欠損金の繰越控除制度の見直しは何を意味するのか? 【第1回】「事業年度単位課税の弊害と本制度の設立趣旨」
「1事業年度を1単位として課税されている」ことを常識として捉えてはいけない。そして、「その1単位は1年である」という常識も当たり前であると考えてはいけない。つまり、こういった事業年度の1単位が長ければ長いほど、納税時期を遅らせることができ、さらにはリスクを回避することができるのである。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第15回】「2つの東京地裁平成26年3月18日判決の総括④」
東京地裁平成26年3月18日判決に係る2つの事件においては、朝長英樹氏から3本の鑑定意見書が出されており、平成23年10月28日付鑑定意見書、平成24年5月14日付け鑑定意見書については、第12回目から第14回目までで解説を行った。
本稿においては、平成24年7月12日付鑑定意見書について考察を行うこととする。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第15回】「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合」
Question 当社は、設立直後に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出しており、1~6月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を7月10日までに納付、7~12月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を翌年1月20日までに納付しています。
先月末(平成26年11月30日)の当社の従業員数は、役員1名、正社員7名、合計8名です。平成26年12月1日付けで正社員が3名入社したので、現在(平成26年12月5日)の当社の従業員数は、役員1名、正社員10名、合計11名です。退職予定者は、いません。
今後の源泉所得税の納期についてご教示ください。
税務判例を読むための税法の学び方【49】 〔第6章〕判例の見方(その7)
なお「裁判」と「訴訟」の差異はあまり意識されていないが、まず「裁判」は、日常用語としては、裁判所で行われる手続自体を「裁判」ということが多い。しかし法律用語としては、裁判所が法定の形式に従い、当事者に対して示す判断(又はその判断を表示する手続上の行為)をいうものである。
《速報解説》 東京国税局、グリーン投資減税について、認定を受けた者と確定申告する者が異なる場合でも即時償却は適用可能との文書回答事例を公表~ただし前所有者が既に事業供用した設備等は適用不可~
東京国税局は、平成26年11月11日付で、「太陽光発電設備の認定を受けた者と確定申告をする者が異なる場合の租税特別措置法第10条の2の2の適用の可否について」の事前照会に対し、回答文書を公表した。
《速報解説》 「空家等対策の推進に関する特別措置法」が可決・成立~固定資産税の特例措置に係る平成27年度改正動向に注視~
この特別措置法は全16条から成り、「適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要」との目的により制定されている(1条)。
《速報解説》 東京国税局から(文書回答事例)「既に退職所得の選択課税の申告書を提出している非居住者が退職手当等の追加支給を受けた場合の手続について」が公表~申告書提出日から5年以内であれば更正の請求により還付可能~
海外支店等で勤務している内国法人の使用人(非居住者)が、現地で退職することになった場合、その者に支給される退職金のうち、居住者であった期間の勤務に対応する部分は「国内源泉所得」となる。そして、次のとおり源泉所得税が徴収されることになる。
ただしこの制度によると、仮にこの者が最後まで国内勤務のまま退職し、上記と同額の退職金を受け取った場合(退職所得控除の適用)と比較して、かなり多額の源泉所得税を徴収されることになる。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第5回】「事前確定届出給与と信義則」
法人税法第34条では役員給与(退職給与、新株予約権によるもの、使用人兼務役員の使用人を除く)のうち、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」以外のものは損金の額に算入しないことにしています。
実は、この規定は平成18年度改正で定められたもので、改正前は役員給与を報酬と賞与に区分し、報酬は損金算入、賞与は損金不算入としていました。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例20(相続税)】 「負担付贈与について、贈与者に譲渡課税が行われることを説明していなかったため、「正しい説明を受けていれば贈与は行わなかった。」として、損害賠償請求を受けた事例」
《事例の概要》依頼者の離婚に伴う財産分与にあたり、依頼者の配偶者の要望により、実子3名の財産保全のため、配偶者に分与される居住用建物の残りの持分及びその敷地を、依頼者の実母から実子3名に死因贈与することとした。しかし、この契約は取得時の残債務の負担を条件としていたため、負担付贈与となり、贈与者に譲渡課税が行われることとなる。
税理士はこの事実を依頼者に説明せず、依頼者の実母が亡くなり、死因贈与が確定し、依頼者の実母の準確定申告書を作成して依頼者に説明したところ、「正しい説明を受けていれば贈与は行わなかった。」として、負担付贈与に係る譲渡所得税額900万円について損害賠償請求を受けた。