公開日: 2026/10/29 (掲載号:No.692)
文字サイズ

事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第38回】「モーターメーカーの会計不正と、経営トップによる内部通報制度の軽視」

筆者: 原 正雄

事例で検証する

最新コンプライアンス問題

【第38回】

「モーターメーカーの会計不正と、
経営トップによる内部通報制度の軽視」

 

弁護士 原 正雄

 

2025年7月、ND社は、子会社の内部監査部門から会計不正の疑いがあるとの報告を受けて調査を実施した。その結果、複数の会計不正の疑いが判明したことから、同年9月、第三者委員会を設置した。

2026年4月17日、ND社は第三者委員会からの最終報告書を公表した。「営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャー」を背景として、①売上の早期計上、②棚卸資産の評価損や固定資産の減損の回避、③資産の評価方法の変更、④コストの資産化など、多くの会計不正が発見され、純資産に1,607億円の「負の影響」が発生する、という内容であった。

同年9月4日、ND社は品質不正に関する調査報告書も公表した。重要事案60件を含む844件もの品質不正が発見されたとのことであった。

さらに同年10月20日には、役員責任調査委員会の調査報告書が公表された。そこでは創業者であるN氏をはじめとして元幹部9名に損害賠償責任ありと認定された。

こうした不正はなぜこれまで発見されなかったのか。内部通報制度は機能していなかったのか。会計不正を中心としつつ、ND社の内部通報制度について分析する。

 

1 内部通報制度は、一応機能していた

ND社は、法務コンプライアンス部が運用する内部通報窓口を設置していた。また、外部の法律事務所が受け付ける外部通報窓口なども設置していた。にもかかわらず、今回問題となった多数の会計不正は発見されなかった。この点を捉えると、内部通報制度が機能していなかったようにも思える。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

事例で検証する

最新コンプライアンス問題

【第38回】

「モーターメーカーの会計不正と、
経営トップによる内部通報制度の軽視」

 

弁護士 原 正雄

 

2025年7月、ND社は、子会社の内部監査部門から会計不正の疑いがあるとの報告を受けて調査を実施した。その結果、複数の会計不正の疑いが判明したことから、同年9月、第三者委員会を設置した。

2026年4月17日、ND社は第三者委員会からの最終報告書を公表した。「営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャー」を背景として、①売上の早期計上、②棚卸資産の評価損や固定資産の減損の回避、③資産の評価方法の変更、④コストの資産化など、多くの会計不正が発見され、純資産に1,607億円の「負の影響」が発生する、という内容であった。

同年9月4日、ND社は品質不正に関する調査報告書も公表した。重要事案60件を含む844件もの品質不正が発見されたとのことであった。

さらに同年10月20日には、役員責任調査委員会の調査報告書が公表された。そこでは創業者であるN氏をはじめとして元幹部9名に損害賠償責任ありと認定された。

こうした不正はなぜこれまで発見されなかったのか。内部通報制度は機能していなかったのか。会計不正を中心としつつ、ND社の内部通報制度について分析する。

 

1 内部通報制度は、一応機能していた

ND社は、法務コンプライアンス部が運用する内部通報窓口を設置していた。また、外部の法律事務所が受け付ける外部通報窓口なども設置していた。にもかかわらず、今回問題となった多数の会計不正は発見されなかった。この点を捉えると、内部通報制度が機能していなかったようにも思える。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

連載目次

「事例で検証する最新コンプライアンス問題」

筆者紹介

原 正雄

(はら・まさお)

弁護士。一橋大学法学部卒、中島経営法律事務所パートナー

専門は、コンプライアンス、企業危機管理、消費者対応、製造物責任、知的財産、労務、セクハラ・パワハラ、証券取引、M&A、訴訟など企業法務

主な著書に「社内規程整備で取り組む―中小企業のコンプライアンス対策」(清文社)、「図解 仕事の法律」(共著、三笠書房)、「ネットリスク対策なるほどQ&A」(共著、中央経済社)、「事例で見る借地借家契約の解除」(共著、新日本法規)など多数。
論文執筆、講演・研修など多数。

http://www.ntlo.net/partner/detail/id=15&contents_type=45

関連書籍

実例で学ぶ 内部通報実践対応88

株式会社 エス・ピー・ネットワーク 著 中野 真 監修

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

企業戦略としての役員報酬

弁護士 中西和幸 著

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

架空循環取引

公認会計士 霞 晴久、 弁護士・公認不正検査士 中西 和幸、 税理士・公認不正検査士 米澤 勝 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著

社会福祉法人の不正防止・内部統制・監査

全国社会福祉法人会計研究会 編著

新着情報

もっと見る

記事検索

#