公開日: 2016/05/12 (掲載号:No.168)
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~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第9回】「任意組合が行っていた航空機リース事業が終了する際に組合員が受けた債務免除益等の所得区分を判断した事例」

筆者: 佐藤 善恵

~税務争訟における判断の分水嶺~

課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

【第9回】

「任意組合が行っていた航空機リース事業が終了する際に

組合員が受けた債務免除益等の所得区分を判断した事例」

 

税理士 佐藤 善恵

 

本連載の趣旨

課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。

本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。

なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース

 

平成27年5月21日東京地方裁判所[国側敗訴](国側控訴)

(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。

〔概要等〕

原告(甲)は、他の出資者と共に組合契約を締結して民法上の組合を組成した上、金融機関から金員を借り入れて航空機リース事業を営んでいたが、予定前に航空機を売却して事業を終了することとなった。

その際、①航空機の購入原資の一部となった借入金に係る債務の免除を受けたことによる利益(本件債務免除益)及び、②当該組合の業務執行者に対して支払うべき手数料に係る債務の免除を受けたことによる利益(本件手数料免除益)が発生し、これらの所得区分を巡って争いとなった。

なお、複数の同様の組合事業が運営されていたが、破綻したのは本件の組合事業だけである。

当事者の主張をみてみると、甲は、本件債務免除益本件手数料免除益一時所得に該当する旨主張し、他方、課税庁は、本件債務免除益雑所得に、本件手数料免除益は主位的には不動産所得に、予備的には雑所得にそれぞれ該当すると主張した。

裁判所は、いずれの所得についても一時所得に当たるとの判断を下しているが、ここでは、本件債務免除益についてのみ取り上げる

● ● ● ● ● ● ● (組合事業募集) 野村バブコックアンドブラウン株式会社 航空機 航空機購入 〈本件の組合〉 ノン・リコースローン 組合事業

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~税務争訟における判断の分水嶺~

課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

【第9回】

「任意組合が行っていた航空機リース事業が終了する際に

組合員が受けた債務免除益等の所得区分を判断した事例」

 

税理士 佐藤 善恵

 

本連載の趣旨

課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。

本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。

なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース

 

平成27年5月21日東京地方裁判所[国側敗訴](国側控訴)

(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。

〔概要等〕

原告(甲)は、他の出資者と共に組合契約を締結して民法上の組合を組成した上、金融機関から金員を借り入れて航空機リース事業を営んでいたが、予定前に航空機を売却して事業を終了することとなった。

その際、①航空機の購入原資の一部となった借入金に係る債務の免除を受けたことによる利益(本件債務免除益)及び、②当該組合の業務執行者に対して支払うべき手数料に係る債務の免除を受けたことによる利益(本件手数料免除益)が発生し、これらの所得区分を巡って争いとなった。

なお、複数の同様の組合事業が運営されていたが、破綻したのは本件の組合事業だけである。

当事者の主張をみてみると、甲は、本件債務免除益本件手数料免除益一時所得に該当する旨主張し、他方、課税庁は、本件債務免除益雑所得に、本件手数料免除益は主位的には不動産所得に、予備的には雑所得にそれぞれ該当すると主張した。

裁判所は、いずれの所得についても一時所得に当たるとの判断を下しているが、ここでは、本件債務免除益についてのみ取り上げる

● ● ● ● ● ● ● (組合事業募集) 野村バブコックアンドブラウン株式会社 航空機 航空機購入 〈本件の組合〉 ノン・リコースローン 組合事業

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連載目次

~税務争訟における判断の分水嶺~
課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

筆者紹介

佐藤 善恵

(さとう・よしえ)

税理士
京都大学MBA、京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学、税法学会会員

同志社大学大学院総合政策科学研究科非常勤講師等・近畿税理士会 調査研究部専門委員を経て、2010~2014年大阪国税不服審判所 国税審判官、2016年5月~大阪市行政不服審査会委員(会長代理・税務第1部会部会長)、2019年4月~神戸学院大学法学部教授

HP http://www.yoshie-sato.com/

【主な著書等】
『仮想通貨をめぐる法律・税務・会計』(共著)ぎょうせい
Q&A 実務に役立つ法人税の裁決事例選』清文社
『税制改正のポイント(小冊子)』(共著)清文社
Q&A 税務調査・税務判断に役立つ 裁判・審査請求読本』清文社
『判例裁決から見る加算税の実務(第2版)』税務研究会出版局
社長のギモンに答える法人税相談室』清文社
『税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解』(共著)ぎょうせい
『税務訴訟と要件事実論』(共著)清文社

 

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