならず、誰からも感じの良い人と認めてもらえることができるはずです。 母と私の関係においては、「家族だから」という甘えから、相手の都合をまったく考えないで何かを依頼したり、ニコリともしないで用件だけをつっけんどんに言ってしまうのだと思います。 本当は、かけがえのない家族に対してこそ、敬意を表して大事にしなければいけないことくらい分かっているのに。。。 家族にこそ、ビジネスマナーをフル活用しましょう!と言いたいところですが、家庭では互いに楽に自然体でいたいですものね(苦笑)。 ◆  ◆  ◆ 心身ともに“大人になる”ということは、自分の苦手意識を自ら取り除き、周囲と良好な関係を築くことができるということだと思います。生まれたての赤ちゃんは、感情の赴くまま、ただ泣くことしかできませんが、大人は自分の気持ちも表情もしっかりコントロールすることができるはずです。 笑顔が作れない方、人の目を見るのが苦手な方、どうか頑張って、これから出逢うお客様に対してビジネスマナーを表現するということに チャレンジしてみてください。 そのすべてが、「相手に対する敬意」であるからです。 それができたときに、相手はきっと皆さんをもっと好きになってくださるはずだからです。 私も母との関係において、これからは心身ともに大人の振る舞いをすることをお約束します(ちょっと頑張ってみます!)。 ◆  ◆  ◆ 笑顔は自分のためというより、相手のためだと捉えてみてください。例えば、病院などで長く待たされてイライラしているときなど、見ず知らずの赤ちゃんが純粋無垢な笑顔でニコッと笑ってくれたとき、思わず周囲がつられて笑顔になるでしょう?これも「笑顔がもたらすマジック」だと思います。 笑顔は相手のためにある。そして相手も笑ってくれるから、結局、それを見た自分も笑顔になる。まさに「笑顔の連鎖反応」! 笑顔はビジネスマナーの中でも、最高レベルの表現方法なのです。 どうぞビジネスマナーの意義をしっかり認識していただき、一歩、皆さんの心と接客スキルを大人に近づけてみませんか? *  *  * 次回は、いよいよ「雑談」を得意にする方法についてお話します。これこそビジネスマナーの魔法をたくさん活用することで、あっという間に、苦手を得意に、変えられるかもしれませんよ。 次回もどうぞお楽しみに。 (続く)

#No. 205(掲載号)
#坪田 まり子
2017/02/09

《速報解説》 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する財務諸表等規則等の改正案(公開草案)が公表~「公共施設等運営事業に関する注記」を新設へ~

《速報解説》 公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する 財務諸表等規則等の改正案(公開草案)が公表 ~「公共施設等運営事業に関する注記」を新設へ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年2月6日、金融庁は、財務諸表等規則及び連結財務諸表規則などを改正する公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これは、企業会計基準委員会が、平成28年12月22日に公表し、平成29年2月22日まで意見募集している「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第48号)に対応するものである。 財務諸表等規則などの改正に関する意見募集期間は平成29年3月7日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の主な内容 1 財務諸表等規則及び連結財務諸表規則の改正案 「公共施設等運営事業に関する注記」を新設する(財規8条の31、連結財規15条の25)。 公共施設等運営事業を行っている場合には、公共施設等運営事業ごとに、次の事項を注記する(財規8条の31第1項、連結財規15条の25第1項)。 更新投資については、次の区分に応じ、公共施設等運営事業ごとに注記する(財規8条の31第2項、連結財規15条の25第2項)。 ただし、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない(財規8条の31第3項)。 財務諸表及び連結財務諸表の表示に関して、次の規定を新設する(貸借対照表及び連結貸借対照表の様式も改正)。 2 財規ガイドライン及び連結財規ガイドラインの改正案 財規ガイドラインに次の規定を設ける(連結財規ガイドラインは15の25を新設し、財規ガイドラインを準用)。   Ⅲ 適用時期等 実務対応報告「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」の適用日と合わせ、同日から施行する予定である。 (了)

#No. 204(掲載号)
#阿部 光成
2017/02/08

《速報解説》 厚生労働省「社会福祉法人制度改革に伴う租税特別措置法第40条の適用に関するQ&Aについて」を発出~定款改正等に伴い措置法第40条の適用要件を満たさなくなった場合の対応を示す~

 《速報解説》 厚生労働省「社会福祉法人制度改革に伴う租税特別措置法第40条の適用に関するQ&Aについて」を発出 ~定款改正等に伴い措置法第40条の適用要件を満たさなくなった場合の対応を示す~   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   平成29年4月1日に改正法令が施行される社会福祉法人制度改革においては、高い公益性・非営利性を担保することを目的に、法人が自律的に適正な運営を確保するためのガバナンス強化が図られている。 例えば、次のような対応が求められることとなる。 上記の内容を前提として、平成29年1月24日付、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課より、「社会福祉法人制度改革に伴う租税特別措置法第40条の適用に関するQ&Aについて」が公表された。 租税特別措置法第40条(国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税)とは、土地建物等の現物財産を公益法人等に寄附した場合において、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対する所得税について非課税とする制度を規定した条文である。 Q&Aは、①社会福祉法人からの問い合わせへの対応と②所轄庁監査の際の対応の2問からなっている。 1問目の社会福祉法人からの問い合わせは、過去に租税特別措置法第40条の適用を受けていたにもかかわらず、失念等により、この適用を前提とせず、上記ガバナンス強化には対応する定款に改正した場合、直ちに国税庁長官の非課税承認が取り消されることになるのか、というもの。これに対し、直ちに取り消されることはなく、税務署等からの指摘の際に、租税特別措置法第40条の適用要件を満たす定款へ改正すればよいと回答されている。 2問目の所轄庁監査の際の対応は、租税特別措置法第40条の適用要件を満たす定款に改正したにもかかわらず、所轄庁の監査において、理事等に親族等特殊関係者(4~6親等以内の親族等)が3分の1を超えて含まれていることが判明した場合どのようにすればよいのかという問いに対し、直ちに文書指摘等を行うことはせず、次回の評議員会で理事を選任し直すよう助言することが適当と回答している。 なお、本事務連絡については、国税庁と協議済みであるとしている。 (了)

#No. 204(掲載号)
#中村 友理香
2017/02/06

《速報解説》 eLTAXのシステム障害により期限後申告となった場合の対応について各地方団体ごとの対応に留意

《速報解説》 eLTAXのシステム障害により期限後申告となった場合の対応について 各地方団体ごとの対応に留意   Profession Journal編集部   本年1月28日頃からアクセス集中やシステム障害によりサイトがつながりにくい状態が続いていた地方税ポータルシステムであるeLTAX(運営:一般社団法人地方税電子化協議会)は、昨日(2月1日)午後よりシステム障害が改善されたと公表した。 今回のシステム障害により、1月末を提出期限としていた申告書がeLTAXにおいて受信されず期限後申告になってしまった場合の対応について、東京都主税局は、今回に限り特別に行うものとして、「平成29年2月1日から2月3日に受け付けた申告(紙による提出分を含む)については、平成29年1月31日に申告書の提出があったものとして取り扱う」との情報(「eLTAX へのアクセス集中に伴う、法人事業税、地方法人特別税、法人都民税、事業所税(特別区)、固定資産税(償却資産・特別区)の申告書の対応について」)を公表した。 (※) 東京都主税局は当初(1月31日)「平成29年2月1日に受け付けた申告(紙による提出分を含む)については、平成29年1月31日に申告書の提出があったものとして取り扱う」としていたが、翌2月1日に上記の対応とするとの情報更新を行った。 ただし、埼玉県・県税事務所ではホームページ上で「埼玉県では、紙・eLTAXの別を問わず、提出期限が平成29年1月31日までに到来するものの期限を、平成29年2月10日(金)まで延長することとしました。」と公表するなど、各都道府県税事務所において期限内申告と認める期日に差異が生じているようだ。 なお本稿公開現在、大阪府は「大阪府では、eLTAX側の事情により、やむを得ず申告等の期限に間に合わない場合(紙による提出分を含む)にあっては、期限内に申告書の提出があったものとして取り扱うことといたします。詳細については、改めてお知らせいたします。」と公表しており具体的な期限は示されていない。 このため今回のシステム障害の影響で申告書の提出が2月にずれこんだ場合、まずは所管の県税事務所ホームページにおいて情報を確認し、必要に応じ問い合わせを行うなどの対応を行っておきたい。 今回の件を受け日税連はホームページで周知した上で、「日本税理士会連合会では関係省庁等へ弾力的運用をしていただくよう要望していますが、1月末申告期限分の送信できなかった申告書の取扱いについては各地方団体にご確認ください。」としている。 また、eLTAXを運営する地方税電子化協議会は、「各地方団体に対し、eLTAXによる電子申告等について遅れる場合がある旨を連絡し、理解を求めております。※上記のeLTAX側の事情により、仮にやむを得ず申告等の期限に間に合わない場合にあっては、地方税法において特段の問題はないことを総務省に確認済みです。」としている。 なお、eLTAXホームページ上では、システム障害により送信途中で通信が切断される事態が今後も起こりうる可能性があり、現在原因究明中とのことだ。 (了)

#No. 204(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2017/02/02

プロフェッションジャーナル No.204が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年2月2日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.204を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/02/02

monthly TAX views -No.49-「シェアリングエコノミーと税制」

monthly TAX views -No.49- 「シェアリングエコノミーと税制」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   米国や英国では、「シェアリングエコノミー」(sharing economy)や「ギグ・エコノミー」(gig economy)と税制・社会保障制度をどのように調和させるかが大きな課題となっている。 Gigとは、ジャズなどのライブを行う際に、ネットを通じて単発の仕事を受注したり発注したりすることを意味するスラングで、Gig economyとは、そこで働く非正規の労働者によって成り立つ経済形態のことである。 企業としての評価額が10億ドル(約1,250億円)以上で、非上場のベンチャー企業は「ユニコーン企業」と呼ばれるが、そのランキングを見ると、Uber(ウーバー)や Airbnb(エアビーアンドビー、民泊仲介)など、「シェアリングエコノミー」の代表企業が上位に名を連ねている。 そこで働く人々も、専門的知識や経験を持つ者が、組織にとらわれることなく仕事を見つけることができる、というメリットがあるので、今後大きく発展していく可能性が高いという意味で、ポジティブな評価がされている。 このようなことから、新たなビジネスを生み出すシェリングエコノミー企業の発展を阻害しないようにしつつ、税収確保や社会保険料(年金、失業保険など)を適切に行い、働く人々の権利も保護して行こう(共存しよう)というのが英米の当局の問題意識である。 *  *  * ここでは、英国で取り上げられている代表例としてUber を取り上げ、筆者の問題意識を述べてみたい。 ご承知のように、Uberは、配車アプリを使って、一般人が自分の空き時間と自家用車で他人を目的地に運ぶサービスを提供する会社であり、ギグ・エコノミーの代表選手である。Uberは、運転手から20-30%程度の手数料を取ることにより収益を上げる。 問題は、このビジネスモデルから生じる、税金、社会保障の問題で、所得税、法人税、消費税、社会保険料と、極めて多方面にわたっている。 所得税の課題としては、ロンドンですでに3万人がUberの下で働いているが、税当局は彼らの所得情報をどうやって集めることができるのか、Uberに源泉徴収義務を課すことが可能かなど、徴税コストをかけずに公平な課税を可能にする工夫が必要だ。 消費税の課題もある。運転手が乗客から受け取る運賃には、通常のケースでは消費税がかかるが、運転手は免税事業者なのか。Uberは消費税の負担義務を負わないのか、などなどである。 そもそもUberは、運転手とどういう契約を結んでおり、社会保険料負担はどうなっているのか。失業保険や年金などの制度の埒外なのか。 さらに法人税の問題がある。Uberは、配車というプラットフォームを提供するのがメインの業務なので、低税率国やタックスヘイブンにその拠点を構えることは可能だ。 例えば「ポケモンGO」の配信や運営は、米国サンフランシスコに拠点を置くNiantic Labs社が行っている。 米国に本社を置くUberは、すでに、名うてのタックスヘイブンであるオランダに中間持ち株会社を作り、そこに無形資産を移しているようだ。これは、租税回避の典型例といってよい。 *  *  * このように、現行の税制と社会保険料が、この「ギグ・エコノミー」、ひいては「シェアリングエコノミー」に追いついていない。 わが国でも早急にこの問題を受け止めて、共存共栄となる道を模索する必要がある。 なお、英国財務省のOTS“Gig Economy Focus Paper”は[こちらのリンク]から入手できる (了)

#No. 204(掲載号)
#森信 茂樹
2017/02/02

〔平成29年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「企業版ふるさと納税の創設」「欠損金の繰越控除限度額の見直し」「所得拡大促進税制」」

〔平成29年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】 「「企業版ふるさと納税の創設」 「欠損金の繰越控除限度額の見直し」 「所得拡大促進税制」」   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成28年度税制改正における改正事項を中心として、平成29年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は、「法人税率の引下げ」及び「法人事業税及び地方法人特別税の見直し」について解説した。 【第2回】は、「企業版ふるさと納税の創設」、「欠損金の繰越控除限度額の見直し」及び「所得拡大促進税制」について、平成29年3月期決算において留意すべき点を解説する。   1 企業版ふるさと納税の創設 平成28年度税制改正において、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が創設された。 青色申告法人が、地域再生法の認定地域再生計画に記載された「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に関連する寄附を支出した場合、従来の損金算入措置に加えて税額控除(法人事業税、法人住民税、法人税)を受けることができる。 平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間に支出した寄附金が対象となるので、平成29年3月期決算申告においては、対象となる寄附金がある場合は、申告時に注意が必要である。 【企業版ふるさと納税のイメージ】 (※) 法人道府県民税と法人市町村民税の合計 (※) 法人住民税から控除しきれなかった金額は、法人税から控除可能(上限あり)   2 欠損金の繰越控除限度額は28年度改正における再見直しに留意 平成27年度税制改正において、中小法人等を除き、欠損金の繰越控除限度額は繰越控除前所得の50%相当額にまで段階的に引き下げられることとされた。平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度については繰越控除前所得の65%相当額、平成29年4月1日以後に開始する事業年度は50%相当額とされたのである。 しかし、平成28年度税制改正においてさらなる改正が行われ、より細かい段階を経て50%相当額まで引き下げられることとされた。具体的には、平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度においては、繰越控除限度額は繰越控除前所得の60%相当額に引き下げられたのである。 その後は、平成29年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度においては55%相当額、平成30年4月1日以後に開始する事業年度においては50%相当額と、段階的に繰越控除限度額が引き下げられる。 一方で、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において発生した欠損金の繰越期間は、10年に延長される。 【欠損金の繰越控除】 (※) 資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の大法人の完全子会社を除く) 新設法人及び経営再建中の法人については、繰越控除限度額を引き下げることによる負担が大きいことから、一定の特例が設けられている。 なお、中小法人等については、引き続き繰越控除前所得の100%相当額を繰越控除限度額とし、引下げは行われていない。   3 所得拡大促進税制は中小企業者等以外の要件が変更されている 青色申告書を提出している法人が、給与等支給額を一定以上増加させた場合に、その増加額の10%の税額控除が認められる制度である。この制度を適用するには3つの要件を満たす必要があるが、そのうちの1つの要件が平成28年3月期とは少し異なっている。 具体的には、適用を受けようとする事業年度の給与等支給額が、基準事業年度と比較して増加していなければならない率が、3%ではなく、4%に変更されている(中小企業者等においては3%で変わらない)。 【所得拡大促進税制の適用要件】 (※) 平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の、直前の事業年度(3月決算であれば平成25年3月期) (了)

#No. 204(掲載号)
#新名 貴則
2017/02/02

平成28年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「株式等、公社債等の課税方法の見直し」

平成28年分 確定申告実務の留意点 【第3回】 「株式等、公社債等の課税方法の見直し」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成25年度税制改正において金融所得課税の一体化が図られ、平成28年1月1日から上場株式、株式投資信託、公社債、公社債投資信託の税務上の取扱いが統一された。 このため平成28年分の確定申告より改正後の取扱いとなることから、十分に留意が必要である。 (1) 公社債等の課税方法の見直し ① 公社債等の区分 平成28年1月1日以後、公社債等は税務上「特定公社債等」と「特定公社債等以外の公社債等(以下、「一般公社債等」という)」に区分される。 特定公社債等は、国債、地方債、外国国債、公募公社債投資信託等、市場で売買できる公社債等である。特定公社債等に係る所得は、今回の改正により、基本的に上場株式等に係る所得と同じ課税方法となった。 公社債等に係る所得としては、利子、譲渡損益、償還差損益がある。以下、それぞれの所得ごとに、課税方法の見直し内容について解説を行う。 ② 利子に対する課税方法 公社債等には利付債と割引債があり、利付債には定期的に利子が支払われる。公社債等の利子は、改正後も利子所得であるが、課税方法は次の通り改正されている(措法3①、8の4①)。 (※) 所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%(以下、申告分離課税の税率はすべて同じ) ③ 譲渡損益に対する課税方法 公社債等の譲渡損益は、改正前は非課税であったが、改正後は株式等に係る譲渡所得等に含まれることとなり、申告分離課税(譲渡所得)の対象となった(措法37の10、37の11①)。 したがって、特定公社債等の譲渡損失も上場株式等に係る譲渡損失として、上場株式等に係る配当所得等(特定公社債等の利子を含む)との損益通算の対象となる(措法37の12の2①)。 ④ 償還差損益に対する課税方法 公社債等の償還差損益は、公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなして20.315%の税率による申告分離課税(譲渡所得)の対象となった(措法37の10③④、37の11③④)。 (※) 所得税18%、復興特別所得税0.378%、住民税なし   (2) 損益通算の範囲の変更 平成28年1月1日からは、(1)で示した通り、上場株式等に係る譲渡所得等に特定公社債の譲渡損益及び償還差損益が含まれることになった。一方、申告分離課税の対象となる上場株式等の配当所得等に特定公社債等の利子が含まれることになった(措法8の4①)。 したがって、同日以後は、上場株式の譲渡損が生じた場合には、特定公社債等の譲渡益及び償還差益と通算できる。また、通算した結果がマイナスとなれば、その譲渡損失は特定公社債等の利子を含む上場株式等に係る配当所得等との損益通算及び繰越控除の対象となる(措法37の12の2)。   (3) 株式等に係る譲渡所得等の課税方法の見直し 平成28年1月1日以後の株式等に係る譲渡所得等は、「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等に係る譲渡所得等」に区分されることとなった(措法37の10、37の11)。 この見直しにより、上場株式等と一般株式等(非上場株式等)と間で、譲渡損益の通算をすることができなくなった(措通37の10・37の11共-3)。   (4) 特定口座の対象の拡大 平成28年1月1日以後は、特定口座の対象商品に特定公社債等が加わる。特定口座の「源泉徴収あり」の口座であれば、口座内で損益通算と源泉徴収が行われる(措法37の11の3①、37の11の6)。   (5) 計算例 上記の改正を踏まえた計算例を示すと、次の通りである。 *  *  * 第4回(最終回)は、確定申告に関する実務的なポイントをQ&A方式で解説する予定である。 (了)

#No. 204(掲載号)
#篠藤 敦子
2017/02/02
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