〔会計不正調査報告書を読む〕【第22回】ジャパンベストレスキューシステム株式会社・「第1次第三者委員会調査報告書(平成26年6月2日付)」
ジャパンベストレスキューシステム株式会社は、平成26年10月29日、今年3回目となる第三者委員会の設置を発表した。約半年の間に3回の第三者委員会を設置するケースは、おそらく史上初めての事態である。
それぞれの委員会がどのような目的によって設置され、調査結果がどのように報告されたかを検証したい。
減損会計を学ぶ 【第21回】「共用資産の取扱い」
減損会計意見書及び「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)は、複数の資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産のうち、のれん以外のものを共用資産と定義している(減損会計意見書四2(7)①、減損会計基準注解(注1)5)。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第63回】包括利益③「包括利益の表示」―1計算書方式と2計算書方式、税効果の金額及び組替調整額の注記
Q 当社(P社)は、当事業年度の期中にS社の発行済株式総数の100%を取得し、子会社化しました。当事業年度から連結財務諸表を作成することとなりますが、個別財務諸表に含まれていない包括利益計算書を作成することになります。その表示方法について教えてください。
また、必要となる注記項目についても教えてください。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第23回】「法人税法22条2項の「取引」の意義(その2)」
ところで、これまでこの連載において解説してきたとおり、借用概念というものは他の法律分野からの概念の借用をいうのであって、会計からの借用概念というものはあり得ない。この点をまずは確認しておきたい。
しかしながら、そうであるからといって、会計にいうところの「取引」と同様の意味で理解すべきとする考え方が必ずしも否定されることになるわけではない。すなわち、固有概念として理解することができないわけではないからである。この点について、検討を加えることとしよう。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第1回】「改正の趣旨と背景」
こうしたことから、わが国に支店を有する外国法人だけでなく、外国に支店を有する内国法人にとっても税務コンプライアンス・コストが相当の規模で増加することが予想される。
今回の改正は、平成28年4月1日以降開始事業年度に適用される。
大幅な改正であるため、準備期間を考慮して適用開始まで2年の猶予を見込んでいる。
内容が大幅に変わっただけでなく、改正条文の数からみても膨大な量の改正であるため、影響を受ける納税者にとって相当な準備期間を要する。対象となる企業は、早期に影響を評価し適時に対応策の検討を開始する必要がある。
租税争訟レポート 【第20回】「株主優待券の使用に係る費用に対する課税(国税不服審判所裁決)」
本件は、飲食業を営む審査請求人(以下「請求人」という)が、使用された株主優待券の券面額を売上値引き等として経理し、確定申告していたところ、原処分庁が、当該株主優待券の使用に係る費用の額が交際費等に当たるとして更正処分を行ったのに対し、請求人が、同処分の一部の取消しを求めた事案である。
〈平成26年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「『扶養控除等(異動)申告書』記載内容の検討」
年末調整では、扶養控除等申告書に記載された内容に基づいて、人的な所得控除の金額を計算することになる。したがって、最初に、年末調整の対象となる者(以下、従業員等という)から扶養控除等申告書が提出されているかどうか、また、異動申告が適切に行われているかどうかについて検討を行う必要がある。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第30回】「判例分析⑯」
相互タクシー事件において寄附金の認定がなされたものの、資本等取引であるとして債務免除益の認定はなされなかった。
そのため、本稿においては、現行法上、同様のスキームが行われた場合において、債務免除益が認定される可能性があるか否かについて解説を行うこととする。
日本の会計について思う 【第11回】「のれんの会計処理をめぐる経緯」
前回私は、「修正国際基準(公開草案)の意義と3つの疑問」というテーマで、修正国際基準に対して若干の疑問点を提示しつつも、戦略的な意味でこれを評価するコメントを書かせていただいた。
今回はその公開草案第1号が取り扱っている「のれんの会計処理」について、その経緯の概略を述べることとする。それは、のれんの会計処理を巡って、日本はこれまで欧、米、国際の思惑に翻弄されてきたとの思いを私自身が強く抱いているからである。その点で今回の国際修正基準の公表は、まだ公開草案の段階ではあるが、良い意味で一矢を報いる可能性を持つと考えるのである。それは公開草案第2号「その他の包括利益の会計処理」についても同様である。