決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第14回】「「本人⇒代理人」の訂正がインフレ下で意味すること」
「収益認識に関する会計基準」が適用されてから、4年が経過しました。
公表された当初は“極めて難解”という印象が強かったこの会計基準も、今ではすっかり実務に定着したかのようです。
それでも、この会計基準が扱っている論点に関して、時折、誤処理が発生し、決算短信が訂正になるケースがみられます。
しかも、そうした論点のなかには、「収益認識に関する会計基準」が公表された当時においては予想されていなかった経済環境の変化により、新たな意味合いを帯びてきたものもあります。
その「経済環境の変化」とは、インフレです。
そして「新たな意味合いを帯びてきた論点」とは、本人と代理人の区別です。
リース会計基準を学ぶ 【第8回】「貸手のリースの会計処理①」
貸手の会計処理については、IFRS第16号「リース」及びTopic 842ともに抜本的な改正が行われていないため、次の点を除いて、基本的に、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第16号)の定めを踏襲している(リース会計基準BC13項、BC53項、リース適用指針BC98項)。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第168回】株式会社トーシンホールディングス「第三者委員会調査報告書(公開版)(2025年2月13日付)」
2024年10月6日、2024年4月期までトーシンHDの会計監査人であった東海会計社のホームページ宛てに、1年以上前から1億円以上のキャッシュバックの未払金があり、決算担当取締役がこれを知りながら意図的に隠蔽したこと等を指摘する趣旨のメールが送信された。トーシンHDは、2023年頃から、想定よりもキャリアからの入金が少ないことの原因等を継続的に調査していたが、前記メールを受け、さらに各種調査を行い、その結果、トーシンHDが想定していた以上のキャッシュバックが現場で行われていた可能性があること、キャッシュバックの一部がエンドユーザーに対して未払となっていること、これらの内容が決算上適切に反映されていない可能性を認識するに至った。
《速報解説》 新リース会計基準等を受け、金融庁が「特定目的信託財産の計算に関する規則」等の改正案を公表
2025(令和7)年4月28日、金融庁は、「「特定目的信託財産の計算に関する規則」等の改正(案)」を公表し、意見募集を行っている。
《速報解説》 期中財務諸表に関する会計基準(案)及び同適用指針(案)が公表される~中間会計基準及び四半期会計基準等を統合、意見募集は6月30日まで~
2025年4月23日、企業会計基準委員会は、「期中財務諸表に関する会計基準(案)(以下「期中会計基準(案)」という)」(企業会計基準公開草案第83号)等を公表し、意見募集を行っている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第48回】「所得税法56条の解釈適用に関する2つのアプローチ」-所得税法56条弁護士「夫」税理士「妻」事件に係る各審級裁判所の判断の比較検討-
今回は、所得税法56条弁護士「夫」税理士「妻」事件を取り上げ、所得税法56条の解釈適用について、同事件の第一審・東京地判平成15年7月16日判時1891号44頁(以下「平成15年東京地判」という。なお、同判決は「国破山河在」(杜甫)に擬えて「国敗れて[東京地裁民事]三部あり」といわれた藤山判決(藤山雅行裁判官)の1つである)と、控訴審・東京高判平成16年6月9日判時1891号18頁(以下「平成16年東京高判」という)及びこれを是認した上告審・最判平成17年7月5日税資255号順号10070(以下「平成17年最判」という)とを比較検討することにする。平成17年最判は、所得税法56条の解釈適用については所得税法56条弁護士「夫婦」事件・最判平成16年11月2日訟月51巻10号2615頁(以下「別件平成16年最判」という)を参照しているので、この判決も上記の比較検討において考察の対象とすることにする。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第66回】
著名なDEXの1つであるUniswapを例に本稿で検討の対象とする取引等を確認する。
Uniswapプロトコルは、イーサリアムブロックチェーン上のERC-20(トークンの共通規格)に準拠したトークンの流動性を提供し、取引するためのオープンソースプロトコルである。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例145(消費税)】 「特定期間における納税義務の免除の特例により課税事業者であったにもかかわらず、インボイス制度の経過措置である「簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例」の適用が受けられるものと誤認し、期限までに「簡易課税制度選択届出書」を提出しなかったため、不利な原則課税での申告となってしまった事例」
資本金900万円で法人成りした2期目である令和6年3月期の消費税につき、特定期間の課税売上高が1,000万円超であり、かつ、給与等支払額の合計額が1,000万円超であったため、適格請求書発行事業者の登録にかかわらず課税事業者になることから、「簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例」の適用がないにもかかわらず、適用があるものと思い込み、本来の提出期限である令和5年3月末までに「簡易課税制度選択届出書」を提出しなかった。
これにより、不利な原則課税での申告になってしまい、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第16回】「オンラインセミナーを開催する場合の税務上の留意点」
オンラインでセミナーを開催する場合の税務上の留意点について教えてください。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第48回】「約17年間放置していた家屋について損耗減点補正率を使って評価しなかったことは違法であるとされた事例」
今回は、天災、火災のような突発的な災害が原因ではなく、約17年間放置されたことを原因として、家屋について損耗減点補正率を用いて評価しなかったことは違法であると裁判所が判断した事例を検討する。
