公開日: 2015/11/12 (掲載号:No.144)
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事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第4回】「免震ゴムのデータ偽装事件」

筆者: 原 正雄

事例で検証する

最新コンプライアンス問題

【第4回】

「免震ゴムのデータ偽装事件」

 

弁護士 原 正雄

 

2015年10月14日、ゴム会社T社が、防振ゴムでのデータ偽装を公表した。同年3月15日に公表された免震ゴムでのデータ偽装を受けて、全製品の緊急監査を行い、同年8月10日に「正規品が出荷されていることを確認」と発表した後のことであった。T社は、2007年にも、断熱パネルのデータ偽装で社長が引責辞任している。
今回は、2007年の断熱パネル事案、2015年3月の免震ゴム事案、2015年10月の防振ゴム事案をそれぞれ比較し、なぜ、異なるタイミングで問題が発覚したのか、コンプライアンス上の問題点を分析したい。

 

1 断熱パネル事案(2007年)

2007年11月5日、国土交通省は、T社がウレタン断熱パネルの不燃性能を水増ししていたと発表した

ウレタン断熱パネルは、店舗や工場の建材として使用されるパネルで、建築基準法上、燃焼試験に合格して大臣認定を受ける必要がある。T社は、燃焼試験に用いるサンプルに難燃性の材料(水酸化アルミニウム)を混ぜて性能試験に合格し、合計6件の国交省大臣認定を得た。しかし、実際に販売した製品には水酸化アルミニウムを混ぜておらず、一部の断熱パネルでは基準の3倍近い発熱性があったとのことであった。

同年10月、同業他社N社の建材の耐火性能偽装が発覚したため、社内調査を行ったところ、従業員の告白によって「不正」が明らかになった、とのことである。

T社の「社内調査報告書」によれば「不正」に至る経緯は、以下のとおりである。

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「免震ゴムのデータ偽装事件」

 

弁護士 原 正雄

 

2015年10月14日、ゴム会社T社が、防振ゴムでのデータ偽装を公表した。同年3月15日に公表された免震ゴムでのデータ偽装を受けて、全製品の緊急監査を行い、同年8月10日に「正規品が出荷されていることを確認」と発表した後のことであった。T社は、2007年にも、断熱パネルのデータ偽装で社長が引責辞任している。
今回は、2007年の断熱パネル事案、2015年3月の免震ゴム事案、2015年10月の防振ゴム事案をそれぞれ比較し、なぜ、異なるタイミングで問題が発覚したのか、コンプライアンス上の問題点を分析したい。

 

1 断熱パネル事案(2007年)

2007年11月5日、国土交通省は、T社がウレタン断熱パネルの不燃性能を水増ししていたと発表した

ウレタン断熱パネルは、店舗や工場の建材として使用されるパネルで、建築基準法上、燃焼試験に合格して大臣認定を受ける必要がある。T社は、燃焼試験に用いるサンプルに難燃性の材料(水酸化アルミニウム)を混ぜて性能試験に合格し、合計6件の国交省大臣認定を得た。しかし、実際に販売した製品には水酸化アルミニウムを混ぜておらず、一部の断熱パネルでは基準の3倍近い発熱性があったとのことであった。

同年10月、同業他社N社の建材の耐火性能偽装が発覚したため、社内調査を行ったところ、従業員の告白によって「不正」が明らかになった、とのことである。

T社の「社内調査報告書」によれば「不正」に至る経緯は、以下のとおりである。

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連載目次

「事例で検証する最新コンプライアンス問題」

筆者紹介

原 正雄

(はら・まさお)

弁護士。一橋大学法学部卒、中島経営法律事務所パートナー

専門は、コンプライアンス、企業危機管理、消費者対応、製造物責任、知的財産、労務、セクハラ・パワハラ、証券取引、M&A、訴訟など企業法務

主な著書に「社内規程整備で取り組む―中小企業のコンプライアンス対策」(清文社)、「図解 仕事の法律」(共著、三笠書房)、「ネットリスク対策なるほどQ&A」(共著、中央経済社)、「事例で見る借地借家契約の解除」(共著、新日本法規)など多数。
論文執筆、講演・研修など多数。

http://www.ntlo.net/partner/detail/id=15&contents_type=45

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