谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第28回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-租税回避の否認アプローチ-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
租税回避の否認は、前回みたとおり、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことを意味するが、そこでいう「行為」の意味内容は、否認アプローチによって異なる。筆者がこのことを(現在ほど整然とではないにしても)初めて認識したのは、いわゆる外国税額控除余裕枠利用事件に関する2つの最高裁判決を検討したときであった(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)第2章第1節[初出・2007年]。第7回も参照)。
その2つの最高裁判決は、最(二小)判平成17年12月19日民集59巻10号2964頁(以下「平成17年最判」という)と最(一小)判平成18年2月23日訟月53巻8号2447頁(以下「平成18年最判」という)である。今回は、これらの判決の(特に「読み方」の)検討を通じて、租税回避の2類型(第22回)のうち税法上の課税減免規定の濫用による租税回避については、その否認のために異なるアプローチがあることを明らかにした上で、そのことを租税回避の手段論(第22回参照)の観点から検討することにする。
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