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谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第12回】「租税法律主義と実質主義との相克」-税法の目的論的解釈の過形成③- 谷口 勢津夫 – 税務・会計のWeb情報誌『プロフェッションジャーナル(Profession Journal)』|[PROnet|プロネット]
公開日: 2019/05/30 (掲載号:No.320)
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谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第12回】「租税法律主義と実質主義との相克」-税法の目的論的解釈の過形成③-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第12回】

「租税法律主義と実質主義との相克」

-税法の目的論的解釈の過形成③-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

第7回では、課税減免制度濫用の法理租税法規の趣旨・目的の法規範化論として性格づけ検討した(第10回も参照)。租税法規の趣旨・目的の法規範化論は、租税法規についてその趣旨・目的を解釈基準としてではなく「規範」そのものとして用いる考え方であるが、これについては、その趣旨・目的を立法資料等に基づき探知・確認し得ることを「前提」にして、目的論的解釈の過形成を検討した。

ところが、税法の目的論的解釈の過形成に関する研究の過程で、そのような「前提」それ自体を問題とせず、いわば「措定」した趣旨・目的を基準として目的論的解釈を行ったものと解される裁判例を「発見」した。それは、信託の利用による贈与税回避スキームの事案に関する名古屋高判平成25年4月3日訟月60巻3号618頁(以下「本判決」という)である。

拙稿「租税回避と税法の解釈適用方法論-税法の目的論的解釈の『過形成』を中心に-」岡村忠生編著『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)1頁、29頁以下では、上記のような「措定」した趣旨・目的を基準として目的論的解釈を行う考え方を「租税法規の趣旨・目的の措定論」と呼び、その観点から本判決について検討を行ったが、以下の叙述は、その検討をベースにして、これに加筆したものである。

本論に入る前に、本判決の内容について本論と関連する要点を整理しておこう。この事件では、相続税法上のみなし贈与財産のうち平成19年度改正前相続税法(以下単に「相続税法」という場合これを指す)4条1項にいう「受益者」の意義が争点の1つであったが、本判決はこの争点について次のとおり判示した。

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税法基礎理論

【第12回】

「租税法律主義と実質主義との相克」

-税法の目的論的解釈の過形成③-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

第7回では、課税減免制度濫用の法理租税法規の趣旨・目的の法規範化論として性格づけ検討した(第10回も参照)。租税法規の趣旨・目的の法規範化論は、租税法規についてその趣旨・目的を解釈基準としてではなく「規範」そのものとして用いる考え方であるが、これについては、その趣旨・目的を立法資料等に基づき探知・確認し得ることを「前提」にして、目的論的解釈の過形成を検討した。

ところが、税法の目的論的解釈の過形成に関する研究の過程で、そのような「前提」それ自体を問題とせず、いわば「措定」した趣旨・目的を基準として目的論的解釈を行ったものと解される裁判例を「発見」した。それは、信託の利用による贈与税回避スキームの事案に関する名古屋高判平成25年4月3日訟月60巻3号618頁(以下「本判決」という)である。

拙稿「租税回避と税法の解釈適用方法論-税法の目的論的解釈の『過形成』を中心に-」岡村忠生編著『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)1頁、29頁以下では、上記のような「措定」した趣旨・目的を基準として目的論的解釈を行う考え方を「租税法規の趣旨・目的の措定論」と呼び、その観点から本判決について検討を行ったが、以下の叙述は、その検討をベースにして、これに加筆したものである。

本論に入る前に、本判決の内容について本論と関連する要点を整理しておこう。この事件では、相続税法上のみなし贈与財産のうち平成19年度改正前相続税法(以下単に「相続税法」という場合これを指す)4条1項にいう「受益者」の意義が争点の1つであったが、本判決はこの争点について次のとおり判示した。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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