谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第7回】
「租税法律主義と実質主義との相克」
-税法の目的論的解釈の過形成①-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回から何回かにわたって、前回と同じ主題(「租税法律主義と実質主義との相克」)の下で、税法の解釈適用の「過形成」について、裁判例を素材にして検討していくことを、前回の最後(Ⅳ)で予告しておいたが、今回は、税法の目的論的解釈の「過形成」として、課税減免制度濫用の法理(【47】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号。以下同じ)を取り上げることにする。
課税減免制度濫用の法理については、既に第2回のⅢ2で簡単に前触れしたところであるが、外国税額控除規定(法税69条)を利用した租税回避事案(外国税額控除余裕枠利用事件のうちりそな銀行事件)において同規定の適用を否認した最判平成17年12月19日民集59巻10号2964頁を検討していく中で、同判決の基礎にある考え方をそのように呼ぶようになったのである(拙著『租税回避論』(清文社・2014年)第2章第1節[初出・2007年]も参照)。この判決は次のとおり判示している(下線筆者。最判平成18年2月23日訟月53巻8号2461頁も参照)。
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