公開日: 2019/11/21 (掲載号:No.345)
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これからの国際税務 【第16回】「費用分担契約による無形資産の移転」-アマゾン事件判決と我が国税制改正-

筆者: 青山 慶二

これから国際税務

【第16回】

「費用分担契約による無形資産の移転」

-アマゾン事件判決と我が国税制改正-

 

21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
青山 慶二

 

1 アマゾン事件に関する米国判決

アマゾン事件判決(2019.8.16 第9巡回控訴裁判所)は、グローバルなオンライン小売業者であるアマゾンの米国親会社が、ルクセンブルクに設立した欧州ビジネスの持株会社との間で締結した費用分担契約に基づき、親会社が自ら開発した既存の無形資産(ウェブサイト技術、商標、及び顧客リスト)を持株会社へ移転する対価として受け取ったバイイン支払いの独立企業間価格相当性が争われた事案である。

米国で1990年代に制度化された費用分担契約は、関連企業間での無形資産の共同開発の費用負担と成果物である無形資産の使用収益権の比例的割当てを事前に合意するものであり、財務省規則の要件を充たす適格契約については、独立企業原則に沿った取引と認められる仕組みである。

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【第16回】

「費用分担契約による無形資産の移転」

-アマゾン事件判決と我が国税制改正-

 

21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
青山 慶二

 

1 アマゾン事件に関する米国判決

アマゾン事件判決(2019.8.16 第9巡回控訴裁判所)は、グローバルなオンライン小売業者であるアマゾンの米国親会社が、ルクセンブルクに設立した欧州ビジネスの持株会社との間で締結した費用分担契約に基づき、親会社が自ら開発した既存の無形資産(ウェブサイト技術、商標、及び顧客リスト)を持株会社へ移転する対価として受け取ったバイイン支払いの独立企業間価格相当性が争われた事案である。

米国で1990年代に制度化された費用分担契約は、関連企業間での無形資産の共同開発の費用負担と成果物である無形資産の使用収益権の比例的割当てを事前に合意するものであり、財務省規則の要件を充たす適格契約については、独立企業原則に沿った取引と認められる仕組みである。

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連載目次

これからの国際税務

筆者紹介

青山 慶二

(あおやま・けいじ)

現 職:千葉商科大学大学院 客員教授
    21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
専 門:国際租税

【略歴】
1971年 東京大学法学部卒業
1973年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、国税庁入庁
1998年 国税庁国際業務課長
2003年 ニューヨーク大学ロースクール客員研究員
2004年 国税庁審議官(国際担当)
2006年 国税庁退職、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(2019年3月定年退職)
2020年 千葉商科大学大学院客員教授

【主な審議会等委員】
OECD租税委員会(1998年~2000年、2004年~2006年)
経済産業省国際課税小委員会座長(2008年~2014年)
国連経済社会理事会・税に関する専門家委員会 委員(2009年~2014年)
国際租税協会(IFA)常設研究企画委員会 委員(2010年~2018年)
政府税制調査会専門家委員会 特別委員(2010年~2011年)

【近年の著書】
『米国内国歳入法第482条(移転価格)に関する財務省規則』社団法人日本租税研究協会(1995年)
『国際課税の理論と実務』(共著)有斐閣(1997年)
『改訂版国際課税の理論と課題』(共著)税務経理協会(1999年)
『租税条約の理論と実務』(共著)清文社(2008年)
『日本の税をどう見直すか』(共著)日本経済新聞出版社(2010年)
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(共著)大蔵財務協会(2011年)
『現代税制の現状と課題(国際課税編)』(単著)新日本法規出版(2017年)

関連書籍

M&A 無形資産評価の実務

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 編

キャッシュレス決済のしくみと会計実務

EY新日本有限責任監査法人 編

これならわかる!租税条約

本庄 資 監修  三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 国際事業本部・国際本部 チーフコンサルタント 藤井 恵 著

国際課税における税務調査対策Q&A

税理士 安部 和彦 著

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