公開日: 2022/03/31 (掲載号:No.463)
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これからの国際税務 【第30回】「グローバルミニマム税の行方」

筆者: 青山 慶二

これから国際税務

【第30回】

「グローバルミニマム税の行方」

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 はじめに

昨年10月に約140ヶ国から成るOECD/IFで合意されたGloBEルール(グローバルミニマム税構想)については、昨年12月に、各国が国内法立法をする際のモデルとなる法令案をOECD/IFが公表した。そして、その後、同法令案の技術的内容を詳述するコメンタリーが3月14日に追加発表された。

それぞれの内容を踏まえた詳細な実施枠組みは本年末までに準備されることとされているが、モデル法令案とコメンタリーによってグローバルミニマム税執行のための国内法の詳細が明らかになったことで、いよいよ、IF参加国での国内法立法化作業が本格化する基盤が整えられた。

低課税国に所在する関連会社の税負担を15%の実効税率まで追徴可能とするミニマム税については、法人税率をめぐる底辺への競争を防止する効果を持つ「租税回避防止機能」に加えて、追加的に親会社等所在地国に見込める大幅な法人税収に鑑み、IF参加国では早期の施行への希望が強く、それが、2022年内の国内法改正及び2023年からの実施という野心的なスケジュール設定の理由とされていた。しかし、年明け以来のOECD/IFや各国の動向をみると、そのようなスピーディな施行に疑問を投げかける変化が観察される。

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これから国際税務

【第30回】

「グローバルミニマム税の行方」

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 はじめに

昨年10月に約140ヶ国から成るOECD/IFで合意されたGloBEルール(グローバルミニマム税構想)については、昨年12月に、各国が国内法立法をする際のモデルとなる法令案をOECD/IFが公表した。そして、その後、同法令案の技術的内容を詳述するコメンタリーが3月14日に追加発表された。

それぞれの内容を踏まえた詳細な実施枠組みは本年末までに準備されることとされているが、モデル法令案とコメンタリーによってグローバルミニマム税執行のための国内法の詳細が明らかになったことで、いよいよ、IF参加国での国内法立法化作業が本格化する基盤が整えられた。

低課税国に所在する関連会社の税負担を15%の実効税率まで追徴可能とするミニマム税については、法人税率をめぐる底辺への競争を防止する効果を持つ「租税回避防止機能」に加えて、追加的に親会社等所在地国に見込める大幅な法人税収に鑑み、IF参加国では早期の施行への希望が強く、それが、2022年内の国内法改正及び2023年からの実施という野心的なスケジュール設定の理由とされていた。しかし、年明け以来のOECD/IFや各国の動向をみると、そのようなスピーディな施行に疑問を投げかける変化が観察される。

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連載目次

これからの国際税務

筆者紹介

青山 慶二

(あおやま・けいじ)

現 職:千葉商科大学大学院 客員教授
    21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
専 門:国際租税

【略歴】
1971年 東京大学法学部卒業
1973年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、国税庁入庁
1998年 国税庁国際業務課長
2003年 ニューヨーク大学ロースクール客員研究員
2004年 国税庁審議官(国際担当)
2006年 国税庁退職、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(2019年3月定年退職)
2020年 千葉商科大学大学院客員教授

【主な審議会等委員】
OECD租税委員会(1998年~2000年、2004年~2006年)
経済産業省国際課税小委員会座長(2008年~2014年)
国連経済社会理事会・税に関する専門家委員会 委員(2009年~2014年)
国際租税協会(IFA)常設研究企画委員会 委員(2010年~2018年)
政府税制調査会専門家委員会 特別委員(2010年~2011年)

【近年の著書】
『米国内国歳入法第482条(移転価格)に関する財務省規則』社団法人日本租税研究協会(1995年)
『国際課税の理論と実務』(共著)有斐閣(1997年)
『改訂版国際課税の理論と課題』(共著)税務経理協会(1999年)
『租税条約の理論と実務』(共著)清文社(2008年)
『日本の税をどう見直すか』(共著)日本経済新聞出版社(2010年)
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(共著)大蔵財務協会(2011年)
『現代税制の現状と課題(国際課税編)』(単著)新日本法規出版(2017年)

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