固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第64回】
「コインパーキングの運営のために土地を賃貸している個人は、駐車場を自己の計算と危険において独立して反復継続的に行っている者とは評価し難いから、駐車場業ではなく不動産貸付業を営んでいると判断され、個人事業税の賦課決定処分が取り消された事例」
税理士 菅野 真美
▷個人事業税:不動産貸付業と駐車場業
事業税は、事業を課税対象とする税金である。事業を行うのは個人、法人に関係なく課税対象となるが、法人事業税は、稼いだ利益について非課税所得を除いた部分を課税標準として課することになるが、個人事業税の場合は、法令で定めた事業に限定され、その事業を3つの種類に分類し、所得を課税標準としてそれぞれの税率を乗じて税額を算定する。
不動産の賃貸により所得が生ずる場合、個人事業税では、不動産貸付業と駐車場業に該当すると考えられる。
「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県民税)」(以下「取扱通知(県)」)によると、不動産貸付業とは、「継続して、対価の取得を目的として、不動産の貸付け(地上権又は永小作権の設定によるものを含む。)を行う事業をいうものであること」(取扱通知(県)第3章2の1(3))とされ、住宅用土地の貸付けについては「貸付け契約件数(一の契約において2画地以上の土地を貸付けている場合はそれぞれを1件とする。)が10件以上又は貸付総面積が2,000平方メートル以上であるものについては、不動産貸付業と認定すべきものであること」(取扱通知(県)第3章2の1(3)イ)としているが、住宅用以外の土地の貸付は定められていない。
東京都では、住宅用以外の土地については、契約件数が10以上とされている。
駐車場業とは、「対価の取得を目的として、自動車の駐車のための場所を提供する事業をいうものであること。なお、建築物である駐車場を除き、駐車場台数が10台以上である場合には、駐車場業と認定すべきものであること」とされている(※1)(取扱通知(県)第3章2の1(6))。
(※1) 「駐車区画がない場合でも、駐車場総面積300㎡以上であれば、駐車場業に該当するとしている地方団体もあります(令和6年8月現在)」全国女性税理士連盟編『令和6年版 地方税Q&A』大蔵財務協会(2024年)138頁
また、「建築物である駐車場」とは、屋根及び柱等を有する建築物である駐車場や機械式駐車設備などを有する駐車場(コインパーキング等)を指す(※2)。
(※2) 前掲(※1)書、137頁
つまり、コインパーキングを営む場合は、一律、事業税における駐車場業に該当することになる。
コインパーキング業は、一般的な駐車場よりも設備投資が大きく、事業リスクも高いことから、自ら運営せず、企画運営会社がコインパーキング事業を営み、土地所有者は定額の賃料を受け取る土地賃貸方式と自分で運営する自己経営方式の2方式がある。
土地賃貸方式を採用した場合の個人事業税における取扱いであるが、東京都において、令和元年分までは、土地賃貸方式であったとしても個人事業税を課税していた。この課税処分に不服な納税者が争った事例を今回は検討する。
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