これからの国際税務
【第37回】
「第2の柱:軽課税所得ルール(UTPR)の見通し」
千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二
1 第2の柱についての我が国国内法の動向
2021年10月にOECD/G20から公表された経済のデジタル化対応の2つの柱から成る国際課税の新ルール合意のうち、2022年中に詳細設計の国際協議が進捗した(※1)第2の柱(15%のグローバル・ミニマム課税、租税条約面の対応も含めて「GloBE税制」とも呼称)の中核をなす所得合算ルール(IIR)について、政府は、令和5年度税制改正で国内法への導入を行った。(※1) 2021年12月にOECDから公表された国内法のモデルルールとその実施要領を展開した2022年3月公表のコメンタリー、更には、2022年12月に公表された執行細則を指す。
多国籍企業の世界の法人税負担を、実効税率15%まで確保することを目的とするGloBE税制の中核となるIIRの国内法制化は、法人税法へ規定を追加する形で行われた。すなわち、内国法人の課税所得の範囲を定める総則規定において、各事業年度の所得に対する法人税(法5条)、連結親法人に対する法人税(同6条)に続けて、「特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対する各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(同6条の2)を規定し、その課税標準等を定める細則は、法人税法第2編(内国法人の法人税)の第2章(同82条~82条の10)において、詳細に規定されている。
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