公開日: 2017/10/26 (掲載号:No.241)
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これからの国際税務 【第4回】「全世界所得課税方式と領域内所得課税方式」

筆者: 青山 慶二

これから国際税務

【第4回】

「全世界所得課税方式と領域内所得課税方式」

 

早稲田大學大学院会計研究科 教授
青山 慶二

 

1 2つの方式

法人税の課税にあたっては、外国法人は国内源泉所得についてのみ納税義務を負うのに対し、内国法人は全世界で稼得する所得を対象に納税義務を負うものとされている。

内国法人の全世界所得を対象とする課税方式(外国税額控除権付)は、国内のみで事業活動を行う法人と国内・海外の両方で事業活動を行う法人との間での税負担水準を平等に保つ効果があり、資本輸出中立性を保証する課税手法といわれてきた。

ただし、この方式を前提にすると、子会社形態で海外での事業展開を行う本邦法人は、子会社からの配当を繰り延べることにより親会社の全世界所得課税も遅らせることが可能となる。

近年、海外子会社資金の国内還流が減少する一方、海外での留保所得が増加している現象が伝えられ、そのことが、本邦にある各種資金需要(株主に対する配当支払、従業員に対するインセンティブ報酬支払、研究開発資金等)とミスマッチを起こしているとの批判を呼んでいる。

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これから国際税務

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「全世界所得課税方式と領域内所得課税方式」

 

早稲田大學大学院会計研究科 教授
青山 慶二

 

1 2つの方式

法人税の課税にあたっては、外国法人は国内源泉所得についてのみ納税義務を負うのに対し、内国法人は全世界で稼得する所得を対象に納税義務を負うものとされている。

内国法人の全世界所得を対象とする課税方式(外国税額控除権付)は、国内のみで事業活動を行う法人と国内・海外の両方で事業活動を行う法人との間での税負担水準を平等に保つ効果があり、資本輸出中立性を保証する課税手法といわれてきた。

ただし、この方式を前提にすると、子会社形態で海外での事業展開を行う本邦法人は、子会社からの配当を繰り延べることにより親会社の全世界所得課税も遅らせることが可能となる。

近年、海外子会社資金の国内還流が減少する一方、海外での留保所得が増加している現象が伝えられ、そのことが、本邦にある各種資金需要(株主に対する配当支払、従業員に対するインセンティブ報酬支払、研究開発資金等)とミスマッチを起こしているとの批判を呼んでいる。

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連載目次

これからの国際税務

筆者紹介

青山 慶二

(あおやま・けいじ)

現 職:千葉商科大学大学院 客員教授
    21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
専 門:国際租税

【略歴】
1971年 東京大学法学部卒業
1973年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、国税庁入庁
1998年 国税庁国際業務課長
2003年 ニューヨーク大学ロースクール客員研究員
2004年 国税庁審議官(国際担当)
2006年 国税庁退職、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(2019年3月定年退職)
2020年 千葉商科大学大学院客員教授

【主な審議会等委員】
OECD租税委員会(1998年~2000年、2004年~2006年)
経済産業省国際課税小委員会座長(2008年~2014年)
国連経済社会理事会・税に関する専門家委員会 委員(2009年~2014年)
国際租税協会(IFA)常設研究企画委員会 委員(2010年~2018年)
政府税制調査会専門家委員会 特別委員(2010年~2011年)

【近年の著書】
『米国内国歳入法第482条(移転価格)に関する財務省規則』社団法人日本租税研究協会(1995年)
『国際課税の理論と実務』(共著)有斐閣(1997年)
『改訂版国際課税の理論と課題』(共著)税務経理協会(1999年)
『租税条約の理論と実務』(共著)清文社(2008年)
『日本の税をどう見直すか』(共著)日本経済新聞出版社(2010年)
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(共著)大蔵財務協会(2011年)
『現代税制の現状と課題(国際課税編)』(単著)新日本法規出版(2017年)

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