公開日: 2020/01/30 (掲載号:No.354)
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谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第28回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避の否認アプローチ-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第28回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-租税回避の否認アプローチ-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

租税回避の否認は、前回みたとおり、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことを意味するが、そこでいう「行為」の意味内容は、否認アプローチによって異なる。筆者がこのことを(現在ほど整然とではないにしても)初めて認識したのは、いわゆる外国税額控除余裕枠利用事件に関する2つの最高裁判決を検討したときであった(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)第2章第1節[初出・2007年]。第7回も参照)。

その2つの最高裁判決は、最(二小)判平成17年12月19日民集59巻10号2964頁(以下「平成17年最判」という)と最(一小)判平成18年2月23日訟月53巻8号2447頁(以下「平成18年最判」という)である。今回は、これらの判決の(特に「読み方」の)検討を通じて、租税回避の2類型(第22回)のうち税法上の課税減免規定の濫用による租税回避については、その否認のために異なるアプローチがあることを明らかにした上で、そのことを租税回避の手段論(第22回参照)の観点から検討することにする。

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谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第28回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-租税回避の否認アプローチ-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

租税回避の否認は、前回みたとおり、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことを意味するが、そこでいう「行為」の意味内容は、否認アプローチによって異なる。筆者がこのことを(現在ほど整然とではないにしても)初めて認識したのは、いわゆる外国税額控除余裕枠利用事件に関する2つの最高裁判決を検討したときであった(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)第2章第1節[初出・2007年]。第7回も参照)。

その2つの最高裁判決は、最(二小)判平成17年12月19日民集59巻10号2964頁(以下「平成17年最判」という)と最(一小)判平成18年2月23日訟月53巻8号2447頁(以下「平成18年最判」という)である。今回は、これらの判決の(特に「読み方」の)検討を通じて、租税回避の2類型(第22回)のうち税法上の課税減免規定の濫用による租税回避については、その否認のために異なるアプローチがあることを明らかにした上で、そのことを租税回避の手段論(第22回参照)の観点から検討することにする。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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