(3) 支払可能性の検討
将来加算一時差異は、将来の課税所得(税金)を増加させるものである。したがって、理論上は将来の税金の支払が見込まれる(支払可能性のある)将来加算一時差異に係る繰延税金負債のみを貸借対照表に計上するために、繰延税金負債について支払可能性の検討が必要である。
しかし、実務指針では、事業休止等により、会社が清算するまでに明らかに将来加算一時差異を上回る損失が発生し、課税所得が発生しないことが合理的に見込まれる場合のみ支払可能性がないと判断することになっている(実務指針24)。
そのため、事業休止等の状況でない限り、支払可能性はあるとし、会社が事業を行っている状況では支払可能性を検討せずに、(スケジューリング不能な将来加算一時差異も含む(ただし、将来加算一時差異についてスケジューリングが常に不要なわけではない。【STEP4】(2)①なお書き参照))すべての将来加算一時差異に係る繰延税金負債を貸借対照表に計上する。
ここまでをまとめた設例は下記のとおりである。
《設例2》
(前提条件)
- 会社区分は「3」である。
- 法定実効税率は35%である。
- 毎期の課税所得(将来減算一時差異及び将来加算一時差異の減算及び加算前)は300である。
- X1年度末の将来減算一時差異は以下のとおりである。
- X1年度末の将来加算一時差異は以下のとおりである。