暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第29回】
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう(所法33①)。
したがって、暗号資産の譲渡による所得の譲渡所得該当性を論ずる際には、所得税法33条の「資産」のみならず、「譲渡」該当性も含めた考察が必要となる。
ところで、邦貨と外貨の交換(両替)は所得税法33条の「譲渡」となりうるのであろうか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q84】「税制適格ストックオプションの行使により取得した株式を他の証券会社へ移管した場合のみなし譲渡」
私(居住者たる個人)は、勤務先(A社)から付与されていた税制適格ストックオプションを行使することにより取得したA社株式を保有しています。当該A社株式はB証券会社の証券口座に入庫されましたが、私が通常取引をしているのはC証券会社であるため、C証券会社の口座へ移管することを検討しています。ところが、証券口座を移管すると含み益について譲渡所得として課税対象となると聞きました。譲渡していないにもかかわらず確定申告が必要になるのでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第35回】「外国税額控除の適用における租税条約と国内法の適用関係」
我が国居住者に課された外国所得税につき、外国税額控除を適用する場合、租税条約と国内法の規定の適用関係はどのように考えたらよいのでしょうか。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第11回】「国税通則法第68条における重加算税の「隠ぺい、仮装」と相続税法第19条の2第5項における「隠蔽仮装行為」の異同点」
① 被相続人は平成24年3月に死亡し、相続人は配偶者、子A及び子Bの3人(請求人ら)である。
② A及びBは平成24年4月にP証券を訪れ名義書換手続を行った。
③ Bは、国税庁ホームページの相続税の計算方法等が説明されているページを印刷して、これを基に相続税の額を試算し、所轄税務署を訪れて申告書用紙を入手したが、請求人らは法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかった。
④ Aは、被相続人の自宅の臨場調査時の調査担当職員からの「証券会社との取引はなかったか」との問いに対して、「知らない」旨回答した。
⑤ 調査担当職員は、Aに香典帳の提示を求め、香典者名及び香典額記載のメモの提示を受けたが、一見して下半分が切り取られていたため、「下半分はどこにあるのか」と質問した。Aは黙して回答しなかったため、宅内の現況調査を行ったところ、「P証券5,000」と記載された香典メモの下半分を発見した。
⑥ Aは、香典メモから下半分を破りとった上で調査担当職員に提示したことを認めた。
⑦ 請求人らは、調査を受けて、相続税法第19条の2(配偶者軽減特例)第1項の規定を適用した期限後申告をしたところ、原処分庁は、相続財産を隠ぺいして相続税の申告書を提出しなかったとして、配偶者については配偶者軽減特例を否認する旨の更正処分等を行うとともに、A及びBには重加算税の賦課決定処分をした。
〈一から学ぶ〉リース取引の会計と税務 【第10回】「セール・アンド・リースバック取引と転リース取引の会計処理」
これまで、リース取引の借手の会計処理を扱ってきました。今回は、【第6回】で概要を整理したセール・アンド・リースバック取引と転リース取引の会計処理について、見ていきます。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第43回】「金融機関、顧問だからこそ知りうるM&Aの兆候と可能性(売り手編)」
多くの統計データなどが物語っているように、経営者の高年齢化、後継者不足、黒字廃業といった個々の要因が全てつながっている中小企業の課題・問題は深刻です。
自社のみで解決するのが難しく、本業に深く関わる問題でありながら商売上の判断ではないので先送りにされがちな点、経営者が決めないと前に進まない点からしても単純な課題・問題ではないのは明らかです。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第31回】「私人の公法行為に対する私法の適用の可否」-家督相続「錯誤」申告事件・最判昭和39年10月22日民集18巻8号1762頁-
前回までは租税実体法の領域(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)第2編第1章)における税法基本判例を3回にわたって取り上げ検討したが、今回からは租税手続法の領域(同編第2章以下)における税法基本判例を取り上げ検討することにする。
租税手続法は、租税実体法における課税要件の充足による納税義務の成立を前提にして、その成立した納税義務(抽象的納税義務)の具体的内容(税額等)を確認する納税義務の確定並びにその確定した納税義務(具体的納税義務)の履行のための租税の納付及び徴収に関する行政手続を定める法(租税行政法)とそこでの納税者の権利救済に関する法(租税争訟法ないし租税救済法)とで構成されるが(前掲拙著【86】参照)、今回から、租税行政法の領域における手続の流れに即して税法基本判例を検討することにしよう。
〈令和5年度税制改正で創設された〉パーシャルスピンオフ税制のポイント 【第1回】「創設の背景と制度の概要」
令和5年度税制改正により、親会社に持分を一部残す株式分配(パーシャルスピンオフ)についても、一定の要件を満たせば、適格株式分配とする特例措置(パーシャルスピンオフ税制)が創設された。
本連載では、この新たな制度であるパーシャルスピンオフ税制を3回にわたって解説する。【第1回】は、まずパーシャルスピンオフ税制の創設の背景と制度の概要について確認する。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第33回】「〔第5表〕課税時期前3年以内に増築、改築、修繕を行った場合における建物等の相続税評価額の取扱い」
経営者甲(令和5年10月19日相続開始)が100%保有している甲株式会社の株式を長男が相続していますが、甲株式会社の資産の中にA支店土地建物、B支店土地建物及びC支店土地建物があります。各支店の土地建物の取得日と取得価額は、下記の通りとなりますが、課税時期前3年以内にA支店では増築工事を、B支店では大規模の模様替をC支店では修繕工事を行っています。