〔会計不正調査報告書を読む〕 【第150回】「2023年における調査委員会設置状況」
本連載では、個別の会計不正に関する調査報告書について、その内容を検討することを主眼としているが、本稿では、「第三者委員会ドットコム」が公開している情報をもとに、各社の適時開示情報を参照しながら、2023年において設置が公表された調査委員会について、調査の対象となった不正・不祥事を分類するとともに、調査委員会の構成、調査報告書の内容などを概観し、その特徴を検討したい。
第三者委員会ドットコムが公開しているデータを集計したところ、2023年において、調査委員会の設置を公表した会社は71社であり、2021年の61社、2022年の57社を大きく上回っている。71社のうち、複数の調査委員会設置を公表した会社が以下のとおり6社あったため、設置が公表された調査委員会の数は78となる。
〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2023年12月】
2023年12月1日から12月31日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
《速報解説》 金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~
2024(令和6)年1月5日、金融庁は、「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限について」を公表した。
《速報解説》 国税庁、令和6年能登半島地震を受け国税の申告・納付期限延長を決定~対象は石川県及び富山県に納税地のある個人・法人~
令和6年2月16日(金)から3月15日(金)までとなる令和5年分の所得税の確定申告受付時期が近づくなか、国税庁は1月9日付けで、1月1日に発生した令和6年能登半島地震を受け、国税通則法第11条に基づき、下記の通り、地域指定による国税の申告・納付等の期限延長を公表した。
《速報解説》 一定の市場暗号資産に関する期末時価評価等からの除外~令和6年度税制改正大綱~
現行の法人税法においては、法人(内国法人又は恒久的施設を有する外国法人。以下同様)が各事業年度末時点において活発な市場を有する暗号資産(以下「市場暗号資産」という)を有する場合、当該市場暗号資産の法人税法上の評価額は時価法により評価した金額となり(法人税法61条2項)、かつ、当該法人がかかる市場暗号資産を「自己の計算」(同条3項)において有する場合には、期末時価評価による損益を当該法人の損金又は益金に算入するのが原則である。
《速報解説》 国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等~令和6年度税制改正大綱~
令和5年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正大綱」では、プラットフォーム課税の導入とあわせて、国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等が図られることとなった。以下に概説する。
《速報解説》 東証、親子関係にある上場会社等を対象に開示のポイントなどを整理~少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実・開示例等を示す~
2023年12月26日、東京証券取引所は、次のものを公表した。
① 少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実
② 少数株主保護及びグループ経営に関する開示例
③ 支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割
《速報解説》 法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ~令和6年度税制改正大綱~
本稿では、令和5年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正大綱」に示された、「法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ」について解説する。
《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2023」を公表~サステナビリティに関する考え方及び取組に関する開示の好事例を取りまとめ~
2023(令和5)年12月27日、金融庁は、「記述情報の開示の好事例集2023」を公表した。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第33回】「重加算税に関する隠蔽・仮装行為主体問題と賦課判断の主観化の意義」-重加算税判例における納税者以外の者との「同視思考」の正当化と「同視要件」の厳格化-
前回は、重加算税の賦課要件(税通68条1項)のうち「隠蔽・仮装」要件の解釈適用をいわゆるつまみ申告に関して検討したが、今回は、隠蔽・仮装の行為主体要件としての「納税者」要件の解釈適用を、納税者本人以外の者が隠蔽・仮装を行った場合に関して、検討することにする。
この問題について筆者は以前「隠ぺい・仮装の行為主体問題」として検討したことがあるが(拙著『税法創造論』(清文社・2022年)940頁[初出・2017年]。「隠ぺい」は当時の法文によった)、今回はその検討を基本的にベースにしながらその後考察したところも踏まえて、納税者以外の者が隠蔽・仮装を行った場合における納税者本人に対する重加算税賦課の問題を検討することにする。