酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第52回】「国会審議から租税法条文を読み解く(その1)」
租税法の解釈は文理解釈を第一として行われなければならないといわれることが多く(酒井克彦『レクチャー租税法解釈入門』6頁(弘文堂2015))、また、文理解釈は租税法律主義の考え方に最も合致しているともいえよう。
租税は、国民の財産権を侵害するものであるから、租税法の解釈において恣意性や揺らぎができるだけ排除されなければならないことはいうまでもない。
平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認 【第1回】
本誌198号で述べたように、平成28年12月8日に公表された与党税制改正大綱では、組織再編税制を大幅に見直すこととされており、具体的には、以下の点を改正することが明記されていた。
(1) スピンオフ税制
(2) スクイーズアウト税制
(3) 支配関係継続要件の見直し
(4) 株式継続保有要件の見直し
(5) 2段階組織再編成の見直し
(6) 資産調整勘定の償却の見直し
(7) 繰越欠損金、特定資産譲渡等損失の見直し
このうち、(2)から(5)までの改正は、平成29年10月1日の施行が予定されており、それ以外は、平成29年4月1日に施行されている。そして、平成29年3月31日の官報では、改正法人税法施行令が公表され、改正内容の全貌が明らかになった。
特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第10回】「居住用家屋の取得に伴って建物附属設備や応接セット等を取得した場合」-買換資産の範囲-
Xは、居住用財産の買換資産として家屋を新築した際に、セントラルヒーティング設備を建物の請負先とは異なる他の業者に注文して取り付けました。
また、新築に際し、応接セットや書斎の家具、台所の電気器具を新調しました。
この場合、Xは、すべてが家屋に係る買換資産として「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用対象とすることができるでしょうか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第25回】「ペット葬祭業事件」~最判平成20年9月12日(集民228号617頁)~
今回紹介する判例は、宗教法人Xが、死んだペットの飼い主から料金を受け取って葬儀等を行っていたところ、Y税務署長が、かかるペット葬祭業は法人税法2条13号・同法施行令5条1項所定の収益事業に該当するとして、法人税の決定処分を行ったという事案である。
Xは、ペットの葬儀等は宗教的行為であるからペット葬祭業は収益事業には当たらないなどと主張して処分の取消しを求めたが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。
連結会計を学ぶ 【第1回】「連結会計の全体像」
連結財務諸表は、親会社及び子会社によって構成される企業集団に関する財務諸表であり、関連会社については持分法が適用される(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22 号)1項。「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号)4項、6項)。
連結財務諸表に関しては、以下の会計基準等が中心となるものの、「連結財務諸表に関する会計基準」の各規定に関して別途の会計基準等が設定されているものがあり、全体として少々複雑な構成となっている。
電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる会計処理と税務Q&A 【第2回】「プリペイド方式の電子マネーにより経費決済を行った場合の会計処理」
[Q]
プリペイド方式の電子マネーを使用して経費決済を行った場合の会計処理について教えて下さい。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第57回】株式会社ブロードリーフ「調査委員会最終報告書(平成29年1月31日付)」
株式会社ブロードリーフ(以下「ブロードリーフ」と略称する)は、2005(平成17)年12月創業、2009(平成21)年9月法人設立。業務支援用ソフトウエア・ITソリューションをはじめとする各種サービスの提供を主たる事業とする。資本金7,147百万円。売上高16,760百万円、税引前利益2,921百万円(数字は、いずれも平成28年12月期)。従業員数772名。本店所在地は東京都品川区。東京証券取引所1部上場。
《速報解説》 経済産業省、コーポレート・ガバナンス・システム研究会報告に基づき実務指針(CGSガイドライン)を策定~経営者人材育成・ダイバーシティ2.0のガイドラインも同時公表~
平成29年3月31日、経済産業省は次のものを公表した。
① 「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)
② 「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成について」(経営人材育成ガイドライン)(①の別添)
③ 「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」(①の別添)
これは、平成29年3月10日に公表された「CGS研究会報告書-実効的なガバナンス体制の構築・運用の手引-」(CGSレポート)を踏まえ、我が国企業のコーポレートガバナンスの取組の深化を促す観点から、各企業において検討することが有益と考えられる事項を盛り込んだものである。
《速報解説》 金融庁、「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項」等を公表~平成29年度レビューは繰延税金資産の回収可能性等に着目~
平成29年3月31日、金融庁は次のものを公表した。
① 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について
② 有価証券報告書レビューの実施について
平成29年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たっては、これらに記載されている事項に特に注意し、適切に作成する必要があると考えられる。