検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10495 件 / 3491 ~ 3500 件目を表示

ハラスメント発覚から紛争解決までの企業対応 【第11回】「退職勧奨の実施はパワハラに該当するのか」

ハラスメント発覚から紛争解決までの 企 業 対 応 【第11回】 「退職勧奨の実施はパワハラに該当するのか」   弁護士 柳田 忍   【Question】 コロナ禍による業績悪化に伴い、当社においても全社的な退職勧奨を実施することになりましたが、退職勧奨はパワハラに当たるのでしょうか。また、退職勧奨がパワハラに当たらないためのポイントについて教えてください。 【Answer】 退職勧奨もパワハラになることがあります。対象従業員への不当な心理的圧力とならないように、退職勧奨面談の設定や言動に気をつける必要があります。 ● ● ● 解 説 ● ● ● 退職勧奨とは、辞職や使用者からの合意退職の申込みへの承諾を勧める使用者の行為であり、基本的に使用者は自由に退職勧奨を行うことができる。しかし、退職勧奨に際して、労働者の自発的な退職意思を形成する本来の目的実現を超えて、当該労働者に対して、不当な心理的圧力を加えたり、その名誉感情を不当に害するような言辞を用いたりした場合には、違法なパワハラとなる(山口地裁周南支判平成30年5月28日)。 「退職勧奨」自体は、いわゆるパワハラの6つの類型(拙稿第1回参照)としては挙げられていないが、例えば、「あなたが退職すれば会社の人件費が浮く」といった発言は「精神的な攻撃」(類型②)に、管理職候補として採用した者に対して執務場所を与えず自ら仕事を探すよう求めるといった言動は、「人間関係からの切り離し」(類型③)や「過小な要求」(類型⑤)に該当するなど、退職勧奨に伴う言動が6類型に当たる場合がある。 退職勧奨がパワハラに該当しないためのポイントは以下のとおりである。   1 退職勧奨面談の設定について その他の状況にもよるが、上記を満たさない面談は、対象従業員に不当な心理的圧力がかかるものとしてパワハラに該当するおそれが高まるものと思われる。   2 退職勧奨面談における言動について (1) 対象従業員の人格や名誉感情を不当に傷つける発言をしない 退職勧奨に際して対象従業員の社内における立ち位置を理解させるために、対象従業員の業績が会社の期待値に達していないことや、対象従業員が会社の戦力外であると伝えること自体は、対象従業員の人格や名誉感情を不当に傷つける発言には当たらない。 これらを伝えるために必要のない言動や表現(例えば、上記の「あなたが退職すれば会社の人件費が浮く」といった発言)が、対象従業員の人格や名誉感情を傷つけるといった事例がよく見られるため、要注意である。 (2) 退職勧奨に応じない意思を明示した対象従業員に対して執拗に退職勧奨に応じるよう迫ることはしない 退職勧奨に応じない意思を明示した対象従業員に対して執拗に退職勧奨に応じるよう迫る場合、対象従業員に不当な心理的圧力が加えられたと評価される可能性が高い。 もっとも、退職勧奨に応じることは必ずしも従業員にとって不利益なものではなく、会社に在籍し続けた場合のデメリットや退職勧奨に応じた場合のメリット等は、従業員が決断を下すうえでの重要な情報であるから、対象従業員が退職勧奨に応じない意思を明示した場合であっても、会社が以下のような情報について具体的かつ丁寧に説明し、説得活動をすることは、不当な心理的圧力には当たらないと考えられている(日本IBM事件(東京地判平成23年12月28日労経速2133号3頁))。 (了)

#No. 406(掲載号)
#柳田 忍
2021/02/10

〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第14回】「請負契約と委任契約の違いと印紙税の注意点」

〔一問一答〕 税理士業務に必要な契約の知識 【第14回】 「請負契約と委任契約の違いと印紙税の注意点」   虎ノ門第一法律事務所 弁護士 石橋 輝之   〔質 問〕 ①当事務所の顧客から、よく「この契約は、請負ですか、それとも委任でしょうか」という質問を受けます。収入印紙代に違いが生じるからという理由です。請負と委任はどう違うのでしょうか。 ②顧客の契約で、「業務委託契約」というものがよくありますが、これは「請負」なのでしょうか、それとも「委任」なのでしょうか。 ③ちなみに、税理士の顧問業務は、「請負」、「委任」のどちらでしょうか。 〔回 答〕 ①「請負」は、当事者の一方がある仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対してその当事者に報酬を与えることを約束する契約です。  「委任」は、当事者の一方が法律行為を相手方に委託する契約をいいます。法律行為ではない事務を委託する場合は、「準委任」といいます。  請負と委任の違いは、仕事の完成を目的とするかどうかです。請負は仕事の完成を目的としていますが、委任は仕事の完成を目的とするわけではありません。  したがって、請負か委任かを判断する際には、その契約が仕事の完成を目的としているのかによって判断することになります。 ②業務委託契約は、ある業務を外部の第三者に委託する場合に用いる契約です。  事務の処理を目的とする場合は委任(準委任)契約としての性質を有し、何らかの物品の製造を委託するような場合は請負契約としての性質を有することになります。  つまり、業務委託契約といっても委任の場合もあれば、請負の場合もあるということになります。  また、業務委託契約によっては、委任と請負の両者の性質をもっている(混合契約)という場合もあります。この場合、印紙税との関係では、請負と考えることになります。 ③税理士の顧問業務は、税務申告や日々の経営上の相談の受付等の事務処理を目的とするものですから、委任契約に該当します。 ◆◆◆◆ 解 説 ◆◆◆◆ 1 請負と委任の違い 請負と委任の違いは、仕事の完成を目的としているかどうかという点にある。 請負の典型例は、建築工事請負契約や運送契約等である。前者は、建物の完成が目的になっており、後者は物品をある場所に運ぶという結果(完成)が目的となっている。 委任の典型例は、弁護士への訴訟委任や医師との診療契約である。前者は、訴訟の遂行自体を委託しているのであり、勝訴判決を得るというような結果(完成)を目的としているものではない。また、後者も、治癒というような結果(完成)を目的としているものではなく、治療を施すこと自体が目的となっている。 なお、税理士の方からすれば常識であろうが、委任の場合、例外的に7号文書と呼ばれる「継続的取引の基本となる契約書」について4,000円の収入印紙を貼付する必要があるケースはあるものの、原則として、契約書に収入印紙を貼付する必要はない。   2 業務委託契約は請負なのか委任なのか 業務委託契約といっても様々なものがある。受託者に仕事の完成を請け負わせるタイプのもの(請負)もあれば、受託者に事務の処理を委託するもの(委任・準委任)もある。 例えば、製造業の分野における製造委託(OEM)などは、仕事の完成が目的であるから、請負となる。 一方で、コールセンター業務を外注するに際し締結する業務委託契約の場合、仕事の完成を委託しているということではなく、事務処理を委託しているため、準委任契約となる。 最近増加している契約類型としてSES(システムエンジニアリングサービス)契約というものがある。これは、システム開発等を行うためにエンジニアの技術を提供するサービスのことをいう。具体的にいうと、発注元(クライアント)が受託者(ベンダー)に対して、あるシステムの開発や保守の発注をし、受託者(ベンダー)がそれに必要な技術(実際にはエンジニアによる作業)を提供する契約のことである。 実際に受託者(ベンダー)が技術を提供するにあたっては、案件ごとに受託者(ベンダー)と契約をした個人のエンジニアが当該技術を提供することが多い。その際、エンジニアは、発注元(クライアント)の営業所内で作業をする場合も多く、雇用や派遣労働との違いが分かりにくくなっている。 SES契約の場合は、システムの完成を目的として業務を行うのではなく、技術の提供自体が目的であるため、準委任契約となる。システムの完成が目的ではないため、受託者(ベンダー)やエンジニアが受領する対価は、時間あたりの金額で算定されることも多い。仮にシステムの完成を目的とするような契約の場合、当然請負になる。 以上のように、業務委託契約書の場合は、その目的の内容を確認し、仕事の完成を目的とするような委託業務になっているのかどうか検討して、請負であるのか委任・準委任であるのかの結論を出すことになる。   3 請負となる業務と委任となる業務が1つの業務委託契約に含まれている場合、印紙税はどう考えればいいか 業務委託契約で委託している業務が複数あり、請負と解釈できる業務もあれば委任と解釈できる業務もあるというような場合が多くある。例えば、システムの保守の委託は、準委任契約であるが、システムの開発の発注は請負であるところ、この両者を同一の契約書で定めているような場合である。 この場合は、当然、その業務委託契約について、請負か委任かのどちらか一方と決めることはできない。素直に、両者の性質をもつ契約(混合契約)と解することになる。 印紙税法との関係でいえば、印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則2で「一の文書で1若しくは2以上の号に掲げる事項とその他の事項が併記又は混合記載されているものは、それぞれの号に該当する文書とする」と規定されているため、上記のような混合契約の場合は、請負契約であるとして印紙税を算定することになる。   4 税理士業務は請負なのか委任なのか 税理士の顧問契約については、基本的に委任契約と解釈されている(最高裁昭和58年9月20日判決(TAINSコード:Z999-0204))。 確かに、顧問契約の主要な目的である税務申告については、税務申告書の完成が目的となっているから請負であるという解釈もできるように思われるが、顧問契約では税務申告書の作成だけではなく、税務代理も委託しているのが通常であり、また、税務代理以外の日々の経営上の相談を受けることも顧問契約の範囲内に含まれていることが多い。税理士との顧問契約は、全体としてみれば、何らかの仕事の完成を目的とするというよりは、税務の処理を委託していると捉えるのが妥当であるから、委任・準委任と解釈するのが正しい。 もっとも、税務代理までの依頼はせず、単発で税務申告書の作成のみを委託したという場合は、請負であると解されることになろう。 仮に税務申告書の内容に過誤があった場合であるが、委任契約であれば、善管注意義務違反(民法644条)による損害賠償が問題となる。例外的に税務申告書の作成のみを受託し、請負となる場合は、契約不適合責任(民法636条)による損害賠償が発生しうる。 (了)

#No. 406(掲載号)
#石橋 輝之
2021/02/10

《速報解説》 改正会社法及び会社法整備法の施行等に伴う金融庁関係政府令等が公布~「財務諸表等規則」等の改正に伴う経過措置もあるため適用時には附則に注意~

《速報解説》 改正会社法及び会社法整備法の施行等に 伴う金融庁関係政府令等が公布 ~「財務諸表等規則」等の改正に伴う経過措置もあるため適用時には附則に注意~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021(令和3)年2月3日、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正会社法」という)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)の施行(1年3月以内施行及び1年6月以内施行)等に伴う金融庁関係政府令等が公布された。これにより、2020年11月6日から意見募集されていた改正案が確定することになる。改正案に対するコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方も公表されており、改正案から変更されている部分がある。 非常に多数の金融庁関係政府令等を改正するものであるので、本稿では、企業会計に関連する改正について解説を行う。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 財務諸表等規則関係 1 定義 2 純資産の分類 「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」(実務対応報告第41号)では、純資産の部の株主資本以外の項目に「株式引受権」を新設している。 また、「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(2020年11月27日、法務省令第52号)では、「株式引受権」が新たに定義されており、取締役又は執行役がその職務の執行として株式会社に対して提供した役務の対価として当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(新株予約権を除く)をいうとされている(会社計算規則2条3項34号)。 そこで、財務諸表等規則でも次の改正を行う(連結財務諸表規則、四半期財務諸表等規則、四半期連結財務諸表規則も同様)。   Ⅲ 企業内容等の開示に関する内閣府令関係 1 株式交付 改正会社法では、株式交付について規定されている。 株式交付とは、株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。会社法774条の3第2項において同じ)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう(改正会社法2条32号の2)。 そこで、「企業内容等の開示に関する内閣府令」でも次の改正を行う 2 補償契約 有価証券届出書などの「コーポレート・ガバナンスの概要」において、補償契約(会社法430条の2第1項に規定する補償契約)もしくは役員等賠償責任保険契約(会社法430 条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約)を締結した場合について規定する。 3 役員の報酬等   Ⅳ 施行期日等 「無尽業法施行細則等の一部を改正する内閣府令」(2021(令和3)年2月3日、内閣府令第5号)に、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正」などが規定されており、会社法の一部を改正する法律の施行の日(令和3年3月1日)から施行される。 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部改正に伴う経過措置などが規定されているので、実際の適用に際しては附則に注意する。 (了)

#No. 405(掲載号)
#阿部 光成
2021/02/08

《速報解説》 令和3年度税制改正(法人税関係)に関連大きい「産業競争力強化法等の改正法案」が閣議決定される~DX・カーボンニュートラル投資促進税制や中小企業経営資源集約化税制の認定制度を整備~

《速報解説》 令和3年度税制改正(法人税関係)に関連大きい「産業競争力強化法等の改正法案」が閣議決定される ~DX・カーボンニュートラル投資促進税制や中小企業経営資源集約化税制の認定制度を整備~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正関連法は国税に係る改正法が本年1月26日に、地方税に係る改正法が1月29日にそれぞれ通常国会へ提出されたところだが、今回の改正で創設される税制のうちデジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制やカーボンニュートラルに向けた投資促進税制、これら取組み企業への繰越欠損金の控除上限の特例措置は、それぞれ産業競争力強化法で定めた計画認定が必要とされている。 このたび、これら新たな認定制度に対応した「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が2月5日に閣議決定され、今国会へ提出されることになった。 この改正法案には①産業競争力強化法だけでなく、②中小企業等経営強化法、③地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律、④中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、⑤下請中小企業振興法、⑥独立行政法人中小企業基盤整備機構法などの改正案も織り込まれており、今年度改正における「中小企業の経営資源の集約化に資する税制(中小企業事業再編投資損失準備金制度、中小企業経営強化税制における新類型)」の適用に必要な認定制度は、中小企業等経営強化法の改正案に定められている。 さらに税制とは異なるが、中小企業等経営強化法の改正案には、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群へ金融支援等を行う施策として、資本金によらない新たな支援対象類型(特定事業者)についての規定が織り込まれている。 (※) 経済産業省ホームページより (了)

#No. 404(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/02/05

《速報解説》 国税庁、確定申告期限の延長に伴い「コロナFAQ」に12の設問を追加

《速報解説》 国税庁、確定申告期限の延長に伴い「コロナFAQ」に12の設問を追加   Profession Journal編集部   既報のとおり令和2年分の確定申告期限が令和3年4月15日まで延長されたことに伴い、国税庁は「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新、申告以外の期限延長の対象となる主な手続きなど、「1 申告・納付等の期限の一律延長関係」に関する9問含む12の設例の追加(2つの設問について更新)を行っている。 なおコロナFAQはHTMLページによるものとPDFファイルのページによるものがあるが、本稿公開時点ではPDFファイルページのみ情報が更新されているため、確認に当たっては注意されたい。 今回新たに追加・更新された設問及びリンク先は以下の通り。 1 申告・納付等の期限の一律延長関係 問1.令和2年分確定申告の期限延長 問2.申告以外の各種申請や届出の期限延長 問3.いわゆる「死亡による準確定申告」の期限延長の可否 問4.申告所得税等に関して延長の対象とならない手続 問5.申告所得税(及び復興特別所得税)の延納期限 問6.既に申告を済ませている場合の納付期限 問7.納付期限までに納税できない場合 問8.一律の期限延長に伴う口座振替日 問9.申告所得税等以外の税目について 2 申告・納付等の期限の個別延長関係 問1.令和元年分の確定申告をこれから行う場合 ※更新 問1-2.期限までに申告等ができなかった場合の個別延長 問1-3.申告所得税等以外の税目の個別延長 ※更新 3 納付等の手続関係 問2.ダイレクト納付への影響 問3.既に納付期限が3月15日と印字された納付書の使用 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 404(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/02/05

《速報解説》 会計士協会、近年増加している非パブリック型のブロックチェーンを活用した受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針案を公表

《速報解説》 会計士協会、近年増加している 非パブリック型のブロックチェーンを活用した受託業務に係る 内部統制の保証報告書に関する実務指針案を公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年2月3日、日本公認会計士協会は、保証業務実務指針「非パブリック型のブロックチェーンを活用した受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、保証業務実務指針3402「受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針」に基づいて、非パブリック型のブロックチェーンを活用したサービスを対象として実施する際の指針を提供するものである。 意見募集期間は2021年3月5日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 ブロックチェーンネットワークに参加するコンピュータ(又は参加者)をノードといい、コンセンサスアルゴリズムに参加するノードに特に制限がない場合を「パブリック型ブロックチェーン」という(3項)。 一方、非パブリック型ブロックチェーンとは、参加するノードが制限されている場合のうち、1つの企業や組織に限定されていれば「プライベート型ブロックチェーン」といい、複数の組織体に限定されていれば「コンソーシアム型ブロックチェーン」ということが多い(3項)。 1 適用範囲 実務指針は、非パブリック型ブロックチェーンのうち、主としてコンソーシアム型ブロックチェーンを活用したサービスを対象とした適用指針を定めている。ただし、プライベート型ブロックチェーンを活用したサービスについても、実務指針に準拠することができる(A1項)。 2 保証業務の範囲 ブロックチェーンの場合には、関連する当事者が多岐にわたると想定される。 このため、「付録4 当事者関係の類型」に基づき参加者と保証業務にて担保する契約当事者・保証範囲について明確に整理し、保証業務契約を締結することが重要である(A3項)。 3 受託会社確認書 コンソーシアム型ブロックチェーンにおいて複数の参加者を受託会社として識別した場合、受託会社確認書は複数の受託会社から連名、又はそれぞれの受託会社から入手することが考えられる(A6項。「付録1 受託会社確認書の記載例」)。 4 証拠の入手 次のことが記載されている。 5 経営者確認書 コンソーシアム型ブロックチェーンにおいて、複数の参加者を受託会社として識別する場合、経営者確認書は複数の受託会社から連名、又はそれぞれの受託会社から入手することになる(A22項。「付録3 経営者確認書の記載例」)。 6 保証報告書 コンソーシアム型ブロックチェーンにおいて、複数の参加者を受託会社として識別する場合、保証報告書の宛先は複数の受託会社連名、又はそれぞれの受託会社とすることが考えられる(A23項)。 コンソーシアム型ブロックチェーンにおいて、保証報告書の範囲に含まれない参加者が存在する場合は、保証業務の範囲を明確にするため、保証報告書の範囲の記載において明示することが適切である(A23項。「付録2 受託会社監査人の保証報告書の文例」)。 (了)

#No. 405(掲載号)
#阿部 光成
2021/02/05

プロフェッションジャーナル No.405が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年2月4日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.405を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/02/04

monthly TAX views -No.97-「カーボンプライシング導入に向けた「炭素税」の論点とは」

monthly TAX views -No.97- 「カーボンプライシング導入に向けた「炭素税」の論点とは」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   菅総理が「2050年温暖化ガス排出量実質ゼロ」を表明して以降、わが国でも急速に脱炭素社会の実現に向けた動きが広まっている。 SDGsの流れもあり、気候変動をもたらす原因であるCO2の排出を抑えることは、いわば世界共通の責務ともいえよう。環境後進国の汚名返上に向けてのチャンスでもある。 *  *  * 総理は昨年12月、梶山弘志経済産業相と小泉進次郎環境相に、二酸化炭素(CO2)の排出量に経済的な負担を上乗せすることにより排出量を抑制する「カーボンプライシング(CP)」の導入に向けた検討を指示、両省は本年度中にCP活用の方向性を取りまとめることになった。 この背景には、「2050年排出量ゼロ」という大変チャレンジングな目標達成が、個別企業の努力やイノベーションに頼るだけでは難しいという判断があったのであろう。 カーボンプライシングには、CO2排出量に応じて課税する「炭素税」と、CO2排出枠を取引する「排出量取引」がある。価格を固定する炭素税は「価格アプローチ」、排出枠を固定する排出量取引は「数量アプローチ」と位置づけられているが、ここでは炭素税の論点を取り上げてみたい。 *  *  * 第1に、わが国には、ガソリン・軽油などの自動車燃料や原油、石炭などの化石燃料に対して、揮発油税、軽油引取税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税など多くの個別間接税が課せられている。さらに2012年からは石油石炭税の税率の上乗せとして「地球温暖化対策税」も導入された。それでもその水準をCO2あたりで比較すると、わが国の水準は先進国中、最も低くなっており、CO2一単位当たりの税率の引上げについて、燃料別のCO2排出量と整合性をとる形で議論する必要がある。 第2に国際競争力の問題である。グローバル経済の下では、炭素税による価格上昇は輸出品の競争力を弱めるだけでなく、環境税が導入されておらず価格に税負担のない国からの輸入品と比べて競争力が低下してしまう。またわが国企業が、コスト高を嫌って環境税のない国に工場を移転すれば、世界規模で見れば排出量は変わらず、わが国の雇用が減少するだけということにもなりかねない。炭素税導入にはすでに鉄鋼業界が強く反発するなど、今後の議論は容易ではない。 これを防ぐための方法として、国境調整を行うことが考えられ、EUの炭素税はそれを取り込んで検討をしている。また米国バイデン大統領もこの税制の検討を行うとしている。具体的には、輸入段階で海外製品に対して国内生産品に相当する炭素税を賦課し、輸出段階で輸出企業の炭素税負担を還付するというもので、環境対策の不十分な中国などからの輸入抑制につながる。ただしWTO違反の恐れもあり、十分な検討が必要である。 *  *  * 最後に、ポリシーミックスの必要性である。炭素税収を投資に振り向ければ、地球温暖化に資するだけでなく、経済活性化につなげることができる。欧米ではグリーンイノベーションとして、コロナ後の経済対策として期待されている。今後のわが国の成長を牽引していく起爆剤ともなりうる。 昨年12月25日に閣議決定されたグリーン成長戦略には、「市場メカニズムを用いる経済的手法(カーボンプライシング等)は、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長戦略に資するものについて、既存制度の強化や対象の拡充、更には新たな制度を含め、躊躇なく取り組む」とされている。 わが国の重厚長大産業の抵抗が予想されるが、産業構造の大転換を図るという観点から、大きな議論をしていくことが必要だ。 (了)

#No. 405(掲載号)
#森信 茂樹
2021/02/04

〔令和3年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「「オープンイノベーション促進税制の創設」「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」」

〔令和3年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】 「「オープンイノベーション促進税制の創設」 「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」」   公認会計士・税理士 新名 貴則   令和2年度税制改正における改正事項を中心として、令和3年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。 【第1回】は、「オープンイノベーション促進税制の創設」及び「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」について、令和3年3月期決算申告において留意すべき点を解説する。   1 オープンイノベーション促進税制の創設 企業が競争力を強化するために、ベンチャー企業に積極的に投資することを後押しする制度として、令和2年度税制改正において「オープンイノベーション促進税制」が創設されている。 ① 制度概要 青色申告書を提出する法人が、一定のベンチャー企業に対して出資を行う場合に、その投資額の25%相当額の所得控除を認める制度である。ただし、株式取得の日から5年以内に当該株式を売却等した場合は、その部分を益金に参入することになるので注意が必要である。 ② 適用要件 適用のための要件は次の通りである。 (※) 当該法人が主体となるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)による出資も対象。 ③ 出資対象となるベンチャー企業の要件 出資対象としてのベンチャー企業には、主に次のような要件を満たすことが求められる。 ④ 特定株式の要件 対象法人が取得する特定株式には、主に次のような要件を満たすことが求められる。 ⑤ 税制優遇措置 特定株式の取得価額の25%以下の金額を特別勘定として経理した場合、特別勘定として経理した金額の合計額を損金に算入できる。ただし、その事業年度の所得の金額を上限とする。 また、1件当たりの取得価額の上限額は100億円であり、一事業年度の損金算入限度額は125億円とされている。 ⑥ 特別勘定の取崩し 特定株式の取得から5年を経過するまでに、特別勘定の取崩し事由に該当することとなった場合は、その事由に応じた金額を取り崩して益金に算入する。具体的には、次のような場合である。 ⑦ 適用時期 この改正は、令和2年4月1日から令和4年3月31日までに特定株式を取得した場合に適用される。したがって、令和3年3月期決算申告においては適用が開始されている。   2 賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し 平成30年度税制改正において、所得拡大促進税制の対象を中小企業者等とそれ以外(大企業)に区分し、大企業に対しては設備投資の要件を追加して「賃上げ・投資促進税制」(中小企業者等も選択適用可能)として改組していた。令和2年度税制改正において、この「賃上げ・投資促進税制」における設備投資要件が厳格化されている。なお、中小企業者等向けの所得拡大促進税制については、変更はない。 この改正は令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるので、令和3年3月期決算申告には適用されることになる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (了)

#No. 405(掲載号)
#新名 貴則
2021/02/04
#