公開日: 2014/07/31 (掲載号:No.80)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第7回】「連結会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP4】在外子会社の換算

在外子会社の個別財務諸表は外貨で表示されているため、日本円に換算する必要がある。

※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

具体的には、以下のように換算を行う(外貨建取引等会計処理基準第三、会計制度委員会第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨指針」という)39、44)。

資産・負債(*1)	決算時の為替相場 株式取得時の純資産項目	株式取得時の為替相場 株式取得後に発生した純資産項目	発生時の為替相場 支払配当金	配当決議日の為替相場 収益・費用(*2)	原則:期中平均相場 容認:決算時の為替相場 なお、親会社との取引による収益及び費用の換算については、親会社が換算に用いる為替相場で換算する。この場合に生じる期中平均相場(決算時の為替相場)と親会社が換算に用いる為替相場の換算差額は当期の「為替差損益」として処理する。

(*1) 在外子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、在外子会社の貸借対照表項目の換算に適用する決算時の為替相場は、在外子会社の決算日における為替相場とする(外貨指針33)。なお、連結決算日との差異期間内において為替相場に重要な変動があった場合、在外子会社は連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続による決算を行い、当該決算に基づく貸借対照表項目を連結決算日の為替相場で換算する(外貨指針33、71)。

(*2) 在外子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、在外子会社の損益計算書項目の換算に適用する期中平均相場は、連結会計期間に基づく期中平均相場ではなく、当該在外子会社の会計期間に基づく期中平均相場とする(外貨指針34)。

換算したことによる差額は「為替換算調整勘定」として連結貸借対照表の純資産の部に計上する。

《設例1》

(前提条件)

  • 親会社は前期末に在外子会社の株式を100取得した。
  • 株式取得時の純資産の部は、資本金のみであり、100ドルであった。
  • 為替相場は以下のとおりである。

    株式取得時の為替相場・・・@100

    決算時の為替相場・・・@110

    期中平均相場・・・@105

    親会社との取引時の為替相場・・・@100

  • 在外子会社の当期末の財務諸表は以下のとおりである。

換算後の財務諸表は以下のとおりである。

(*1) 1,000ドル×決算時の為替相場@110

(*2) 800ドル×決算時の為替相場@110

(*3) 100ドル×株式取得時の為替相場@100

(*4) (*10)と同額

(*5) 差額

(*6) 500ドル×期中平均相場@105

(*7) 500ドル×親会社との取引時の為替相場@100

(*8) 500ドル×(期中平均相場@105 - 親会社との取引時の為替相場@100)

(*9) 900ドル×期中平均相場@105

(*10) 差額 又は 100ドル×期中平均相場@105

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第7回】

「連結会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

昨今では、1社単独ではなく、複数の企業を一体とした企業グループにより経営活動を行うことが多い。このような状況では、企業グループ間で様々な取引を行っており、個別財務諸表だけでは、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を経済的実態に沿って開示することはできない。

例えば、同じ企業グループ内でA社からB社へ製品の販売を行い、B社が消費者へその製品を販売する場合、個別財務諸表においては、A社及びB社ともに売上が計上される。しかし、企業グループとしてはB社の消費者への販売のみが売上に該当し、A社のB社への売上は企業グループ内の内部取引にすぎない。したがって、個別財務諸表だけでは、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を正しく開示することはできない。

そのため、企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を経済的実態に沿って、適切に開示するために「連結財務諸表」が必要となる。

 

連結会計は、以下の9つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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