公開日: 2020/09/24 (掲載号:No.387)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第51回】「組合等への出資の会計処理」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】個別財務諸表上の会計処理

組合等への出資の会計処理としては、「純額法」、「総額法」、「折衷法」がある。原則は、純額法であるが、その契約内容の実態及び経営者の意図を考慮して、経済実態を適切に反映する会計処理及び表示を選択する(会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針(以下、「実務指針」という)」132、308)。

(※1) 任意組合、パートナーシップに関し有限責任の特約がある場合にはその範囲で損益を認識する(実務指針132)。

(※2) 匿名組合及びリミテッド・パートナーシップについては、それらが実質的に匿名組合出資者等の計算で営業されている場合もあり得るため、純額法が妥当でないことも想定される(実務指針308)。

【留意点】

組合等のBSに金融資産がある場合には金融商品会計基準に従って評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とする。例えば、組合の保有するその他有価証券の評価差額金に対する持分相当額は、その他有価証券評価差額金に計上される(実務指針132)。

有限責任事業組合が出資者の子会社又は関連会社となる場合でも、当該組合への出資について出資金又は有価証券として計上する場合には、個別財務諸表上、取得原価ではなく、持分相当額をもって貸借対照表価額とする(実務対応報告第21号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い(以下、「実務報告」という)」Q1)。

 

《設例》

〈前提条件〉

X社はX0年4月1日に投資事業有限責任組合に有限責任組合員として1,000,000出資した。出資割合は20%である。

X1年3月31日の投資事業有限責任組合の財務諸表は、以下のとおりである。

〈会計処理〉

1 X0年4月1日

2 X1年3月31日

【純額法】

(※1) 当期純利益500,000 × 20% = 100,000

【総額法】

(※1) 現金預金1,000,000 × 20% = 200,000

(※2) 有価証券4,500,000 × 20% = 900,000

(※3) 出資時の金額

(※4) 有価証券売却益400,000 × 20% = 80,000

(※5) 受取配当金100,000 × 20% = 20,000

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第51回】

「組合等への出資の会計処理」

 

RSM清和監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

会社は、投資等のために任意組合、匿名組合、パートナーシップ等(以下、「組合等」という)に出資する場合がある。

今回は、組合等への出資の会計処理について解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

史彩監査法人 パートナー
公認会計士

2007年10月に準大手監査法人に入所。2019年8月にRSM清和監査法人に入所。2022年2月に史彩監査法人に入所。
主に法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。また、会社買収に当たっての財務デューデリジェンス、IPOを目指す会社への内部統制コンサル及び短期調査、収益認識コンサル実績もある。
他に、決算留意事項セミナーや収益認識セミナー等の講師実績もある。

【日本公認会計士協会委員】
監査・保証基準委員会 委員(現任)
監査・保証基準委員会 起草委員会 起草委員(現任)
中小事務所等施策調査会 「監査専門委員会」専門委員(現任)
品質管理基準委員会 起草委員会 起草委員
中小事務所等施策調査会 「SME・SMP対応専門委員会」専門委員
監査基準委員会「監査基準委員会作業部会」部会員

【書籍】
「図解と設例で学ぶ これならわかる連結会計」(共著/日本実業出版社)等

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