公開日: 2019/09/26 (掲載号:No.337)
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谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第20回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-実質主義と租税回避との相克-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第20回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-実質主義と租税回避との相克-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回まで、「租税法律主義と実質主義との相克」という主題の下、税法の解釈適用の「過形成」を検討してきたが、その検討を始めるに当たって、第6回で「税法の解釈適用論上の原理的課題」という副題の下、実質主義について、特に租税法律主義との相克の場面を念頭に置いて、その概要を述べた(特に参照)。

そこでは、「税(法)は私的経済活動の上に建てられた『家』のようなものである」ことを前提にして、「軟弱地盤の上に建つ家」にみられるが如き「建付けの悪さ」をいわば「建材の柔軟化」によって解消しようとする考え方として、実質主義を比喩的に描写した(【42】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018)の欄外番号。以下同じ)。

そのような実質主義に基づく課税すなわち実質課税の必要性について、的確な整理・指摘を行うものとして、次の見解(品川芳宣「実質課税の原則」金子宏ほか編『実践租税法大系(上)基本法編』(税務研究会・1981年)53-55頁。下線筆者)がある。少し長くなるが、そのまま引用しておこう。

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谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第20回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-実質主義と租税回避との相克-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回まで、「租税法律主義と実質主義との相克」という主題の下、税法の解釈適用の「過形成」を検討してきたが、その検討を始めるに当たって、第6回で「税法の解釈適用論上の原理的課題」という副題の下、実質主義について、特に租税法律主義との相克の場面を念頭に置いて、その概要を述べた(特に参照)。

そこでは、「税(法)は私的経済活動の上に建てられた『家』のようなものである」ことを前提にして、「軟弱地盤の上に建つ家」にみられるが如き「建付けの悪さ」をいわば「建材の柔軟化」によって解消しようとする考え方として、実質主義を比喩的に描写した(【42】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018)の欄外番号。以下同じ)。

そのような実質主義に基づく課税すなわち実質課税の必要性について、的確な整理・指摘を行うものとして、次の見解(品川芳宣「実質課税の原則」金子宏ほか編『実践租税法大系(上)基本法編』(税務研究会・1981年)53-55頁。下線筆者)がある。少し長くなるが、そのまま引用しておこう。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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