M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第16回】「偶発債務・後発事象の分析(その1)」
偶発債務とは、現時点では債務ではないが、一定の事由を条件に、将来債務となる可能性がある債務のことをいい、発生可能性が高く、かつ、金額が合理的に見積もれる場合は引当金として計上し、発生する可能性が低い場合は、貸借対照表に注記する必要がある。一方、後発事象とは、基準日後に発生した会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象である(以下、総称して「偶発債務(簿外債務)等」)。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第11回】
収益認識基準等では、貸借対照表の勘定科目として、「契約資産」、「債権」、「契約負債」について規定されている。
企業が顧客に対する約束を履行している場合又は企業が履行する前に顧客から対価を受け取る場合には、企業の履行と顧客の支払との関係に基づき、契約資産、契約負債又は債権を適切な科目をもって貸借対照表に表示する(基準79)。
《速報解説》 金融庁より「記述情報の開示に関する原則」(公開草案)が公表される~財務情報以外の開示情報について望ましい開示の考え方・取り組み等をとりまとめ~
平成30年12月21日、金融庁は、「記述情報の開示に関する原則(案)」(以下「原則(案)」という)を公表し、意見募集を行っている。「記述情報の開示に関する原則(案)のポイント」として要約したものも公表されている。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第2回】「桃太郎と契約したイヌの貸借対照表はこうなる」
イヌ・サル・キジたちは、桃太郎の鬼退治についていくことを約束しました。この約束が「契約」であるということは、【第1回】で見たとおりです。
では、その契約は、収益認識の対象となるものでしょうか。
これが次に考えるべきことです。
さっそく、桃太郎とイヌ・サル・キジたちの契約内容を見ていきましょう。
契約内容を見極めるにあたって大事なのは、「権利」と「義務」を識別することです。
桃太郎の権利と義務を書き出してみます。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第10回】
買戻契約とは、企業が商品・製品を買い戻す義務(先渡取引)、企業が商品・製品を買い戻す権利(コール・オプション)を有している場合、又は、企業が顧客の要求により商品・製品を買い戻す義務(プット・オプション)を有している場合をいう。
買い戻す商品・製品には、以下の場合がある。
・当初において販売した商品・製品である場合
・当初において販売した商品・製品と実質的に同一のものである場合
・当初において販売した商品・製品を構成部分とする商品又は製品である場合
会計処理は「先渡取引及びコール・オプション」の場合と「プットオプション」の場合で別に検討する必要がある。
企業経営とメンタルアカウンティング~管理会計で紐解く“ココロの会計”~ 【第9回】「ココロのアンカーにご用心②」
PN社は、文具や雑貨の製造・販売を手がけるメーカーです。
風邪で休んでいた経理部長が、3日ぶりに出勤しました。
《速報解説》 会計士協会、「偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告」(公開草案)を公表~偶発事象全般に関する会計基準の開発を提言~
2018(平成30)年12月14日、日本公認会計士協会は、偶発事象の会計処理及び開示に関する研究報告(公開草案。会計制度委員会研究報告)を公表し、意見募集を行っている。
我が国には、偶発事象に関する会計基準は存在せず、偶発債務等の注記は規定されているが、偶発事象(偶発損失及び偶発利益)の定義や会計上の取扱いに関するルールが定められていないことから、偶発事象の会計上の取扱いについて研究を行ったものである。
《速報解説》 会計上の論点及びスキーム別の会計処理上の論点などをまとめた「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」(公開草案)が公表される
2018(平成30)年12月14日、日本公認会計士協会は、「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」(公開草案。会計制度委員会研究報告)を公表し、意見募集を行っている。
これは、インセンティブ報酬の会計上の取扱いについて研究したものである。
〈桃太郎で理解する〉収益認識に関する会計基準 【第1回】「桃太郎とイヌ・サル・キジは労務サービス契約を結んでいた」
これは単なる新会計基準ではありません。“これ”というのは、2018年3月に公表された「収益認識に関する会計基準」のことです(この連載では以下、収益認識会計基準と呼びます)。
収益認識会計基準は、新しい時代を見据えた、革新性の高い会計基準です。この会計基準には、これまでの日本の会計基準とは明らかに異なる点が1つあります。
それは、「製造業中心思考ではない」という点です。