これからの国際税務
【第5回】
「タックスヘイブンに対する国際協調の動き」
早稲田大學大学院会計研究科 教授
青山 慶二
1 激化する租税競争
税制でインセンティブを提供して投資等の経済活動を管轄地に誘導する試みを「租税競争」と定義すれば、それは古今東西、幅広く観察されてきた現象である。
最近では20世紀後半からのタックスヘイブン(租税回避地)の拡大と21世紀に入り加速化された先進国を含めた法人税率の引下げ競争が、国家間で展開される租税競争の典型例であるが、国内においても、返礼品の魅力を強調した自治体間のふるさと納税の過熱拡大もその一例となろう。
法人税率引下げや返礼品等は、管轄主権の枠組み内で行われる限り、「底辺へ向かう競争」等の批判を受けることはあっても、個別に是正対象とはされない。しかし、租税回避を可能にするタックスヘイブンによる便益提供と納税者によるその利用は、20世紀後半以降、一貫して国際協調の下、税制での対抗措置の対象とされてきた。
折しも、去る11月に国際調査情報ジャーナリスト連合が第2弾として公表した「パラダイス文書」は、タックスヘイブン取引に関する1,340万件の情報を含むとされ、富裕者や多国籍企業等による潜在的利用が根強いことを思い出させた。
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