公開日: 2014/07/31 (掲載号:No.80)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第7回】「連結会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP1】連結の範囲の決定

連結財務諸表を作成するためには、まず、連結の範囲(連結財務諸表に含める子会社の範囲)を決定しなければならない。

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(1) 子会社とは

株主総会等の意思決定機関を支配している場合、当該企業は子会社に該当する。具体的には、以下の①~③に該当する場合、子会社に該当する。

ただし、更生会社、破産会社その他これらに準ずる企業であって、かつ、有効な支配従属関係が存在しないと認められる企業は除く(企業会計基準第22号「連結財務諸表における会計基準」(以下「連結基準」という)6、7)。

① 自己の計算において議決権の過半数を所有している場合

② 自己の計算において議決権の40%以上、50%以下を所有し、かつ、以下(ⅰ)~(ⅴ)のいずれかに該当する場合

(ⅰ) 自己の計算において所有している議決権と、「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者(緊密な者)」及び「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者(同意している者)」が所有している議決権を合計して、議決権の過半数を占めていること

(ⅱ) 役員もしくは使用人又はこれらであった者で、自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の企業の取締役会の構成員の過半数を占めていること

(ⅲ) 他の企業の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること

(ⅳ) 他の企業の資金調達額の総額の50%超について融資(債務の保証及び担保の提供を含む)を行っていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の50%超となる場合を含む)

(ⅴ) その他、他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること

③ 自己の計算において議決権の40%未満を所有している場合で、当該議決権と、緊密な者及び同意している者が所有している議決権を合計して、議決権の過半数を所有し、かつ、下記の(ⅰ)~(ⅳ)までのいずれかに該当する場合

(ⅰ) 役員もしくは使用人、又はこれらであった者で、自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の企業の取締役会の構成員の過半数を占めていること

(ⅱ) 他の企業の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること

(ⅲ) 他の企業の資金調達額の総額の50%超について融資(債務の保証及び担保の提供を含む)を行っていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の50%超となる場合を含む)

(ⅳ) その他、他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること

 

(2) 連結の範囲

原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める必要がある(連結基準13)。ただし、以下の①及び②は連結の範囲内に含めない(連結基準14)。また、以下の③については、連結の範囲に含めないことができる(連結基準注3)。

【質的影響】

① 支配が一時的であると認められる子会社

② 上記①以外の企業であって、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社

【金額的影響】

③ 資産、売上高、利益、利益剰余金を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しい子会社

子会社のうち、連結の範囲に含まれた子会社を連結子会社といい、連結の範囲に含まれなかった子会社を非連結子会社という。

(注)持分法適用会社、持分法非適用会社については、次回、解説する。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第7回】

「連結会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

昨今では、1社単独ではなく、複数の企業を一体とした企業グループにより経営活動を行うことが多い。このような状況では、企業グループ間で様々な取引を行っており、個別財務諸表だけでは、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を経済的実態に沿って開示することはできない。

例えば、同じ企業グループ内でA社からB社へ製品の販売を行い、B社が消費者へその製品を販売する場合、個別財務諸表においては、A社及びB社ともに売上が計上される。しかし、企業グループとしてはB社の消費者への販売のみが売上に該当し、A社のB社への売上は企業グループ内の内部取引にすぎない。したがって、個別財務諸表だけでは、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を正しく開示することはできない。

そのため、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を経済的実態に沿って、適切に開示するために「連結財務諸表」が必要となる。

 

連結会計は、以下の9つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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