組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】「持分会社の組織再編成」
持分会社を前提とすると、支配関係とは、一の者が法人の出資の総額の100分の50を超える金額の出資を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の支配関係がある法人相互の関係をいい(法法2十二の七の五、法令4の2①)、完全支配関係とは、一の者が法人の出資の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の完全支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう(法法2十二の七の六、法令4の2②)。
〔令和3年度税制改正〕中小企業経営強化税制におけるD類型(経営資源集約化設備)の追加 【前編】
M&Aによる中小企業の経営資源の集約化を図ることを目的に、令和3年度税制改正により中小企業経営強化税制(以下「本税制」という)の対象にD類型(経営資源集約化設備)が追加され、適用期限が2年延長された。
正確に述べると、本税制の対象資産及び手続きに関しては、中小企業等経営強化法に規定されており、中小企業等経営強化法の改正によりD類型が対象資産に追加された。
〔令和3年度税制改正〕中小企業事業再編投資損失準備金の手続と税務処理 【前編】
令和3年度税制改正で創設された中小企業事業再編投資損失準備金制度(措法55の2)(「以下「本制度」という)について、改正中小企業等経営強化法による認定手続から準備金積立(損金算入・益金算入)に係る税務処理までを2回に分けて解説する。
〔令和3年度税制改正における〕株式交付に係る課税繰延べ措置 【第2回】「旧租税特別措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置」
【第2回】は、旧租税特別措置法(以下「措置法」という)における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置について確認する。
なお、旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置については、令和3年3月31日までの期限の到来をもって廃止されている。
〔令和3年度税制改正における〕退職所得課税の適正化 【第1回】「退職所得課税の基本と「短期退職手当等」の取扱い」
令和3年度税制改正において、退職所得課税の適正化が行われた。平成24年度税制改正において「特定役員退職手当等」が導入されたことに続き、今回は「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。本連載では、その内容について解説する。
【第1回】は退職所得課税の基本と、短期退職手当等の取扱いの概要について解説する。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例102(所得税)】 「事業用買換特例を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限の判定を誤ったため、特例が受けられず、修正申告となってしまった事例」
令和X年分の所得税につき、夫婦で2分の1ずつ共有する事業用土地建物を売却し、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下単に「事業用買換特例」という)を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限(それぞれの持分が300㎡以上でなければならない)により、特例が受けられず、修正申告となってしまった。これにより、土地の面積制限について正しいアドバイスを受けていれば、要件を満たしている他の土地を購入できたとして修正申告による追徴税額につき賠償請求を受けた。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】「住宅ローンを繰上返済した場合」-繰上返済等をした場合-
Xは、14年前から住んでいた家屋とその土地を本年1月に売却したところ、譲渡損失が出ました。
同年3月に、銀行に償還期間20年の住宅ローンを組んで買換資産を購入し、居住の用に供しましたが、父親の相続が発生し、その預貯金を相続したことから、同年11月に繰上返済してその償還期間を7年としました。
他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」
被相続人である甲は、100%所有していた土地(100㎡)及び家屋(40㎡は甲の事業用、60㎡は甲と配偶者乙の居住用)について、生前に土地の持分2分の1、家屋の持分2分の1を配偶者乙に贈与を行い、乙は贈与税の配偶者控除を適用して申告を行っています。贈与税の配偶者控除の適用については、相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用を受け、優先的に受贈配偶者の居住用部分として、土地家屋の2分の1相当は居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告を行っています。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」
「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(民法第1条第2項)は信義則ともいわれるが、同じような原則として「禁反言の法理」がある。これは、「人はいったんなした言動をそれが誤りである理由としてひるがえすことができない」という原則である。